簿記は経営者も勉強すべきコスパのいい資格です
(櫻井鉄矢さん)

 簿記資格を生かして、活躍する社会人の方を紹介する本コーナー。
 今回は、中古の着物から仕立て上げられるアロハシャツ「サムライアロハ」の製造・販売を手掛ける株式会社サムライアロハ(宮城県仙台市)の代表取締役櫻井鉄矢さんにお話を伺いました。

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-日商簿記の資格はいつ頃取得されたのでしょうか。

 簿記の学習は、社会人になってから本格的に始めました。大学は経営学部会計学科だったので、ゼミなどで簿記や会計についてはざっくり勉強していたのですが、卒業後入社した株式会社大黒屋で仕事を進めていく中で「財務諸表を理解できないと話にならない」と痛感したことがきっかけです。簿記や会計の知識がなく「損益計算書」や「貸借対照表」を読むことができないままでは、社内をお金がどう回っているのかを理解することができないですからね。そこで私は、簿記3級、2級と学習を積み重ね、1級の途中まで学習し、古物などの物の価値は常に変動するから、資産は信用しないほうがいいなどといった会計への感覚を養うことができました。

 実際に簿記の資格を取得して感じますが、簿記は取得後の人生において大きなアドバンテージになります。例えば、簿記2級を持っているだけで会社内での出世にもつながるかもしれませんし、学生のうちから持っていると、就活の際エントリーシートも通りやすくなるでしょう。ある程度の期間を勉強して取得することでその後の人生に大きなプラスとなるので、日商簿記を取得することは非常にコスパのいいことだと思います。

-経営者にとっても、簿記の知識は必要でしょうか。

 経営者は必ず簿記を勉強しておくべきだと思います。簿記を学習することで、何かを事業を企画するにも数字に裏打ちされた計画を作成することができます。私の会社のことなどが口コミで広まっているのか、若手経営者などから経営相談されることがよくあるのですが、中には、財務諸表を読むこともできず総資産も把握できていない経営者も多くいます。他にも、起業への情熱はあるにもかかわらず「事業計画書」を書くことができない人もいます。簿記を学習することのほうがよほど生産性が上がるにもかかわらず、マーケティングなどかっこいい言葉に惹かれてそちらの勉強を優先し、その結果、決算書も読めないようでは、経営者としては正直論外だと思います。机上の空論を空論ではなく、実現に導くのは数字ですから、まずは基礎として、簿記を学習することは非常に重要だと思います。

 経営者だけではく、従業員にとっても簿記の知識は社会人の基礎として必要だと思います。私の会社では、社員に対してテキスト代など簿記学習に必要な費用は経費として支払っています。また、経常利益といった月々気をつけておくべき数字の見方などを、社員に対して直接教えることもあります。

-簿記資格の取得を目指している方へ、メッセージをお願いします。

 簿記は社会人として武器の一つとなりますし、持っているだけでその後も人生が大きく変わることもあると思います。ぜひ資格を取得をして豊かな人生を歩んではどうでしょうか。

Profile

eton5櫻井 鉄矢 Sakurai Tetsuya
1981年宮城県生まれ。株式会社サムライアロハ代表取締役。株式会社仙台買取館代表取締役。GROWTH EGG MUSEUM代表責任者。明治大学経営学部会計学科卒業後、株式会社大黒屋に入社。東日本大震災を機に帰郷し、2012年に大黒屋のフランチャイズとして株式会社仙台買取館を独立・創業。2018年株式会社サムライアロハ設立。

株式会社サムライアロハについて

eton5 中古の着物から仕立て上げられ、全てが一点物のアロハシャツである「サムライアロハ」の製造・販売を手掛ける。製造には地元のパートや職人が携わり、東日本大震災で失われた雇用を創出している。現在、仙台市内の店舗、ECサイトでの販売を通じ国内外で人気を博している。
https://www.samurai-aloha.com/