輝く資格取得者　その12

簿記は努力が報われる試験です
（加藤憂馬さん）

 簿記資格を生かして、活躍する社会人の方を紹介する本コーナー。
 今回は、EY新日本有限責任監査法人（東京都千代田区）にお勤めの加藤憂馬さんにお話を伺いました。

－高校3年生のときに簿記１級に合格されたとのこと。簿記の学習はいつから始められたのですか。

 簿記の勉強は下関商業高校に入学してから始めました。そのきっかけは入学してすぐの4月にあった公認会計士の先生の講演です。その講演の中で「医者は病気を治すが、公認会計士は企業の病気、つまり悪い部分を治す」という言葉がありました。中学時代、何か一つのことに打ち込むということがなかったため、高校では何か一つ努力しようと考えていた当時の自分には、その言葉がとても印象に残り、「公認会計士を目指そう」と、その時に決意しました。同時に高校生のうちに日商簿記１級に合格することを目標としました。

 その後、簿記部に入部し１年時の６月に３級、11月に２級に合格しましたが、２年時に１級に合格することはできませんでした。ともに簿記部で勉強していた仲間のうちの1人が２年時の11月に１級に合格したので、その時はとても悔しい思いをしました。その悔しさをばねに勉強量を増やした結果、３年時の６月に１級に合格することができました。

－日商簿記の学習では、どのようなことに苦労されましたか。

 ３級では「借方・貸方」や「売掛金・買掛金」「減価償却費」といった簿記特有の日常生活では使わない用語に慣れることに苦労した記憶があります。２級は３級のレベルアップバージョンということで質・量ともに３級よりもレベルが上がり、苦労しました。ただ、一番苦労したのはやはり１級です。２級に比べて試験範囲が広く難易度もグッと上がったので、１級合格のためにまずは勉強時間を多く確保することに努めました。朝は早めに登校して部室で勉強し、昼も部室に行って早めに昼食をとり、ご飯を食べて残り時間は勉強。また、家に帰ってからも勉強するなど、簿記部での活動以外の時間も積極的に勉強時間に充てました。勉強中は、苦手なものを重点的に勉強・復習したり、会計処理について「なぜそのような会計処理をするのか」という会計処理の趣旨・背景についてよく理解することを心がけました。

 テキストや問題集・答案練習については、下関商業高校が高崎商科大学と高大連携協定を結んでいたことから、高崎商科大学経理研究所のテキストなどを利用することができ、テキストやWEB講義でインプット、答案練習でアウトプットすることに日々取り組んでいました。また、簿記部で同じ志を持つ仲間がいたのはモチベーションの維持・向上につながりましたね。

－大学在学時に公認会計士試験に合格し現在監査法人にお勤めとのことですが、現在の業務内容について教えてください。

 現在私は、上場会社、IPO監査、信用金庫・信用組合などの金融機関の監査業務に携わっています。「監査」という仕事は会社が作成した財務諸表が正しいということを保証する仕事ですが、財務諸表が正しいか正しくないかを判断するには、簿記で学んだ知識が役に立っていると思います。仕事面では通常の監査、IPO監査に関して、まだまだできることが少ないので、できることを増やして早く一人前になりたいと思っています。また通常の監査、IPO監査以外にも様々な業務に携わり、法人の一員として法人ひいては日本経済に貢献していきたいと思っています。

－簿記資格の取得を目指している方へ、メッセージをお願いします。

 日商簿記は努力が報われる試験だと思っています。最初は合格点である70点にはなかなか届かないかもしれませんが、きちんと努力すればその分だけ点数が伸びてきて、最終的には55点、60点、65点、70点と積み上げることができる試験だと思います。

 私の好きな言葉の一つに「今日の成果は過去の努力の結果であり、未来はこれからの努力で決まる」というものがあります。今日の結果が悪くても、今日から今から必死に努力をすれば良い結果を出すことができると思います。皆さん、頑張ってください。

Profile

EY新日本有限責任監査法人について

日本の大手監査法人であり、世界４大会計事務所の一つであるErnst&Youngのメンバーファーム。監査および保証業務を中心に、アドバイザリーサービスなどを提供する。https://www.ey.com/ja_jp/people/ey-shinnihon-llc