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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第347号(2017.5.1)
                          日本商工会議所
                    商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「企業年金の直面する課題」(全3回)
   第3回 スチュワードシップ・コードを取り巻く環境変化と企業年金
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【各種のデータ】
2〉確定拠出年金の施行状況(平成29年3月31日現在)~厚生労働省調べ
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【勉強会の開催情報】
3〉大阪で開催する勉強会のご案内    
  「第11回 ホンネで語り合う企業年金事情」(再掲)
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「企業年金の直面する課題」(全3回)
   第3回 スチュワードシップ・コードを取り巻く環境変化と企業年金
                             久保 俊一 
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 2014年2月に機関投資家向け日本版スチュワードシップ・コード(S-コード)、
2015年5月に上場企業向けコーポレートガバナンス・コード(G-コード)が金融
庁・東京証券取引所から公表されました。両コードは日本企業の収益力向上を
目指しており、多くの機関投資家、上場企業がそれぞれのコード受入れを表明し
ています。こうした中で、機関投資家のひとつである企業年金では、S-コード
受入れがほとんど進んでいません。今回はその背景と今後の展開を考えます。

<日本株の長期低迷が両コードを生む>
 両コードが生まれた裏には、日本の株式市場の長期低迷があります。日経平均
株価は1989年末に38,915円の高値を付けた後、大きく下落し、リーマンショック
後の2009年3月には7,054円まで下げました。2012年末に始まったアベノミクスの
効果で株価は戻り軌道にありますが、バブル崩壊から27年以上経過した現在でも
日経平均株価はピーク時の半分程度の水準です。これほど長い期間にわたって低
迷する株式市場は先進国では極めて珍しく、1929年に歴史的な株価大暴落を経験
した米国の場合、その25年後には高値を更新しています。

 適切なコーポレートガバナンスの欠如を原因とした低い収益力が日本株の不振
の主因とみる金融庁などは、「機関投資家はS-コードに基づいた対話を通して企
業にガバナンス改善を促す」→「企業はG-コードに基づいてガバナンスを改善、
収益力を高める」→「株価の上昇を実現」→「機関投資家の運用利回りが上昇」
――という投資の好循環を呼び起こすことを目指しており、企業年金に対しても
S-コードを受入れるよう旗を振っています。今年3月に開かれた「スチュワー
ドシップ・コードに関する有識者検討会」では、企業年金に受入れを促す意見が
相次ぎました。

 機関投資家はアセット・オーナーと資産を受託運用するアセット・マネジャー
に大別されますが、金融庁の影響下にあるアセット・オーナーやアセット・
マネジャーの大半は既にS-コードを受入れ、投資の好循環に貢献する意志を表
明しています。これに対し、行政上、金融庁の管理下にない企業年金は受入れ
がほとんど進んでいません。現在、全国には約1万3,500件の企業年金がありま
すが、受入れたのは7基金、うち6つは金融機関系の企業年金です。

<受託者責任や利益相反が受入れの壁>
 S-コードについて全面的に反対する企業年金の関係者はほとんどいないと思
います。しかしながら、企業年金の前に幾つかの壁があるのも事実です。一般に
企業年金は数人で業務をこなしています。S-コードを受入れると、その分作業
は増え、事務局にとって負担になります。一方、投資の好循環がもたらす運用利
回り向上はその実現に時間がかかり、しかも、効果を確認するのが難しい。受託
者責任に基づいてもっぱら加入者等の利益のために忠実に働くことを求められる
企業年金が、費用対効果のはっきりしないS-コードの受入れに二の足を踏むの
はもっともな話です。

 「利益相反」という問題もあります。例えば企業年金が母体企業の株式を保有
している場合、自由に議決権を行使できるか、という課題です。責任ある機関投
資家の諸原則であるS-コードは、企業年金に最も合理的な判断・行動をとるよう
求めますが、母体企業が株主総会に提出した議案に「NO」と言えるかどうか。
結局、企業年金がS-コード受入れるには母体企業の理解や同意が欠かせません。

<ESG投資の広がりなど環境の変化が進む>
 S-コード公表から3年余りが経過し、企業の姿勢には変化の兆しも見られます。
上場企業は既にG-コードに基づいて「ガバナンス報告書」を東証に提出し、その
中で「株主の権利・平等の確保」「取締役会の責務」「株主との対話」などの項
目に前向きな考えを表明しました。総会議案によっては利害が対立するケースも
あり得るため、株主との関係には慎重になりがちだった企業が「株主との対話」
に理解を示したことは、企業年金のS-コード受入れにとっては追い風とみていい
でしょう。

 近年、世界の証券市場ではESG(環境・社会・ガバナンス)投資が広がりつつ
あり、その流れは日本にも及んできています。地球で活動する企業が持続可能性
を確保するにはESGへの適切な対応が重要だとの考えであり、グローバルな大
企業を中心にガバナンス意識を高めています。こうした環境の中、企業の意識変
化がさらに進むようだと、企業年金にもS-コードに関して新たな動きが出てくる
かも知れません。

 本稿における意見に関する部分は、筆者個人の見解であり、所属する組織・
法人のものではありません。


*執筆者紹介
  久保 俊一
  公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構 特任研究員 


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2〉確定拠出年金の施行状況(平成29年3月31日現在)~厚生労働省調べ
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 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
 アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html

◆企業型年金の規約数等 	
(1)承認規約数 	5,349件
(2)加入者数  	約5,902千人(平成29年2月末現在 速報値)
 (3)実施事業主数   	26,228社

 
◆個人型年金の加入者等 	
(1)第1号加入者         85,075人
(2)第2号加入者        339,649人
(3)第3号加入者          6,205人
(4)合 計              430,929人
(5)事業所登録          220,422事業所
			
◆登録運営管理機関 	   206社 		


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3〉大阪で開催する勉強会のご案内    
  「第11回 ホンネで語り合う企業年金事情」(再掲)
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 下記のとおり大阪で勉強会を開催いたします。

 新年度になりました。予定利率もマイナスが可能になり、個人型DC、いわゆ
るiDeCoとリスク分担型DBが始動し、企業年金も大きく変わろうとしてい
ます。イルカのイデコちゃんやカトパンで普及を図る動きもあり、厚生労働省に
企業年金の普及を推進するための組織も生まれました。

 平成28年度末の導入実績から、各年金のニーズを図り、その留意点を解説した
いと思います。また、平成30年5月までに予定されている改正、例えばDCから
DBへの逆ポータビリティ、小規模事業主掛金納付制度、運用商品選定数の上限
設定、デフォルトファンド等も目白押しで、これらの解説や問題となるところも
ご紹介いたします。

◆日 時:6月3日(土)15:00~17:00 (受付開始14:45)

◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)

◆講  師:登録講師
      1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

◆会 場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
     大阪府大阪市中央区大手前1丁目3番49号
    【アクセス】
     http://www.dawncenter.jp/shisetsu/map.html

◆定 員:20名
         
◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
     http://benkyou-j.com/study/detail.php?sid=205


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4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更
をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内
文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。

〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な
  ど)のコーナー(https://dcplanner.cloud-cafe.biz)
  ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の
    専用サイトです。
    同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録
    いただく必要があります。
  ※ ご連絡の際は、ご登録の情報を修正後「資格登録情報も合わせて変更す
    る」ボタンをクリックしてください。

〇『商工会議所検定試験サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー
  (http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact)
   ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
    さい。

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 次号(第348号)は、5月15日(月)に送信予定です。
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  編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター 

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