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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第363号(2018.1.5)
                          日本商工会議所
                    商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「公的年金と私的年金の連携のための指標 オーストラリアの事例」 
                           (全3回)
   第1回  オーストラリアの年金制度の概要と給付水準
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【各種のデータ】
2〉確定拠出年金の施行状況(平成29年11月30日現在)~厚生労働省調べ
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【勉強会の開催情報】
3〉大阪で開催する勉強会のご案内
  平成29年度「DCプランナー1級受験対策講座」(再掲)
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「公的年金と私的年金の連携のための指標 オーストラリアの事例」 
                           (全3回)
   第1回  オーストラリアの年金制度の概要と給付水準  佐野 邦明
─────────────────────────────────── 

 日本では、公的年金制度に持続可能性を確保するための「マクロ経済スライ
ド」が導入され、給付水準の低下が見込まれる状況です。このため、公的年金
を補完する企業年金の重要性や自助努力の必要性が強調されています。個人型
確定拠出年金「iDeCo」の普及拡大が図られているのも、このような状況を受け
てのことと推察されます。
 
 本稿で採り上げるオーストラリアでは、公的年金の守備範囲を「最低限の社
会生活が可能な生活水準(ローコスト水準)」に限定しており、その補完を図
るべく、被用者にスーパーアニュエーションというDCを強制適用しています。
スーパーアニュエーションを上乗せすることにより「標準的な社会活動が可能
な生活水準(標準的水準)」の達成が可能となり、さらに個人貯蓄を上乗せす
ることにより「余暇などを満喫することが可能な生活水準(余裕ある水準)が可
能になります。それぞれの生活水準は、家計支出額調査等に基づいた「家計ア
プローチ」の手法で決定されます。

 本稿では3回にわたって、オーストラリアの年金制度の給付水準と家計アプ
ローチの対応関係、家計アプローチの開発過程、家計アプローチのメリットと
課題を解説します。

 なお、本稿は筆者の個人的見解に基づいて記述しているものであることをあ
らかじめお断りしておきます。

◇ オーストラリアの公的年金
 オーストラリアの公的年金は、オーストラリア在住10年以上の者に支給する、
高齢者の生活扶助を目的とする税を財源とする年金です。年金額は2週間あた
り単身者で888.30豪ドル=約6万円(注)、夫婦で1,339.20豪ドル(約9.1万円)
です。(2017年7月1日現在の額)。生活扶助の位置づけなので、住宅を除く財
産や公的年金以外の収入があれば減額されます。

 支給開始年齢は、2017年1月から65.5歳で2年ごとに0.5歳ずつ引き上げられ、
2024年1月1日以降は67歳になる予定です。

 公的年金の水準は「最低限の社会生活が可能な生活水準が維持できる程度」
ですが、これは次回に解説する「ローコスト水準」に相当します。具体的には、
「外食はテイクアウトのみ」「自家用車は利用しない」「飲酒は国産ビールに限
定」「理髪などの生活サービスは年金受給者向けの割引を不定期に利用する」
「衣料品はディスカウントショップで購入できるものを必要に応じて購入」
「レジャーは居住地近辺での日帰り旅行や映画鑑賞のみ」「私的な医療保険の
利用は不可」と具体的に説明されています。

(注)1豪ドル=68円(購買力平価)で換算。以下同じ

◇ スーパーアニュエーション
 スーパーアニュエーションは、1992年に導入された被用者に強制適用される
DCです。適用対象者は18歳以上で月収450豪ドル(約3.1万円)の被用者です。
事業主は、賃金の9.5%以上を従業員の指定する運用期間の口座に拠出しなけれ
ばなりません。従業員が指定しない場合は、低コストの「マイ・スーパー」(デ
フォルトファンド(ターゲットイヤー型またはバランス型)に拠出します。
 なお、日本のDCとは異なり、通常は、従業員が自ら運用商品を組み合わせ
て運用することはなく、既存の運用商品の中から一つを選択します。

 スーパーアニュエーションの給付は、一時金・定率取崩・終身年金保険購入
のいずれかです。1960年6月末以前出生者は55歳以上で引き出しが可能ですが、
段階的に引き上げられ、1964年7月1日以降の出生者は60歳以上にならないと
引き出しができません。また、定率取崩の場合は、残高に対する最低引出率が
年齢によってきめられており、65歳未満の最低引出率は4%ですが、95歳以上
は14%になります。

 スーパーアニュエーションの税制は、拠出段階・運用段階は課税(ただし軽
減税率が適用される。運用段階は運用収益に対する課税)、給付段階は非課税
です。

 スーパーアニュエーションを上乗せして達成できる生活水準は「標準的水準」
です。具体的には、「宿泊を伴う国内旅行が可能」、「不定期ではあるがレス
トランでの外食が可能」、「中古車だが自家用車の利用が可能」、「量り売り
ではあるがワインを楽しむことが可能」、「適正な品質の衣料品の購入が可能」、
「定期的に安価な理髪サービスなどの利用が可能」、「私的な医療保険の利用
が可能」というイメージです。

 公的年金のみに依存する「ローコスト水準」と比較すると、衣食住はもちろ
ん、レジャー活動や行動に関する制約が大幅に緩和されていることがわかると
思います。

 次回は、このような具体的な生活水準を導き出す「家計アプローチ」の開発
経緯とその概要に関して解説します。


*執筆者紹介
  佐野邦明
  株式会社 シーエーシー 専門顧問
  年金数理人、日本アクチアリー会正会員、日本年金学会会員


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2〉確定拠出年金の施行状況(平成29年11月30日現在)~厚生労働省調べ
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 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
 アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html


◆企業型年金の規約数等 	
(1)承認規約数 	       5,627件
(2)加入者数        約6,411千人(平成29年10月末現在 速報値)
 (3)実施事業主数     28,652社

◆個人型年金の加入者等 	
 (1)第1号加入者      108,999人
 (2)第2号加入者      585,815人
 (3)第3号加入者       17,267人
 (4)合 計            712,081人
 (5)事業所登録        291,236事業所
			
◆登録運営管理機関 	   208社


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3〉大阪で開催する勉強会のご案内
  平成29年度「DCプランナー1級受験対策講座」(再掲)
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 例年ご好評をいただいている1級DCプランナー試験の受験対策講座を今年
も開講いたします。本講座では、公的年金、企業年金等のエキスパートとして
活躍されている講師をお招きし、基礎からわかりやすく講義いたします。
 
●日 時  平成30年1月8日(月・祝)13:00~17:00
      科目:直前最終チェック(全分野)
        全分野の総復習です。応用編の答案作成練習を中心に行います。

●会 場  大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
      (大阪市中央区大手前1丁目3-49)
      http://www.dawncenter.jp/shisetsu/map.html

●受講料  5,000円(税込)
      ※受講料は、当日会場にて現金で申し受けます。

◆定 員:20名(先着順)

◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
          http://www.benkyou-j.com/study/detail.php?sid=210


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4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更
をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内
文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。
 
 なお、本メールに返信いただきましても、氏名・住所等の変更はお受けでき
ませんのでご注意ください。


〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な
  ど)のコーナー(https://dcplanner.cloud-cafe.biz)
  ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の
    専用サイトです。
    同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録
    いただく必要があります。
  ※ ご連絡の際は、ご登録の情報を修正後「資格登録情報も合わせて変更す
    る」ボタンをクリックしてください。

〇『商工会議所検定サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー
  (https://www.kentei.ne.jp/dcp/contact)
   ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
    さい。


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 次号(第364号)は、1月15日(月)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
  
    編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター 

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 ください。
 E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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