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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第316号(2016.1.15)
                                                 日本商工会議所
                                          商工会議所年金教育センター 

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【勉強会レポート】
1 〉DCプランナー勉強会 レポート
  「厚生労働省企業年金部会提案について」(全3回)
   第3回「リスク分担型DB」実現のための課題   
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【勉強会の開催情報】
2〉大阪で開催する勉強会のご案内
   第6回 ホンネで語り合う企業年金事情
  ─────────────────────────────────
3〉大阪で開催する勉強会のご案内
  今さら人には聞けない!? 年金財政運営『超』入門(再掲)
  ─────────────────────────────────
4〉東京で開催する勉強会のご案内
   「マイナンバーの企業年金への影響
                    -マイナンバーで確定申告の何が変わる?-」(再掲)
───────────────────────────────────
【日本商工会議所からのお知らせ】
5〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1 〉DCプランナー勉強会 レポート
  「厚生労働省企業年金部会提案について」(全3回)
   第3回「リスク分担型DB」実現のための課題 佐野 邦明
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 今回は連載の最終回で、平成27年9月11日に開催された厚生労働省の社会保
障審議会企業年金部会で提案された「柔軟で弾力的な給付設計(リスク分担型
DB)」実現のための課題について整理します。

 なお、本稿の意見に関する部分は、筆者個人の見解であり、所属する組織・
法人のものではありません。

◇ リスク分担型DBの特徴
 第2回で解説した通り、「リスク分担型DB」では確定給付企業年金法(以
下、DB法)の枠内の制度として位置づけられており、「基準となる給付」は
設定されていますが、給付額は基準となる給付に対する積立水準で変動し、掛
金水準は固定(注)されます。

 掛金・資産の運用結果によって給付額が変動し、掛金水準が固定(注)され
る点はDCと同様の仕組みですが、個人勘定はなく、給付額算定の仕組みは通
常のDBと同様で、「退職時給与×支給係数」や「ポイント累積×ポイント単
価」などの給付算定式によって基準となる給付が決定されます。


 つまり「給付の基本的な仕組みはDBだが(給付水準を変動させることによ
り)掛金はDC同様に変動しない仕組み」という制度です。

(注)一定期間ごとに労使合意に基づいて掛金水準の変更は可能

◇ 年金ガバナンス上の課題
 DCでは運用結果によって給付額が決まる(給付変動リスクを従業員が負う)
ため、従業員個人の意思に基づいて運用することが前提となっています。

 一方、通常のDBでは、運用結果等によって発生した積立不足は企業が掛金
を追加拠出して解消します(掛金変動リスクを企業が負う)。そのため、DC
とは異なり、年金資産の運用方針は(基金型では労使で構成する代議員会の決
定事項ではあるものの)従業員個人の意思が直接反映されることはありません。

 リスク分担型DBは、確定給付企業年金法(以下、DB法)の枠内の制度と
して整理されているため、年金資産の運用方針は「DBの枠組み(=個人の意
思が直接反映されない)」で決定することになると考えられます。しかし、年
金資産の運用結果が給付額に直接影響を与える点は、通常のDBとは異なりま
す。

 したがって、リスク分担型DBでは、基本的な制度運営の枠組みは通常の
DBを踏襲したとしても、年金資産運用におけるリスクとリターンのバランス
の決定・年金運用受託機関の選定・実際の運用状況のモニタリング等に関して、
従業員・年金受給者等の意思が的確に反映される仕組みが必須と考えられます。

 厚生労働省の資料では、労使で構成する委員会を組成し、資産運用の方針・
結果について議論することが提案されています(従業員の参画は必須で、受給
者の参画を妨げない)。また、事業主・従業員等が年金資産運用・制度運営に
関する充分な知識を保有していない場合も考えられ、その場合に備えて、資産
運用などに関する外部の有識者を参画させても良いとされています。さらに、
従業員・受給者に対する情報提供の充実も課題として挙げられています。

 実際にリスク分担型DBを導入・運営する際には、厚生労働省の資料におけ
る制度運営に関する意思決定メカニズムを基本としつつ、それぞれの企業の実
情に応じて、企業・従業員・年金受給者等の利害調整を行うための仕組みを整
備することも必要になると考えられます。

◇ その他の課題
 その他の課題として、税制面と企業会計面についての整理が必要と考えられ
ます。
 
 税制面については、「掛金の弾力拠出」が前提となることから、「企業が拠
出する年金掛金は税務上の費用(損金)となるため、税務当局の理解が必要」
な点です。具体的には基準となる給付水準に対する積立不足の決定方法および、
当該積立不足に対応する掛金の客観的・合理的な決定方法と具体的な拠出方法
の決定です。(連載第1回を参照)

 また、通常のDBからリスク分担型DBへ移行する際、急激な給付水準の変
動を回避するために、基準となる給付水準に対応する積立不足の一定割合の掛
金を一時的に拠出する選択肢が必要となる可能性もあると思われ、この点に関
しても詰める必要があるでしょう。

 次に企業会計上の課題です。退職給付会計基準では「掛金を拠出することで
企業の退職給付制度に関する責務はなくなり、その後は一切の責務を負わない」
場合には、DCの会計処理を行うことになります。

 DCの会計処理は、DBの会計処理で必要となる、「退職給付債務の測定や
貸借対照表に負債計上」の必要がなく、「実際に拠出した掛金を費用として損
益計算書に計上」すれば良く、企業の財務上の不確定要因は軽減されます。

 厚生労働省の資料には「リスク分担型DBは一定期間、掛金は変動しない」
との記述がありますが、「・・・新たに労使合意を形成し、掛金(率)を変更
することは妨げない」という記述もあり、「一定期間ごとに掛金が変動する」
とも解釈できます。

 日本の退職給付会計の処理方法を決定するのは「会計基準委員会」であり、
当該委員会の検討結果が、リスク分担型DBの普及に影響すると思われるため、
どのような結論となるか見定める必要があります。
 今回で企業年金部会の資料に関する解説は終了です。ご愛読ありがとうござ
いました。


 *執筆者紹介
  佐野 邦明
  株式会社シーエーシー 専門顧問
  年金数理人、日本アクチュアリー会正会員


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2〉大阪で開催する勉強会のご案内
   第6回 ホンネで語り合う企業年金事情
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下記のとおり大阪で勉強会を開催いたします。

 厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現
場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、
DC投資教育の動向、諸外国の年金動向など幅広い内容をもとに、年金基金の
担当の方、企業の人事・労務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関
の方、コンサルタント等、それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にも
してまいります。企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。

  「ホンネで語り合う企業年金事情」もスタートして1年経ち、通算5回開催
してまいりました。平成28年も年4回程度のペースで開催する予定です。告知
時のタイトルは、今回より通し番号を付すことにいたしました。

◆日 時:2月20日(土)15:00~17:00 (受付開始14:30)

◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)

◆講  師:登録講師
      1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

◆会 場:追手門学院 大阪城スクエア 6階 大手前ホールB
     (大阪市中央区大手前1-3-20)
      http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html

◆定 員:20名(先着順)

◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
          http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=198


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3〉大阪で開催する勉強会のご案内
  今さら人には聞けない!? 年金財政運営『超』入門(再掲)
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◆内 容
「なぜ現在価値にいちいち置き換えるのか?」
「財政方式って結局何が一番良いの?」
「継続基準と非継続基準の違いは?」
「今期発生するのに『過去勤務債務』とはこれいかに?」

 とかく難解でとっつきにくいと言われる年金財政・年金数理ですが、基本原
則さえ踏まえておけば、決して理解できないものではありません。今回の勉強
会では、DCプランナーならば最低限押さえておきたい年金財政・年金数理の
イロハを、初級者の視点に立って懇切丁寧に解説いたします。企業年金の実務
担当者の知識整理としても有用です。
 以前、東京で開催された折には大変好評を博したセミナーです。ご参加お待
ちしております。

主な構成(予定)
・年金財政は何故ややこしい?
・収支相等の原則と財政方式(いつ・どのように準備するか)
・財政検証のしくみ(継続基準と非継続基準の違い)
・DCにも欠かせない「現価」の知識(どう貯めるか・どう取り崩すか) など

◆日 時:2月5日(金)18:30~20:30(受付18:00~)

◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)

◆講 師:谷内 陽一(たにうち よういち)氏
     りそな銀行 年金信託部 りそな年金研究所 担当マネージャー
     1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、
     証券アナリスト(CMA(R))
     MBA(経営管理修士(専門職))

◆会 場:追手門学院 大阪城スクエア 6階 大手前ホールB
     (大阪市中央区大手前1-3-20)
     http://www.otemon-osakajo.jp/outline/index.html

◆定 員:20名(先着順)

◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会 

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお願いします。
     http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=197


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4〉東京で開催する勉強会のご案内
   「マイナンバーの企業年金への影響
                    -マイナンバーで確定申告の何が変わる?-」(再掲)
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◆内 容
  年金と税金は知らないと損をする制度です。2月は、いよいよ税金の確定申
告書の提出時期です。年金受給者の確定申告は、源泉徴収等で取られ過ぎた税
金を取り戻すための手続きです。今回は、年金受給者(特に企業年金受給者)
の確定申告のポイントと税金の改正事項について解説します。

 また、平成28年からは「公平・公正な社会の実現」のために、税分野へのマ
イナンバー制度の適用が開始されます。マイナンバーが導入されたら確定申告
がどうかわるかについても解説します。


◆日 時:2月4日(木)18:30~20:30(受付18:00~)

◆会 費:3,500円(会場にて申し受けます)

◆講 師:松村 正明
     特定社会保険労務士、
     1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、
     1級FP技能士、CFP

◆会 場:東京都港区虎ノ門 第一オカモトヤビル 4階 
     http://www.okamotoya.com/company/office/pop_1.html

◆定 員:40名(先着順)

◆お申し込み方法:
     Eメールにて、タイトルに「2月4日勉強会参加希望」と
     ご入力頂き、お名前、所属をご記入のうえ、以下のアドレス宛て
     にお送りください。
     admin@globalmind.co.jp

◆幹 事:みなとグローバル研究会 虎ノ門勉強会(旧 企業実務研究会)  
     事務局 大高 直美


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【日本商工会議所からのお知らせ】
5〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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  DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更
をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内
文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。

〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更など)
  のコーナー( https://dcplanner.cloud-cafe.club/ )
  ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の
    専用サイトです。
    同サイトのご利用に当たっては、最初にメールアドレス等をご登録いた
    だく必要があります。
  ※ ご連絡の際は、「資格登録情報も合わせて変更する」ボタンをクリック
    してください。

〇『商工会議所検定試験サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー
  ( http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact )
   ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
    さい。

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 次号(第317号)は、2月1日(月)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
  
    編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター  

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ください。
  E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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