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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第365号(2018.2.1)
                          日本商工会議所
                    商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「公的年金と私的年金の連携のための指標  オーストラリアの事例」 
                           (全3回)
   第2回  オーストラリアにおける家計アプローチの活用
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【各種のデータ】
2〉確定拠出年金の施行状況(平成29年12月31日現在)~厚生労働省調べ
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【勉強会の開催情報】
3〉東京で開催する勉強会のご案内                
  「DB、DCの誕生から15年にあたって」
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「公的年金と私的年金の連携のための指標  オーストラリアの事例」 
                           (全3回)
  第2回  オーストラリアにおける家計アプローチの活用  佐野 邦明
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 OECD等の国際機関の統計資料では、公的年金や私的年金の給付水準は「所得
代替率」で表示するのが一般的です。日本でも公的年金制度の給付水準を「所
得代替率」を用いて表します。所得代替率は、年金受給者の収入と現役世代の
収入の比率であり、判りやすい指標かもしれません。

  「家計アプローチ」は「想定する生活水準を維持するための家計支出に着目
した指標」で、生活水準維持のために必要な食糧・燃料・衣服等の物品や利用
するサービスの数量・頻度と単価を積上げて算定します。実際の生活水準に応
じた物品・サービス・金額が示されるため「具体的な指標」といえるでしょう。

○オーストラリアにおける家計アプローチの活用
  オーストラリアでは、「公的年金のみ」・「スーパーアニュエーションを上
乗せ」・「さらに個人貯蓄を上乗せ」のそれぞれの生活水準を家計アプローチ
で具体的に示すことによって、国民に引退後生活に対する備えを促しています。

  2017年3月時点の想定生活水準は、ローコスト水準(公的年金のみ)が夫婦
で年間212万円・単身で141万円(注)、標準的水準(スーパーアニュエーショ
ンを上乗せ)が夫婦で237万円・単身で165万円、余裕ある水準(さらに個人貯
蓄を上乗せ)が夫婦で408万円・単身で270万円です。

(注)夫婦は男女とも70歳。単身は70歳女性で、いずれも住宅を保有。為替は
      購買力平価(1豪㌦=68円)で換算

  イメージを明確にするために、生活の基本要素である衣食住のうち、「衣」
と「食」を例にその内容を比較します。「食(外食)」は、余裕ある水準では
定期的なレストランでの良質な食事が可能、標準的水準では不定期ではあるも
ののレストランでの食事が可能、ローコスト水準では安価なメニューのテイク
アウトに限定されます。「衣(衣料品)」ではそれぞれ、ブティック等で高品
質の品物を購入可能、一般的な小売店で適正な価格の品物を購入可能、ディス
カウントストアでの安価な品物の購入に限定、といった相違があります。

  なお、ローコスト水準の対象となる公的年金は「高齢者に対する社会扶助」
の位置づけですが、居住地近辺の日帰り旅行が可能(標準的水準では、年1回
の短期国内旅行、余裕ある水準では年1回の長期国内旅行)である等レジャー
を楽しむことが前提とされている点に留意が必要です(次項参照)。

○オーストラリアにおける家計アプローチの開発
  オーストラリアでは英米の先行研究を参考に、社会保障省が(年金に限らず)
社会保障の充分性を評価するために、1995年に家計アプローチに基づく指標の
開発に着手し、1998年に結果が公表されています。公表資料では「オーストラ
リアにおいて、現代的な社会生活を営むうえで、いくつかの基本的な選択肢に
ついて対応可能となる家計支出の水準」を「標準的生活」として家計アプロー
チの基礎としています。

  「標準的水準」とはいっても、家族構成・居住地・持家状況等によって費目
の構成割合と支出額は変わります。そのため、「シドニー近郊に居住する12類
型・26パターンの家族構成・持家状況等を想定しています。その際、詳細な費
目分類に基づく家計支出データを参照しつつも、社会的慣習、所有比率基準(注)
や専門家の知見に基づく検討を行って統計データを補正し、最終的な「標準的
水準」のモデル家計支出を作成します。

(注)所有比率基準:「標準的水準」と「ローコスト水準」を区分する指標で、
      全家庭の50%以上が保有・利用する物品・サービスは「標準的水準」、
      75%以上が保有・利用する物品・サービスは「ローコスト水準」にそれ
      ぞれ該当するという定量基準

  「標準的水準」のモデル家計支出が決まると次に「ローコスト水準」の家計
支出を決定します。「ローコスト水準」は「必要最低限」のイメージですが
「生存可能な最低限度の生活を維持するための家計支出」ということではあり
ません。「倹約と注意深い資金管理を必要とするが、社会通念に従って経済的
・社会的活動をすることが可能であり、職場・地域社会・家庭生活において一
般的に期待される活動が可能な生活水準を維持するための家計支出」です。

  なお、モデル家計支出は住居費・衣料品・食料品等費目別に設定されますが、
「標準的水準」や「ローコスト水準」は家計支出総額の水準を示しているもの
です。

  つまり、食費を削ってその分衣料品を増額して家計支出総額が全体として標
準的水準(またはローコスト水準)に相当することは想定の範囲内です。

  次回は、1998年以降のオーストラリアにおける家計アプローチ見直しの状況
と、家計アプローチを日本で採用する場合のメリットと課題について解説しま
す。

*執筆者紹介
  佐野邦明
  株式会社 シーエーシー 専門顧問
  年金数理人、日本アクチアリー会正会員、日本年金学会会員


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2〉確定拠出年金の施行状況(平成29年12月31日現在)~厚生労働省調べ
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 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
 アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html


◆企業型年金の規約数等 	
(1)承認規約数 	       5,669件
(2)加入者数        約6,414千人(平成29年11月末現在 速報値)
 (3)実施事業主数     28,990社

◆個人型年金の加入者等 	
 (1)第1号加入者      111,327人
 (2)第2号加入者      614,877人
 (3)第3号加入者       18,486人
 (4)合 計            744,690人
 (5)事業所登録        298,436事業所
			
◆登録運営管理機関 	   208社

	
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3〉東京で開催する勉強会のご案内                
  「DB、DCの誕生から15年にあたって」
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  15年前に、確定給付企業年金、確定拠出年金が登場しました。
  今回の勉強会では、それをうけて15年でそれぞれどのような変遷があり、
さらに今後もどのような機能や役割が求められるかについて、ディスカッショ
ンをしたいと考えています。
 
 コーディネーター 久保俊一氏
 パネラー     田川勝久氏
 パネラー     谷内陽一氏


◆日 時:3月20日(火)18:30~20:30(受付18:10~)

◆会 費:3,500円(会場にて申し受けます)


◆会 場:エムワイ貸会議室高田馬場
     東京都新宿区高田馬場1-29-9 TDビル
 http://meijiyasuda-life-hall.com/kashikaigishitsu-takadanobaba/access.html

◆定 員:40名(先着順)

◆申込み:Eメールにて、タイトルに「3月20日勉強会参加希望」と記載し、
     お名前、所属につきまして、以下のアドレス宛てにお送りください。
      admin@globalmind.co.jp


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4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 DCプランナー資格登録者で、住所、氏名、勤務先、メールアドレス等を変
更した場合は、お手数ではございますが、以下のいずれかのサイトから登録内
容の変更手続きを行ってください。変更手続きをお取りいただかない場合、情
報誌や資格更新に関する案内文書の送付、メールマガジンの配信等ができなく
なりますのでご注意ください。
 
 なお、本メールに返信いただきましても、住所・氏名等の変更はお受けでき
ませんのでご注意ください。

〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な
  ど)のコーナー(https://dcplanner.cloud-cafe.biz)
  ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の
    専用サイトです。
    同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録
    いただく必要があります。
  ※ ご連絡の際は、ご登録の情報を修正後「資格登録情報も合わせて変更す
    る」ボタンをクリックしてください。

〇『商工会議所検定サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー
  (https://www.kentei.ne.jp/dcp/contact)
   ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
    さい。


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 次号(第366号)は、2月15日(木)に送信予定です。
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    編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター 

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