資格を生かして、活躍する社会人の方を紹介する本コーナー。

リテールマーケティング(販売士)検定試験は、販売や店舗運営などの幅広い知識を修得するために役立つ資格です。

今回は、社会人として活躍するためにリテールマーケティング(販売士)検定の資格を取得された、日本国際工科専門学校に在籍する、グエン・ホン・タムさん(写真左)とコウ・ショウキンさん(写真右)、そして指導を行う担当教師の冨永文子先生(写真中央)にお話を伺いました。

 

貴校でリテールマーケティング(販売士)検定の資格取得の取り組みを始めた理由を教えてください

冨永先生)

本校には日本人のほか、多くの留学生が在籍しています。留学生が日本で働くには就労VISAが必要ですが、専門学校卒業だと専門学校で学んだ内容に沿った職業にしか就労できないことになっています。近年では小売業関連の求人が増えており、学生に就労のチャンスを広げてもらうために販売士の授業を始めました。また、マーケティングだけでなくビジネス全般について学べる内容となっていることも、授業に取り入れることとした理由の1つです。

リテールマーケティング(販売士)検定で使われている日本語は、留学生にとって難しいため、当初は、受験(資格取得)までは目標にせずに販売士の内容理解を目的に授業を行っていました。2年程前に問題の形式が正誤問題や選択問題になり、設問文章が以前よりも短くなったため、この内容であれば留学生でも資格取得を目指せるのではないかと思い、受験に向けた指導を始めました。

 

どのようなカリキュラムで指導をされていますか。また、指導の際に工夫をされている点などがありましたら教えてください。

冨永先生)

ビジネスマネジメントコースの学生が、1年生の時に1年間をかけて学習しています(4月~2月の期間に90分授業を週に2コマ(1年間で74コマ))。現在、リテールマーケティング(販売士)を学んでいるのは5クラス150名(1クラス30名)です。

リテールマーケティング(販売士)の授業においては、学生にとって難しい漢字も多いため、日本語の先生が授業で用いる語彙コントロールという手法を活用しています。具体的には、授業で使用する教材には、読み仮名をふり、必要に応じて意味の説明をしています。留学生の出身国は中国、ベトナム、ネパール、スリランカなど様々で、授業の初めに母国語で調べさせるなどの工夫もしています。

また、商習慣が国によって異なるため、そのギャップを埋めながら学習を進める必要があり、その点は日本人に教えるよりも難しいと感じています。

授業では、POPの作成をしたり、包装紙やリボンを使用したプレゼント包装の実習をしたりしています。これらの実習は学生から人気があり、座学の合間に実習を入れて、学生が飽きないようにしています。卒業時に学生が、自分たちでラッピングしたプレゼントをくれた時はとても嬉しかったです。

授業で教えた内容の問題をすぐに解かせて、「解けた!」という成功体験を積み上げていくなどの工夫もしています。

これまで、3級を4名が受験して3名が合格しています。内、1名は在学中に2級にも合格しました。

 

-リテールマーケティング(販売士)検定試験の受験に向けてどのような学習をしましたか。

コウさん)

1日1~2時間の自主学習をしました。試験前の1か月間は、過去問題・練習問題を3~4時間かけて解いて対策をし、3級に合格することができました。

ストアオペレーションの科目が一番面白かったです。ディスプレイパターンは種類が色々あるため覚えるのは大変でした。

授業でラッピングの実習があるのですが、自分の手で綺麗に包むことができて嬉しかったです。習得したラッピング技術を生かして、友人にプレゼントを贈りたいと思います。

日本で事務系の仕事に就きたいと考えており、リテールマーケティング(販売士)検定の資格取得だけでなく、簿記検定の取得に向けて学習中です。

 

グエンさん)

日本の小売業で働きたいと考えており、就職の選択肢を広げるために資格を早く取得したかったので、自主学習を進めて1年生の12月に3級を受験し合格しました。隙間時間はすべて試験勉強に充てるようにしました。

買い物に行くと、ディスプレイパターンからそのお店の意図が分かるようになりました。お店で「ゴンドラ陳列」を見ると授業の内容と紐づき、勉強の成果を感じることができました。

 

リテールマーケティング(販売士)検定の資格を取得することによって、学生にどのようなメリットがありましたか

冨永先生)

販売士の資格を持っていると、就職活動の際に日本語が出来る良いアピールになります。受験をして合格した、その努力の過程も評価されていると聞いています。小売業に就職が決まり、就労VISAが下りた学生もおります。

 2021年にネット試験化されたことにより、十分に学習が進んだ時点で、学生が自分のタイミングで受験できるようになりました。また、受験後すぐに合否が分かるため、次の日には履歴書に書けることも、大変ありがたいです。

Profile

左から、グエン・ホン・タムさん(2年生_ベトナムからの留学生)、冨永文子先生(販売士授業担当教師)、コウ・ショウキンさん(2年生_中国からの留学生)

日本国際工科専門学校について

千葉県松戸市に校舎を構えるビジネス分野・IT分野・ホテル分野について学ぶことができる専門学校。運営は学校法人朝日学園。

日本人と海外からの留学生を受け入れており、1985年の開校以来、多くの卒業生を輩出している(千葉県内の専門学校としては最大級の人数)。https://www.nkk.ac.jp/