キャリアアップを目指すなら日商簿記がお勧めです。
(CPA会計学院講師 砂溜美保さん)

簿記資格を生かして、活躍する社会人の方を紹介する本コーナー。
今回は、CPA会計学院講師の砂溜美保さんにお話を伺いました。

砂溜さんは、航空会社の客室乗務員として勤務されていた時に日商簿記2級に合格され、その後、公認会計士試験にも合格されました。2025年度からはCPA会計学院の講師として財務会計論(計算)を担当されています。


日商簿記の勉強を始められたきっかけを教えてください。

航空会社で客室乗務員として勤務していた頃、新型コロナウイルスの影響でフライトが減少しました。そのような状況下で「何か他にできることはないか」と模索していた時、商学部出身の夫から「日商簿記を勉強するといい。実務に役立つし、他の資格試験に比べて学習時間が長くならないからお勧めだよ。自分も2級を持っている。」と勧められたので、「やってみよう」という気持ちになったことがきっかけです。2020年の春頃に3級の勉強を始め、その後2級の勉強に進み、同年11月の第156回統一試験で2級に合格しました。

勉強はどのように行っておられたのでしょうか。苦労された時にはどのように克服されましたか。

市販の参考書と問題集を購入し、独学で勉強しました。フライト先で宿泊したホテルでは、帰りのフライトまで缶詰めになって勉強したり、自宅でも毎朝出勤前に仕訳問題を解いたりと、約半年間、簿記の勉強漬けでした。
特に、繰越商品を使った仕訳の理解に苦労しました。参考書を読んでもなかなか理解できない部分があったため、インターネットで調べたり、夫に説明してもらったりして、なんとか理解を深めることができました。

簿記を勉強して、良かったことはありましたか。

簿記を学習したことで、自分が勤めている航空会社の経営状況が以前より深く理解できるようになり、凄く新鮮な気持ちになりました。客室乗務員の業務では、接客やコミュニケーション能力、機内の安全管理といったスキルは向上しますが、「会計」という知識を習得する機会はありません。
そのような中で、簿記という会計の知識が身についたことは、大きな喜びでした。


簿記2級取得後は、2024年に公認会計士試験にも合格され、現在はCPA会計学院で講師を務めておられますね。

簿記2級に合格して自信がついたこと、そして何より簿記の勉強が楽しかったので「会計の学びで、さらに高みを目指そう」というチャレンジ精神が湧いてきました。それまでに培った簿記の知識は必ず役に立つと確信していました。

講師職は、会計士試験の勉強を進める中で興味を持ち始めました。受講生たちが皆、自身の将来やキャリアアップのために積極的に勉強するその熱意に触発され、年代を問わず、そうした頑張っている方々の挑戦をサポート・後押しできる仕事に就きたいと思い、客室乗務員から一転して講師の道を選びました。

-簿記やその他資格の取得によりキャリアアップを目指している方へ、メッセージをお願いします。

簿記の学習において、仕訳はまさに基礎中の基礎です。仕訳問題を何度も繰り返し解いて土台を固めることで、難易度の高い問題もスムーズに理解できるようになります。私も最初は仕訳の理解に苦労しましたが、簿記そのものに興味を持っていたので、苦にならず勉強を続けることができました。何事も興味と関心を持つことが大事だと思います。

資格取得を通じて「こういうことができるようになりたい」「こういう知識を身につけたい」といった具体的な理想像をイメージし、それを目標に勉強を始めてみてください。努力が実を結めば自信につながり、さらにレベルの高い資格を目指すきっかけになります。たとえ思いどおりに進まなかったとしても、「経験」という挑戦をして初めて得られるものがあります。

少しでも興味が沸いたら、まずはその気持ちに従って挑戦してみることをおすすめします。ちなみに、私自身、簿記の勉強は心から楽しめたので、「漠然とキャリアアップはしたいけれども、どの資格を取るべきか迷っている」という方にも、ぜひ簿記をお勧めしたいですね。

Profile

砂溜 美保 Miho Sunadome

中央大学法学部卒業後、航空会社に客室乗務員として勤務中に、日商簿記2級に合格。その後、2024年に公認会計士試験に合格。2025年5月から、CPA会計学院の財務会計論(計算)担当講師として活躍中。