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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第319号(2016.3.1)
                          日本商工会議所
                    商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「企業年金の実務における留意点」(全3回)
   第1回「受給権の保護、遺族の範囲、時効等」  
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【各種のデータ】
2〉確定拠出年金の施行状況(平成28年1月31日現在)~厚生労働省調べ
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【日本商工会議所からのお知らせ】
3〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「企業年金の実務における留意点」(全3回)
   第1回「受給権の保護、遺族の範囲、時効等」  中田 博  
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  複数の企業年金制度にまたがって実務を行うケースも徐々に増えてきました
が、その際大切なことは、各制度に共通するものと、同じように見えながら取
扱いが異なるものを、明確に区別して理解することだと思います。本稿では、
その留意点についてご説明します。
 
 第1回目は、受給権の保護、遺族の範囲、時効等について見ていきたいと思
います。

1.受給権の保護
 国の老齢厚生年金等においては、その全部が日々の生活の費用として使われ
るという趣旨から、年金の受給権は原則として差押えが禁止されています。

 また、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金においても、受給権
保護は基本理念になっており、国に準じた形で保護が図られています。

 ただし、例外として、各制度の老齢給付に加えて、確定給付企業年金の遺族
給付及び確定拠出年金の死亡一時金については、国税滞納処分の例による差押
えが認められています。

2.遺族給付における遺族の範囲
 厚生年金基金や確定給付企業年金では、「その他の親族」(*1)に対して遺族
給付を行うことが可能ですが、その場合は法令上の制限が設けられており、厚
生年金基金では「生計同一」、確定給付企業年金では「生計維持」がそれぞれ
要件になっています。

 一方、確定拠出年金において特徴的なことは「死亡した者が、死亡する前に、
配偶者等の遺族のうちから死亡一時金を受ける者を指定してその旨を企業型記
録関連運営管理機関等に対して表示したときは、その表示したところによる」、
つまり相続でいうところの遺贈に近い扱いが認められていることです。この考
え方は、他の制度には見られないものです。

 このように、ある制度では遺族給付を受けることができた人が、別の制度に
おいては給付を受けられない場合があることにご注意ください。

3.遺族給付と未支給給付の給付制限
 「故意の犯罪行為により給付対象者を死亡させた者には遺族給付金を支給し
ない」という原則は、遺族給付における共通のルールになっています。一方、
未支給給付の場合はどうでしょうか。日本年金機構の平成24年1月の疑義照会
に次のような記載があります。

(照会要旨)
 妻が老齢厚生年金の受給権者である夫を故意に死亡させた場合、遺族厚生年
金の支給は行われませんが、未支給年金についても同様に取り扱ってよいでし
ょうか。
(回答要旨)
 未支給年金と未支給の保険給付は、保険給付の制限の対象となっていないこ
とから、生計同一関係が確認できれば、故意に被保険者を死亡させた者であっ
ても支給されます(略)

 心情的には素直に頷けない見解ですが、確かに未支給給付の給付制限に関す
る規定は法令上見当たりません。遺族給付と未支給給付はともに死亡に伴う給
付ですが、年金実務上も税務上も異なった取扱いになっているので注意が必要
です。

4.時効
 給付金の消滅時効の扱いは、常に実務家を悩ませる問題です。
 たとえば確定給付企業年金では、年金の基本権は20年(*2)、年金の支分権
(給付請求権)は5年、脱退一時金は10年の消滅時効が定められていますが、
その根拠となる民法の大規模な改正案が今国会で審議されています。スペース
の関係もあり詳しくは書けませんが、改正案の中で企業年金の実務上特に気に
なるのは次の2点です。

 1点目は、時効の起算点です。改正案では、「権利を『行使できる時から』
時効がスタートする」という従来の考え方に加えて、「権利を『行使できるこ
とを知った時から』時効がスタートする」という新しい概念が登場しています。
前者を客観的起算点、後者を主観的起算点と呼びますが、年金制度においてど
ちらの起算点を適用するのか、注視する必要があります。

 2点目は、年金の支分権における時効に適用されていた民法第169条の内容が、
改正案ではバッサリ削除されていることです。このため改正後の支分権の扱い
が、どのような解釈でどの条文を適用するのか、こちらも非常に気になるとこ
ろです。

 *1 配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹以外の親族
 *2 第1回の弁済期から20年、最後の弁済期から10年

 次回は、税務面の取扱いについて見ていきます。


 本稿における意見に関する部分は、筆者個人の見解であり、所属する組織
 ・法人のものではありません。

 執筆者紹介
   中田 博
    三井住友信託銀行 年金信託部 審議役
    社会保険労務士、 社団法人年金綜合研究所 上席研究員


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2〉確定拠出年金の施行状況(平成28年1月31日現在)~厚生労働省調べ
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 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
 アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html

(1)承認規約数     4,840件
(2)加入者数     約5,473千人(平成27年12月末 速報値)
(3)実施事業主数   21,403社
 
◆個人型年金の加入者等(平成27年12月末現在)
(1)第1号加入者   68,586人
(2)第2号加入者   177,565人
(3)合 計      246,151人(資格喪失者を除く)
(4)事業所登録    150,402事業所

◆登録運営管理機関    197社


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3〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更
をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内
文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。

〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更など)
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    してください。

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  ( http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact )
   ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
    さい。


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 次号(第320号)は、3月15日(火)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
  
    編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター 

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