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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                        第350号(2017.6.15)
                          日本商工会議所
                    商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【連載記事】
1〉「平成29年の年金改正事項の解説」全3回
      第1回 平成29年の年金額と年金額改定ルールの見直し  
───────────────────────────────────  
2〉1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験
  答案練習(全8回)
  2017年度試験対策 [第2回] 
  B分野:確定拠出年金制度
───────────────────────────────────
【合格体験記】
3〉「DCプランナー1級試験の受かり方」
───────────────────────────────────
【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
───────────────────────────────────
 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「平成29年の年金改正事項の解説」全3回
      第1回 平成29年の年金額と年金額改定ルールの見直し   松村 正明
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 平成28年から平成29年にかけて年金制度に大きく影響する改正がありました。
  ・平成28年10月:短時間労働者に対する厚生年金保険等の適用拡大
  ・平成28年12月:年金額改定ルールの見直し法の公布
  ・平成29年1月:個人型DCの加入対象者範囲の拡大
  ・平成29年8月:老齢年金の受給資格期間の25年から10年への短縮

 今回は、3回にわたりこれら年金の改正事項を解説していきます。

  第1回として「平成29年度の年金額と年金額改定ルールの見直し」について
解説します。

  日本年金機構のホームページには、平成29年度の年金額について「平成29年
4月分(6月15日支払分)からの年金額は、法律の規定により平成28年度から
0.1%の引下げとなります。」と記載されています。どうして、0.1%引き下げに
なったのでしょうか。

<年金額の改定ルール>
 公的年金は、年金の実質価値を維持するため、賃金・物価スライドを採用し
ています。年金額は現役世代の賃金水準に連動する仕組みとなっており、年金
を受給し始める際の年金(新規裁定年金)は名目手取り賃金変動率(以下、
「賃金変動率」)によって改定し、年金受給中の年金(既裁定年金)は購買力
に着目して物価変動率によって改定することが原則です。

 その上で、急速な少子高齢化に伴い年金財政を長期的に安定させるため年金
額を一定期間、物価や賃金の上昇よりも抑制し緩やかに年金の給付水準を引き
下げるマクロ経済スライドが平成27年度から適用されました。マクロ経済スラ
イドは、賃金や物価の上昇によって増える年金額からスライド調整分を減額す
ることよって年金額の上昇を抑える仕組みです。

<平成29年度の年金額の改定方法>
 平成29年度の物価変動率は▲0.1%、賃金変動率は▲1.1%です。年金額は、
給付と負担の長期的な均衡を保つ観点から、賃金変動率、物価変動率ともマイ
ナスで物価変動率が賃金変動率より高い場合は、年金の実質価値を維持するた
めに新規裁定年金・既裁定年金ともに物価変動率に合わせて改定することにな
っています。

 また、平成29年度のスライド調整率は▲0.5%でしたが、マクロ経済スライド
による調整には、名目下限措置があり前年の年金額を下回らない範囲で行うこ
とになっていますので、マイナスの場合は実施されません。

 その結果、平成29年度の年金額はマクロ経済スライドによる調整は適用され
ず、物価変動率に合わせて新規裁定年金・既裁定年金とも▲0.1%とされました。

<年金改革法の年金額改定ルールの見直し>
 平成29年12月26日に公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準
を確保するため、(1)年金額改定ルールの見直し(平成33年4月施行)、(2)
マクロ経済スライドによる調整ルールの見直し(平成30年4月施行)を盛り込
んだ年金改革法が公布されました。

(1)年金額の改定ルールの見直しでは、支え手である現役世代の負担能力に応
  じて給付する観点から、賃金変動率が物価変動率を下回る場合には、賃金
  変動率に合わせて改定するように変更されます。仮に年金改革法が適用さ
  れていた場合、平成29年度の年金額は賃金変動率に合わせて▲1.1%年金が
  下がることになります。
 (2) マクロ経済スライドによる調整では、現在の高齢世代に配慮しつつ、でき
  る限り早期に調整する観点から、名目下限措置を維持しつつ、賃金・物価
  の変動率の範囲内で前年度までの未調整分(キャリーオーバー分)を調整
  することになります。仮に年金改革法が適用されていた場合、平成29年度
  のケースでは、スライド調整率▲0.5%は来年度以降にキャリーオーバーし、
  仮に来年度賃金・物価が、1.0%上昇した場合には、年金は来年度のスラ
  イド調整分(仮に▲0.5%)とキャリーオーバー分(▲0.5%)が調整され、
  年金は上がらないことになります。

 今回の年金改革法によって、賃金が物価以上に下落した場合は物価の下落以
上に年金が下がり、賃金・物価が上がったとしてもキャリーオーバー分がある
場合には年金は上がらないことになります。年金受給者にとっては、厳しい時
代となります。

 *執筆者紹介
  松村 正明 (まつむら まさあき)
  社会保険労務士FP事務所 所長 (元みずほ信託銀行)
  1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、特定社会保険労務士
  CFP(R)、1級ファイナンシャルプランニング技能士


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2〉1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験
  答案練習(全8回)
  2017年度試験対策 [第2回] 
  B分野:確定拠出年金制度
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【問題】(2017年1月出題)

 次の設例に基づいて、下記の各問(《問1》~《問3》)に答えなさい。

《設例》
   これまで退職一時金制度のみを実施してきたM社は、確定拠出年金制度へ
 の移行を検討している。総務部のAさんは、取引先金融機関のDCプラン
 ナーであるBさんから、企業型年金の実施にあたって作成しなければならな
 い規約等について、レクチャーを受けている。Bさんは、「企業型年金の実
 施にあたっては、確定拠出年金法3条に基本的な事項が規定されていますの
 で、まずこれに則って手続を進めることが必要です」といって、同条の内容
 を示して説明した。
  また、Bさんは規約の承認申請に必要な添付書類や、企業型年金を実施し
 た場合の事業主に求められる禁止行為についてAさんに説明した。
   
             
《問1》Bさんは企業型年金の規約の承認について、確定拠出年金法第3条に
 基づいてAさんに説明した。以下の同法第3条の条文における空欄<(1)>
 ~<(4)>に入る語句の組合せとして適切なものを、1)~4)のなかから
 選びなさい。
 
  「<(1)>適用事業所の事業主は、企業型年金を実施しようとするときは、
 企業型年金を実施しようとする(1)適用事業所に使用される<(2)>(企業
 型年金に係る規約において第三項第六号の二に掲げる事項を定める場合にあ
 っては、六十歳に達した日の前日において当該(1)適用事業所に使用される
 (2)であった者で六十歳に達した日以後引き続き第一号厚生年金被保険者又
 は第四号厚生年金被保険者であるもの(当該規約において定める六十歳以上
 六十五歳以下の一定の年齢に達していない者に限る。)のうち政令で定める
 者を含む。以下この項において同じ。)の<(3)>で組織する労働組合があ
 るときは当該労働組合、当該(2)の(3)で組織する労働組合がないときは当
 該(2)の(3)を代表する者の同意を得て、企業型年金に係る規約を作成し、
 当該規約について<(4)>の承認を受けなければならない。」

 1) (1)厚生年金  (2)厚生年金保険の被保険者 (3)過半数
   (4)厚生労働大臣
 2)(1)厚生年金  (2)従業員 (3)三分の一 (4)年金事務所
 3)(1)企業型年金 (2)従業員 (3)過半数   (4)厚生労働大臣
 4)(1)企業型年金 (2)厚生年金保険の被保険者  (3)三分の一
   (4)年金事務所

              
《問2》確定拠出年金法第3条で定められている組織率を上回る労働組合のあ
 る事業所が企業型年金を実施しようとする場合、企業型年金規約承認申請書
 に添付しなければならない書類を2つ答えなさい。
 

《問3》 確定拠出年金法が定める事業主の行為準則における事業主の禁止行
 為に関する次の文章の空欄<(1)>~<(4)>に入る適切な語句を答えなさ
 い。

 ・<(1)>または<(2)>以外の第三者の利益を図る目的をもって、運営管
  理業務の委託に係る契約または資産管理契約を締結すること
 ・事業主が自ら運用関連業務を行う場合は、(1)または(2)以外の第三者の
  利益を図る目的をもって、<(3)>を選定すること
 ・(2)に対して、(1)または(2)以外の第三者に<(4)>を委託することを
  勧めること


※ 本練習問題の解答・解説については、資格登録者のみに公開しています。


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3〉「DCプランナー1級試験の受かり方」   西海 秀俊
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1.受験動機
 入職時にすでに選択制での確定拠出年金が導入されており、数年前に当時の
経理部長から確定拠出年金は良い制度だと熱っぽく語られたことから、確定拠
出年金に興味を持ちました。その当時は確定拠出年金に関してはまったく知識
がありませんでしたが、幸いなことに、特にわかりやすくかみ砕いて各退職給
付制度を説明した「そこが知りたい!わかりやすい企業年金、退職金メルマガ」
(編集部注:現在廃刊)が発行されてしばらく経った時期でした。

 あわせてウェブ学習ツール「東海道確定拠出年金制度を学ぶ旅」※で確定拠出
年金の勉強をしました。試験当日の朝に、ようやくきんざいの問題集(3級・
2級)の全問を1回読み終えただけという準備不足でしたが、無事平成25年秋
に2級試験に合格できました。
※ http://www.infobank.co.jp/cci-nenkin/tokaido/001_nihonbashi.htm

  その後、経理部長が退職し、職場に確定拠出年金に詳しい職員がいなくなり
ました。確定拠出年金の担当部署所属ではないのですが、確定拠出年金のこと
をわかっている職員が職場にいた方がよいかと思い、1級試験の受験を決めま
した。

2.試験勉強
 2級試験合格後、みなとグローバル研究会・大阪大手門勉強会主催の勉強会
にちょくちょく参加していました。毎年、1級受験対策講座を開催しており、
試験情報を入手するため、また本を読むよりも先生の話をお聞きした方が理解
が早いだろうと考えたため、講座を受講することにしました。6回計18時間の
講義でした。

 2級試験合格から3年が経ち、業務で確定拠出年金に接する機会もないため、
いきなり1級の勉強はできないと思い、3級・2級の問題集を読むことから始
めました。自宅では勉強せず、職場の昼休みや出張などの移動時に本を開いた
だけですが。1級の勉強前の準備がはかどらないうちに、講座が始まりました。
結局、講座開催中は自宅では勉強することはなく、講座に全出席しただけです
(講座では、1回1.5時間の計算問題演習が2回ありました)。

 遅まきながら、さすがにこのままではまずいと思い、C分野を3級から1級
まで一気に問題を解きました(ノートにペンで解答を書きました)。C分野は、
一番得点源になると思います。知識の定着を図るために、完全に身に付いたと
思えない問題は、試験当日まで何度か解き直しました。風邪をひいてしまい、
まったく勉強していない日もありましたが、C分野の問題でまだ身に付いたと
思えない問題の解き直し、A分野の退職給付会計の勉強(講座の計算問題演習
の問題の復習)、B分野(基礎3級・2級・1級、応用3級・2級)に取り組み
ました。

 試験後も勉強不足と感じ、3日間勉強しました。

3.結果
 基礎70点、応用74点の合計144点でなんとか合格していました。

4.おすすめの勉強方法
(1)大阪・東京の方は、1級受験対策講座を受講する。
(2)C分野・D分野を3級~1級まで一気に解く。計算問題はノートに書く。
  間違った問題は確実に解けるようになるまで解き直す。身に付けたことを
  忘れないように、また勘が鈍らないように、毎日1問計算問題に触れる。
(3)A分野の基礎編は捨てる。ただし、「退職給付会計」は応用編の計算も
  含めて、きちんと理解し、問題を解けるようにする。また、「中退共」
  「特退共」「国民年金基金」などは講座の講師が教えてくれるポイントを
  暗記する。
  ※DCプランナー2級の直前に、FP2級に合格済みですが、その程度の
   知識ではまったく歯が立たないので、A分野の国民年金・厚生年金など
   は捨てた方がよいと思います。
(4)全分野とも基礎編の計算問題と応用編全問はノートに書く。
(5)B分野の基礎編については、おすすめの勉強法はわかりません。
   私の場合は、勉強時間は短いですが、3級から1級まで問題集を解きま
   した。

 一番のおすすめは対策講座の受講です。受講しやすい料金ですし、特によか
ったのは、『DCプランナー入門』の内容をコンパクトにまとめたレジュメを
もらえたこと、暗記すべき事項(「中退共」等)を絞ってもらえたこと、試験
で出題された問題相互の関連を教えてもらえたことです。計算問題演習を中心
に行われた回では、「退職給付会計」の全体像を示してもらえたことで「退職
給付会計」を理解することができ、問題が解けるようになりました。 


 本合格体験記が少しでも皆様の参考になれば幸いです。


 *執筆者紹介
  西海 秀俊(にしうみ ひでとし)
    病院事務職員11年目、経理課6年目


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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更
をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内
文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。

〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な
  ど)のコーナー(https://dcplanner.cloud-cafe.biz)
  ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の
    専用サイトです。
    同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録
    いただく必要があります。
  ※ ご連絡の際は、ご登録の情報を修正後「資格登録情報も合わせて変更す
    る」ボタンをクリックしてください。

〇『商工会議所検定試験サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー
  (http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact)
   ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
    さい。

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 次号(第351号)は、7月3日(月)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
  
    編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター  

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