資格を生かして、活躍する社会人の方を紹介する本コーナー。
リテールマーケティング(販売士)検定試験は、販売や店舗運営などの幅広い知識を修得するために役立つ資格です。
今回は、製菓・製パンの材料や道具・機械の卸売業などを営む、株式会社平出章商店・代表取締役社長の平出慎一郎さん(写真左)と、同社の小売部門「HIRAIDEホームメイドストア」店長の小栗はるかさん(写真右)にお話を伺いました。

―社員の販売士資格取得を会社として推奨していただいておりますが、そのきっかけを教えてください。
平出社長)
先代の社長時代に社員教育が重要と考え、社員が取り組める流通業関係の資格試験を調べたところ販売士検定を知り、2002(平成14)年度から同資格の取得を推奨したと聞いています。一時期は3級の取得が入社の条件であり、私自身も3級を取得してから入社した覚えがあります。
現在、当社では、1級1名、2級15名、3級18名が販売士資格を取得しており、資格取得者には、毎月の給与に上乗せするかたちで資格手当を出しています。また、合格した際の受験料やテキスト代も支給しています。販売士資格の他にも、「フォークリフト免許」「食品表示検定」など、業務に関係する資格の取得者には資格手当を出しています。
―社員教育が大切と考えているとのことですが、どのような人材になって欲しいと考えていますか。
平出社長)
当社では社員の行動理念を掲げているのですが、その中に「人間力向上」という項目があり、「勉強好き」を謳っています。社員自身のスキルや知識を高めるためにも、勉強は何歳になっても続けてもらいたいと思っていますが、仕事で忙しい中、勉強する機会を自ら作ることはなかなか難しいことと思います。会社としては、資格取得の奨励をすることで、自ら勉強を始めるきっかけになればと思っています。
社内勉強会などは特に設けていないのですが、計算問題が苦手な社員向けに、経理担当の社員が自主的に勉強会を開いています。互いを思いやり、自己を高めていく姿を見て、非常に嬉しく思っています。
また、役職者には日商簿記の勉強にも取り組んでもらおうと思っています。簿記は、企業経営の上で決算書を確認したり、財務対策を検討する際に必要な知識であり、日商簿記を勉強した自分の経験からも学ぶところは多く、勧めたい資格であると考えています。
―資格取得後、販売士検定の内容で業務に役立ったことはありますか。
小栗店長)
3級の商品陳列やPOPの書き方など実務的な内容は店舗運営に生かしていますし、スタッフとも共有しています。
また、1級で学んだ「LTV(顧客生涯価値)」の考え方は大変役立っています。この考え方をきっかけに、今年の5月から顧客管理システム(お客様向けのポイントアプリ)を導入しました。本システムを導入したことで、会計時にレジ上にお客様の名前が表示されるようになり、よく来店してくださるお客様の顔と名前を覚えることで、接客時の会話がよりスムーズになりました。今後は蓄積データを生かした販売促進企画や顧客フォローに取り組んで、長期的なお客様との関係づくりに繋げていきたいと思っています。
―働きながら販売士1級を取得された勉強方法や時間の捻出方法などについて教えてください。
小栗店長)
限られた時間の中で学習を続けるために、毎日少しずつ隙間時間に勉強をするという積み重ねを大切にしました。子どもの就寝後や、仕事の休憩時間に販売士ハンドブックを読んだり、問題集を繰り返し解いたりしました。試験直前は家族に協力してもらい、休日に数時間、集中して勉強する時間を確保しました。家族には本当に感謝しています。
なお、学習していくうえで、自分の仕事と繋げて考えると理解が深まり、無理なく知識を定着させることができると思います。
―販売士検定の取得を目指している方や、新たなスキルや知識習得に向けて勉強している方に向けて、一言お願いします。
小栗店長)
今は、常に変化していく時代なので、自分自身を磨き続けなければいけないと日頃から感じています。新しいスキルを学んで、仕事や社会でどう生かせるか、今後の自分にどう繋げるかを意識することが大切だと思います。業務上必ず取得しなければならない資格や知識ではなかったとしても、自分の仕事が円滑に進むようになりますし、専門的な業務にも自信を持って取り組むことができるようになります。
販売士検定は単なる知識の暗記ではなく、日々の仕事や生活にも直結するような実践的な学びが多い試験だと思います。テキストを読み進める中で、これは現場でも役立ちそうだなと気付く瞬間が必ずあると思います。その実感を大切にすると自然と理解も深まり、学習も続けやすくなるかと思います。
社会人・学生に限らず試験勉強は大変かと思いますが、こつこつと積み重ねた知識というのは、合否に関係なく自分の強みになると思うので、ぜひ前向きに頑張ってもらえたらと思います。
Profile
◆平出 慎一郎(Shinichiro Hiraide)さん
株式会社平出章商店の3代目として、2013(平成25)年に代表取締役社長に就任。フードロス対策(SDGs)や障害者支援、小児がん支援など、事業を通じた社会貢献活動にも力を入れている。
◆小栗 はるか(Haruka Oguri)さん
静岡県内の人気チェーンレストランの店長から、同社の小売部門「HIRAIDEホームメイドストア」店長に。2023年度の同検定最優秀者。
株式会社平出章商店について
1949(昭和24)創業の製菓・製パン原材料、パッケージ、機械の専門商社として、本社を構える静岡県浜松市を中心に、地域密着型で事業を展開。同社では、単に商品を売るだけでなく、商品・メニュー開発や店舗設計・動線計画等に関する提案、迅速な材料配送・機械メンテナンスや、展示会の開催など、製菓・製パンに関わる店舗経営のトータルサポートを行っている。(右記写真は、同社小売店舗の「HIRAIDEホームメイドストア」)https://www.hiraide.jp/

