プロ野球選手から公認会計士の道へ(CPA会計学院講師 池田駿さん)

簿記資格を生かして、社会で活躍する方を紹介する本コーナー。

今回は、元プロ野球選手で、現在はCPA会計学院講師の池田駿(いけだしゅん)さんにお話を伺いました。

 

日商簿記の学習を始めたきっかけは何でしょうか。

自分の会計知識のレベルを測るためです。将来、プロ野球選手を引退した後のセカンドキャリアとして、税理士を目標にしていたのですが、当時は2023年度の税理士法改正前で、税理士試験の受験資格を満たしていなかったため、それなら公認会計士になって税理士にも登録しようと考えていました。

公認会計士試験の勉強を進めていくうえで、自分の会計知識のレベルを測るため、日商簿記1級を受験することにしました。私が講師を務めるCPA会計学院でも、同じように考えて日商簿記の学習を始める受講生はいます。

ちなみに、税理士を目標にしたのは、プロ野球選手時代は個人事業主だったので、顧問税理士との打ち合わせや確定申告を通じて税務に接点があり、個人的に興味を持っていたからです。

2022年6月施行の第161回1級試験では68点で惜しくも不合格だったので、その後の半年間はより力を入れて勉強に励み、2022年11月施行の第162回の試験で合格しました。

 

日商簿記1級の学習は、どのようにされていましたか。

まず、1級の学習に入る前に、2級、3級の勉強から始めました。CPA会計学院の2級、3級用の無料体験講座があり、プロ野球選手5年目、東北楽天ゴールデンイーグルス在籍中の2月の沖縄キャンプ期間中に時間を見つけて受講しました。

その後、沖縄キャンプから仙台に帰ってきたタイミングで本格的に学習に移ることにしましたが、野球選手をしながら予備校に通うのは難しいと考え、CPA会計学院の通信講座本科コースに申し込みました。

 

野球選手との両立は大変だったと思いますが、特に苦労された点はありますか。

全部です(笑)。最初はわからないことだらけでした。

ただ、私にとっては、野球も難しいことだらけのスポーツでした。一つの投球・球種だけでも、握り方や腕の振り方ひとつで回転の仕方やスピードが変わるなど、非常に奥が深いです。その奥深さを、ひたすら練習を重ねて研究し尽くすことで野球選手になれたという自負がありましたので、簿記の勉強(ひいては、その後の公認会計士試験の勉強)も、わからないことだらけだから諦めるという発想は無く、「わからないなら、研究=練習=勉強を愚直に繰り返し、繰り返し、頑張ろう!量をこなそう!」という決意で臨みました。根性論はあまり好きではないですけどね(笑)

 

簿記の勉強で得られた知識は、現在、どのように役に立っていますか。

現在、CPA会計学院では、租税法を教えています。税金というものは、会計処理が前提としてあって、そこから納税額等の計算に入るわけですから、会計のことがわからないと、税金のこともわからないわけです。そういった意味で、租税法について教えるうえで、簿記の勉強で培った会計知識は大いに役に立っています。

 

資格の取得によりキャリアアップを目指している皆さんに、メッセージをお願いします。

簿記の勉強で会計知識が身についていれば、仕事の選択肢が大きく広がります。特に、私も経験したスポーツ選手の方々には、お勧めしたい資格です。スポーツ選手は、体力的にもいつまでも続けられる職業ではありませんから、いつかは次のキャリアを見据えなければならないタイミングが来ます。世の中に数多くある資格の中でも、簿記は、勉強することで得られる知識の活用・応用の場が多い資格だと思いますので、現役引退後、目指す職業がなかなか見つからない方には、とりあえず勉強しておくことを勧めたいです。

また、人によると思いますが、基本的に2級、3級であれば、空いた時間を見つけて勉強していれば、会社勤めの方やスポーツ選手として活躍している方でも取得できる資格です。先ほどお話ししたとおり、得られる知識を活かす場が広いので、非常にコストパフォーマンスが良い資格といえると思います。

Profile

池田 駿 Shun Ikeda

1992年新潟県生まれ。
新潟明訓高校で甲子園出場。専修大学商学部卒業。
2017年からプロ野球選手として読売ジャイアンツ、東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍し、2021年に現役引退。
2022年11月に日商簿記1級検定試験合格し、2023年には公認会計士試験に合格。
現在はCPA会計学院にて租税法の講師として活躍中。
プロ野球選手出身の公認会計士試験合格者は奥村武博氏(元阪神タイガース)以来、2人目。