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  》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《

                         第341号(2017.2.1)
                          日本商工会議所
                    商工会議所年金教育センター

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          〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【企業年金あれこれ】
1〉「海外年金からの示唆」(全3回)
    第3回 国際的な年金の課題            
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【各種のデータ】
2〉確定拠出年金の施行状況(平成28年12月31日現在)~厚生労働省調べ
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【勉強会の開催情報】
3〉大阪で開催する勉強会のご案内
  「第10回 ホンネで語り合う企業年金事情」(再掲)
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「海外年金からの示唆」(全3回)
    第3回 国際的な年金の課題  遠藤忠彦    
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 企業福祉の国際会議に出席すると、メインのテーマとして、多国籍企業の従
業員が海外で働く上でどのような処遇や福利厚生を提供するか、それぞれの国
の年金・医療などの制度や規制の動向はどうかを知ることができます。その中
でもEU(欧州連合)などでは、人の移動をスムースにし、効率化するために
年金制度の共通化やポータビリティを進めています。

 今回は国際的な労働移動に伴う年金の課題として、EU内の制度統合や各国
間の年金のポータビリティ、各国との社会保障協定について見てみます。

1.EU内の年金統合
 EUでの通貨は統合され、ユーロが使われ、人の行き来も自由にできるよう
になりました。しかし年金制度は歴史的、文化的な背景があるため、それぞれ
の国の規制の下にあります。そこで共通のルール(法律)であるEU年金指令
(IORP, Institutions for Occupational Retirement Provision)が規定され、
域内で活動する企業が国ごとに持つ制度について一定の条件を満たせば、本国
の制度と一体で管理することを認めています。現在は2003年に出されたフルフ
ァンディングを求めるなどを規定した指令に対して、基金のリスク管理、ガバ
ナンスや加入者への情報提供などを規定した改定案が欧州議会を通過し、2017
年には正式に発効する予定です。2年以内に加盟国は自国の法律や規制を改定
する必要が生じます。

 欧州に進出している日本企業にも適用されますし、国際標準になる可能性が
あることから、関心を持つ必要があるでしょう。

2.各国間での年金資金の移動(ポータビリティ)
 既に発効したIORPを使って、一部の多国籍企業は複数国(例えば、オランダ、
ベルギーなど)の制度を意思決定、事務管理、資産運用についてまとめて管理
しています。国際会議の中でも、フランスの大手製薬会社の事例が紹介されま
した。この時、管理のしやすさ、ポータビリティの点からDC制度が採用され
ます。資産運用だけまとめて行い効率化するアセットプーリングも行われます。

 英国などは、国同士で協定を結び、企業年金資産をペナルティなしに、各国
の登録された年金制度に移換できるようにしています。日本では、企業年金の
ポータビリティが拡充されていますが、規約の変更が伴いますし、国内にとど
まっています。当然、海外企業に転職しても、資金を持ち込めません。

3.社会保障協定
 従業員を海外に派遣する場合に、相手国の年金制度に加入させなければなり
ません。相手国と協定を結ぶことにより、厚生年金への加入はそのままにし、
相手国の制度に加入する必要が無くなります。保険料の二重払いを防ぎ、ほと
んどの場合に加入期間がそれぞれの国の受給資格期間に算入されます。2016年
11月現在、米国をはじめ16か国と協定が発効済みで、署名済み(国会等の承認
待ち)は、フィリピンなど3ヵ国、政府間交渉中は中国など4ヵ国、予備協議
(制度内容の情報提供)中が2ヵ国となっています。ただし、もし派遣から5
年を過ぎてしまって、多少の認められた延長期間も過ぎると、厚生年金を脱退
し相手国の制度に加入しなければなりません。

 確定給付企業年金(DB)や企業型DCでは、厚生年金の加入が条件になり
ますので、相手国の制度に加入すると、脱退する必要がありますが、厚生年金
への特例加入を行えば継続できます。一旦脱退した場合でも、DBでは、規約
で加入期間の通算を定めることもあります。

 2017年1月から、個人型DCの適用拡大が行われ、1~3号被保険者全体が
対象(保険料免除者やマッチング拠出をDC規約に定めている場合などは除く)
になりました。しかし、厚生年金の適用事業所とならない海外企業に転職して、
海外居住してしまうと、たとえ国民年金の任意加入者になっても、個人型DC
に加入できません。国民年金基金は、2017年1月から海外居住で国民年金の任
意加入者が加入できるようになりました。個人型DCと整合性が取れていない
状況です。

 国際化が進み、国をまたいで転職したり、海外居住したりする人が増えるで
しょう。これまでの終身(国内)雇用、国内志向の固定観念は捨てる時が来る
のではないでしょうか。

 お読みいただき有難うございました。


*執筆者紹介
  遠藤 忠彦
  遠藤年金労務コンサルティング・代表
  1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
  特定社会保険労務士 


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2〉確定拠出年金の施行状況(平成28年12月31日現在)~厚生労働省調べ
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 厚生労働省のHPに掲載されている「確定拠出年金の施行状況」の直近の
データについて、その内容を以下にご紹介します。
 アドレスは、こちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/sekou.html

◆企業型年金の規約数等
(1)承認規約数       5,188件
(2)加入者数     約5,882千人(平成28年11月末現在 速報値)
(3)実施事業主数     24,738社
 
◆個人型年金の加入者等(平成28年11月末現在)
(1)第1号加入者     76,433人
(2)第2号加入者     223,068人
(3)合 計        299,501人(資格喪失者を除く)
(4)事業所登録      183,209事業所

◆登録運営管理機関      205社


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3〉大阪で開催する勉強会のご案内    
  「第10回 ホンネで語り合う企業年金事情」 (再掲)
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 下記のとおり大阪で勉強会を開催いたします。

 厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金等、各企業年金の動向や現
場の動き、実際の改革事例、退職給付会計の動向、基金やDBの資産運用動向、
DC投資教育の動向、諸外国の年金動向など幅広い内容をもとに、年金基金の
担当の方、企業の人事・労務担当の方、財務部門の方、事業主の方、運用機関
の方、コンサルタント等、それぞれの立場から自由に意見を語り合える場にも
してまいります。企業年金にご関心のある方のご参加をお待ちしております。

  この1月から個人型DC、いわゆるiDeCoとリスク分担型DBが始動し
ました。企業や個人がこの新しい制度をどのくらい活用するか気になるところ
で、既存の制度を含めて、これらの活用状況を整理し、ご紹介したいと思いま
す。導入して見えてくる課題や、新たなメリットを共有していきましょう。
 また、今後予定されている改正もあり、これらの解説や問題となるところも
ご紹介いたします。

◆日 時:3月25日(土)18:00~20:00 (受付開始17:45)

◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)

◆講  師:登録講師
      1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

◆会 場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
     大阪府大阪市中央区大手前1丁目3番49号
    【アクセス】
     http://www.dawncenter.jp/shisetsu/map.html

◆定 員:20名
         
◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会

◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
     http://benkyou-j.com/study/detail.php?sid=203


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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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 DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更
をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内
文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。

〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な
  ど)のコーナー(https://dcplanner.cloud-cafe.biz)
  ※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の
    専用サイトです。
    同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録
    いただく必要があります。
  ※ ご連絡の際は、ご登録の情報を修正後「資格登録情報も合わせて変更す
    る」ボタンをクリックしてください。

〇『商工会議所検定試験サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー
  (http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact)
   ※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
    さい。


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 次号(第342号)は、2月15日(水)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
  
    編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター 

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 ください。
 E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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