数学が苦手でも大丈夫。簿記を通じて、社会人・経理担当者として成長できました。
(六甲バター株式会社 経営管理部 経営管理チーム 棚橋祐斗さん)

 

簿記資格を生かして、社会で活躍する方を紹介する本コーナー。

今回は、Qちゃん でお馴染みの、「Q・B・B」ブランドのチーズ製品を主力とする、       六甲バター株式会社(兵庫県神戸市)の社員、棚橋祐斗さんにお話を伺いました。

棚橋さんは、大学4年次に日商簿記3級、社会人1年目に2級に合格。その簿記の知識を活かして、同社の経理業務等の第一線で活躍されています。

日商簿記の勉強を始められたきっかけを教えてください

内定を得ていた大学4年時、配属が決まっていた経営管理部の部長との面談で、「経理チームへの配属になること」、「実務には簿記2級の知識が必須であること」を伝えられたのがきっかけです。

自分は大学では発達心理学を専攻するいわゆる「文系人間」で、当時は数学や会計といったものに無縁で苦手意識がありました。そのため、何の知識もないまま「手ぶら」で入社することに不安を感じ、大学卒業前に簿記を取得しておこうと決意しました。

とはいえ、いきなり2級はハードルが高いように感じられたので、まずは3級から挑戦することにしました。

卒業前の2017年2月の統一試験で無事に3級に合格し、自信がついたのでそのまま2級の勉強に移行して、同年11月の統一試験で2級にも合格することができました。

―日商簿記の勉強はどのように行っておられたのでしょうか。勉強で苦労されたことはありますか。

3級は、独学で参考書と問題集を用いて、「解説を読んで、問題を解く」作業を繰り返しました。会計という分野についてゼロからのスタートだったこともあり、「仕訳」の仕組みや「貸借」の考え方を自分の中に染み込ませるのに苦労しました。

2級は、当社の補助制度を利用して大原簿記学校の通信教育を受講しました。3級と比べて論点が多く複雑になりますので、3級に合格していたからといって、決して簡単ではなかったです。特に工業簿記が苦手でしたが、ひたすら反復練習に時間を費やしながら、どうしてもわからない所についてはデスクが隣の先輩社員(2級保持者)に質問して助けていただきました。

また、当時は日々の仕事で、仕訳や決算処理等の比較的シンプルな実務を任せてもらっていたので、少しずつ簿記2級の知識と結び付けることで、理解を深めていくことができました。

―取得された簿記の知識は、どのように活かせていますか。

現在の経営管理チームは管理会計を扱っている部署で、私の主な業務は予算策定と予実分析(予算実績分析)です。予実分析では、会社の実績データに奥深くまで踏み込んで、数字を紐解いていくような感覚で仕事をしています。数字を紐解いていく前に、どのように数字が積み上げられているのかを理解していなければ正確な予実分析はできません。例えば看板商品である「ベビーチーズ」や「6Pチーズ」がどれだけ利益が出ているかという分析では、原料価格や包装資材、工場の製造ラインにかかる経費などが最終的にチーズ1粒にどのようにコストとして積みあがっていくのかという「原価計算の仕組み」は言わずもがな、販売促進費や物流費といった「販売コスト」、その他「一般管理費」への理解も必要となります。簿記2級で学んだ会計の知識全般が大いに役立っています。

以前所属していた経理チーム(財務会計担当)でも、簿記の知識は大いに役に立ちました。チームミーティングや会計監査で頻繁に会計の専門用語が飛び交う部署です。入社したての頃は会計士の質問の意味が理解できず、会計士と先輩の伝言役になるだけということもありましたが、簿記2級取得に向けて日々勉強を進めていくにつれて、会計士からの質問に段々と一人で対応できるようになり、社会人・経理担当者として成長を実感できました。

―日商簿記をはじめ、資格取得や、リスキリングを目指している方々にメッセージをお願いします。

学生時代、根っからの文系人間で、いわゆる「数学的思考」や「会計」といった分野は苦手でした。入社前の部長面談で簿記2級取得を奨励された際、「四則演算さえできれば受かるから」と簡単に言われました。その時は「難関資格だろ・・・そんなわけない」と疑心暗鬼でした。しかし、実際に勉強してみると、参考書や講義で理解した内容をシンプルな四則演算に落とし込むことができ、確かに難しすぎることは無いなと感じるようになりました。

「文系だから」、「数学は苦手だ」などと漠然と抵抗がある方でも、一歩踏み出してみたら「意外といけるかも」と思える資格ですので、是非チャレンジしていただきたいです。

また、簿記に限らず、どんな資格でも、仕事に必要だったり少しでも興味があるなら、「なんとなく苦手」「多分自分には無理」などと限界を決めつけずに、まずは参考書を手に取ることをお勧めしたいです。その一歩が、大きな成長に繋がるはずです。

Q・B・Bキャラクター「Qちゃん」と。

手前は同ブランド製品。

Profile

棚橋 祐斗 Yuto Tanahashi

1994年岐阜県生まれ。2017年2月に日商簿記3級取得。同年4月、六甲バター株式会社入社。同年11月に日商簿記2級取得。他にビジネス会計検定2級も保持。

(2026年2月取材)