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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第322号(2016.4.15)
                            日本商工会議所
                      商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金レポート】
1 〉確定拠出年金法改正を考える (第1回) 
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【勉強会の開催情報】
2〉東京で開催する勉強会のご案内			    
   「退職後の生活設計とその準備 ~特に単身生活者のケースを重点に」(再掲)
  ───────────────────────────────────
3〉大阪で開催する勉強会のご案内    
  「第7回 ホンネで語り合う企業年金事情」(再掲)
───────────────────────────────────
【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1 〉確定拠出年金法改正を考える(第1回) 上田 憲一郎
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 参議院ホームページ等によれば、確定拠出年金法改正法案は、平成28年4月
5日、参議院厚生労働委員会にて審議入りし、塩崎厚生労働大臣より、法案の
趣旨説明が行われた模様です。

 本法案は昨年、第189回国会へ提出され、衆議院は通過したものの参議院では
審議未了で継続審議となっていました。6月の会期末まで時間のない中での審
議となりますが、法案に動きが出てきましたので、法案の内容や意義について、
再度、考えてみたいと思います。

 同改正法案の内容は多岐にわたりますが、主な目的は、働き方の多様化に対
応し、企業年金の普及・拡大を図るとともに、老後に向けた個人の継続的な自
助努力を支援することにあるとされています。

 本稿では、改正法案の項目の中から、企業型の確定拠出年金(以下「DC」)
に関する項目、特に、DC運用の改善に関する項目の中から、運用商品数の抑制
や商品除外規定の整備を取り上げて考えてみます。

 さらに、これらの改正項目が、実務面で、加入者等や事業主、運営管理機関、
商品提供機関等に対して及ぼす影響を考えるとともに、最近の企業年金を巡る
事案を参照しつつ、受託者責任の観点に関しても若干の言及をしたいと思いま
す。

 今回の改正法案の内容は、社会保障審議会企業年金部会にて議論されて来た
内容を踏まえたものとなっています。特にDC加入者の運用状況に関する議論に
関しては、投資教育の実施率向上や運用商品除外規制の緩和など、従来から課
題として認識されていて、同部会でも議論となった事項が改正法案に盛り込ま
れました。

 但し、運用商品数の抑制については、同部会にて必ずしも意見の一致を見た
わけではなかった模様ですが、法案には改正項目として盛り込まれています。
運用商品数の抑制に関しては、同部会事務局から、主に行動経済学の考えを背
景としたと思われる説明があり、10本程度を上限とするという具体的な運用商
品数上限への言及もありました。同部会の委員からは、趣旨には賛同する意見
があった一方で、商品本数の上限設定は現状の商品本数の実態を勘案すべきと
の意見や、DC制度の本来の意義からして上限設定の有無は労使合意に委ねるべ
きとの意見もあったようです。

 さて、これらの同部会での検討の展開を振り返ると、改正法案の背景として、
DCの現状分析や経済学的な視点での問題認識が大宗であることに気付きます。
私見としては、改正項目が実施された場合のDC制度への影響(特に、企業年金
実務に及ぼす影響)や、受託者責任の観点から検討することも必要なのではな
いか、と考えています。そこで、本稿では、上記のような観点より、改正法案
の内容を再度、考えたいと思います。

 改正法案では、具体的な商品数の上限は政令で定められることになっており、
詳細は法案成立後にならないと判明しません。そこで、社会保障審議会企業年
金部会での事務局の説明にあるような10本程度の設定となった場合を想定し、
経済学的な側面以外の考慮すべきポイントを考えます。本稿では、DC制度の実
務的な面への影響を検討し、次回、受託者責任の観点から課題を考えます。

 DC実務面を考えますと、商品数を制限することによるメリットとして、第一
に投資教育時の負担軽減が挙げられます。通常、制度加入時には90分から120分
程度のセミナーを実施するケースが多いようですが、商品数が多いと、その説
明だけで多くの時間を割かれます。仮に現状の採用本数の平均値に近い20本の
運用商品が選定された場合、1本の商品に2分間の説明をしただけで、商品説明
に2×20本=40分が必要になりますが、10本を上限とした場合は所要時間も半分
になります。また、DCを実施している企業への調査では、継続教育における実
施項目、或いは、今後実施する必要があるとする項目では、運用商品の特性や
特徴等が上位に来ていますが、本数が限定されることにより、関心の高い項目
にも十分な時間をかけて説明することが可能となります。この点では、今回の
法改正の目的通り、加入者の商品に対する理解が進むと同時に、運用商品の選
択が、より容易になることが期待されます。

 他方、留意すべき点としては、上限の制約ができた運用商品の本数で、加入
者等の要望に幅広く応えられるか、という課題が考えられます。例えば、リス
ク許容度の異なる多数の加入者が存在する制度や、制度導入からある程度の時
間が経過し、(その是非は兎も角として)制度や運用への興味や運用経験が二
極化した加入者が存在する制度に対し、制限された本数では、ニーズへの幅広
い対応が困難となる可能性も考えられます。

 また、新しい商品の追加に時間がかかる事態も予想されます。つまり、本数
に上限があるため、商品の追加は、現行商品の除外とセットになる(つまり、
入れ替えになる)からです。このため、現行の制度運営のように単純な追加で
はなく、除外の手続きに時間と労力がかかることから、商品の追加(入れ替え)
に踏み切りにくい、という可能性も考えられます。そもそも、除外対象となる
運用商品の評価自体、どのような基準と視点で成されるべきなのか、模範解答
を探すのは難しい問題でしょう。

 次回は、受託者責任の観点から、改正法を考えます。

(本稿は、昨年開催された第35回日本年金学会での報告を基に執筆しております。
 日本年金学会の活動にご興味ある方は、同学会のHPをご参照ください)。

 ※執筆者紹介
  上田 憲一郎 
  帝京大学 経済学部 経営学科 教授


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2〉東京で開催する勉強会のご案内			    
   「退職後の生活設計とその準備 ~特に単身生活者のケースを重点に」
  (再掲)
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◆内 容
 平成25年国民生活基礎調査によれば、高齢者世帯の平均貯蓄額は1,268万円、
貯蓄ナシが16.8%、貯蓄額が500万円に満たない世帯が4割以上に上っています。
また、内閣府の平成26年版高齢社会白書によれば、一人暮らしの65歳以上の
高齢者人口の割合は、男性が11.1%、女性が20.3%と男女共に増加しています。

 最近はやりの「下流老人」にならないために、老後に必要な生活費や介護・
医療費はいくら掛かるのか、老後を迎えるにあたり貯蓄額はいくら必要か、
その額はどのような方法で準備するのがベストかをお話しします。

 特に単身生活者にとっての重要テーマとして、介護問題・相続対策・認知症
の備えとしての任意後見契約・リバースモーゲージについても、重点的に解説
していきます。今回は、リタイアメントプランのうち、特に単身生活者を中心
とした退職後の生活に関する事項を説明いたします。

 
◆日 時:4月26日(火)18:30~20:30(受付18:00~)
 
◆会 費:3,500円(会場にて申し受けます)
 
◆講 師:田坂 康夫
     1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
     社会保険労務士・CFP
     日本年金学会幹事
      LLPグローバル・マインド顧問
 
◆会 場:東京都港区虎ノ門1-1-24
     第1オカモトヤビル 4階 
     http://www.okamotoya.com/company/office/pop_1.html
 
◆定 員:40名(先着順)
 
◆申込み:Eメールにて、タイトルに「4月26日勉強会参加希望」と入力頂き、
     お名前、所属をご記入のうえ、以下アドレスにお送りください。
      admin@globalmind.co.jp
 
◆幹 事:みなとグローバル研究会 虎ノ門勉強会(旧 企業実務研究会)  
     事務局 大高 直美


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3 〉大阪で開催する勉強会のご案内
    「第7回 ホンネで語り合う企業年金事情」(再掲) 
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 下記のとおり大阪で勉強会を開催いたします。

 厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現
場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、
DC投資教育の動向、諸外国の年金動向など幅広い内容をもとに、年金基金の
担当の方、企業の人事・労務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関
の方、コンサルタント等、それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にも
してまいります。企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。


◆日 時:5月29日(日)10:00~12:00 (受付開始9:30)
     ※いつもの時間帯と異なり、午前中の開催となります。

◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)

◆講  師:登録講師
      1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

◆会 場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
     大阪府大阪市中央区大手前1丁目3番49号
    【アクセス】
     https://www.dawncenter.or.jp/shisetsu/map.html

◆定 員:20名(先着順)

◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
     http://benkyou-j.com/study/detail.php?sid=76


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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更
をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内
文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。

〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な
  ど)のコーナー( https://dcplanner.cloud-cafe.club/ )
  ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の
    専用サイトです。
    同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録
    いただく必要があります。
  ※ ご連絡の際は、「資格登録情報も合わせて変更する」ボタンをクリック
    してください。

〇『商工会議所検定試験サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー
  ( http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact )
   ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
    さい。

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 次号(第323号)は、5月1日(日)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
  
    編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター  

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