日商簿記には感謝しています
(日本YEG会長木村麻子さん)

 簿記資格を生かして、活躍する社会人の方を紹介する本コーナー。
 今回は、2023年度日本YEG(日本商工会議所青年部)会長の木村麻子さんにお話を伺いました。

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-木村会長は日商簿記を取得されているとのこと。いつごろ取得されたのでしょうか。

 商業科に通っていた高校2年時に3級を取得しました。簿記との出会いは母の影響が大きいです。両親が精肉店を営んでおり、経営者でもある母は数字に強い人でしたので、母から簿記や珠算を学ぶことの重要性をよく聞いていました。学生時代、兄は法律家、妹が獣医と周りの兄妹が目指すことを決めていた一方で、私はやりたいことが明確に決まっていませんでした。そのような中、「やりたいことが決まっていなくても、簿記や珠算など商業のことを学んでおけば将来役に立つ」と母が言ってくれたので、簿記の資格取得を目指すことにしました。学び始めた当初は、なじみのない用語が多くもちろん経営にも携わっていなかったのでイメージがなかなか湧かなかったです。ですが、慣れてくると用語もスムーズに頭に入ってくるようになりました。

-「日商簿記に感謝している」とお聞きしました。その理由は何でしょうか。

 まず、簿記の知識があると事業計画書を作成するうえで非常に役に立ちます。事業計画書は起業時の戦略を示すものですが、簿記を学ぶことでお金を勘定科目ごとに仕訳を行って考えるようになるので、明瞭な事業計画書を書くことにつながると思います。また、経営者として公認会計士の方とやり取りするうえでも役立ちます。勘定科目ごとに話ができるようになるので、公認会計士の先生に丸投げせずに対話することができますね。実際に起業を決意し事業計画書を作成したとき、簿記が役立ったことをとても実感したので、思わず「簿記をやってよかった!」と母に電話してしまいました(笑)

 母は「公認会計士は後処理、経営者はあらかじめ事業戦略を立てることが仕事」と言っていましたが、まさに経営とは事業戦略を組み立てていくことであり、それにはやはり簿記の知識が欠かせません。

 経営者、特に女性の経営者の中には、売上はあるが何となく悩んでいる、というお話を聞いたりします。売上の数字だけを見ても悩みの原因は分かりません。粗利や経費など売上以外のお金の流れが理解できていると、抱えている悩みも分解されはっきりとするので、「何となく悩む」ストレスも軽減します。経費をコントロールすることは、経営者として会社をコントロールすることにつながり、改善が形になれば経営者としての自信もつきます。経営者にとって簿記を学ぶことは遠回りな気もしますが、一番の近道だと思います。

 経営者だけでなくまた経理などの管理部門だけでなく、すべての社会人にとって簿記は持っておきたいまさに共通言語だと思います。

-簿記資格の取得を目指している方へ、メッセージをお願いします。

 私は学生時代やりたいことも自信もありませんでしたが、いろいろなことに挑戦するようになり想像もしなかったような道を歩むことができています。簿記はその基礎となり、多様な選択肢が広がっていきます。ぜひ挑戦してみてください。

 私もこれからも挑戦する心を持ち続け、またもっと多くの世界を見ることで日本の良さを発信する、そんな仕事を生み出していきたいです。

Profile

eton5木村 麻子 Kimura Asako
香川県生まれ。2023年度日本YEG(日本商工会議所青年部)会長。株式会社PR代表取締役CEO。大阪・関西万博具現化検討会有識者他。2005年、株式会社PRを設立。2023年、日本YEG(日本商工会議所青年部)会長に就任。