サッカーをより大きな存在に~財務、会計の視点からも分析~

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今後の日本サッカーに貢献したい

-FIFA(国際サッカー連盟)の修士課程「FIFAマスター」で修士号を取得されました。

2011年に現役を引退した時、「これからは、サッカーと関わりながら何か違うものを学びたい」という気持ちを強く持っていました。ヨーロッパのクラブでプレーした時に、サッカーが社会に根付いていることを実感し、日本でサッカーがもっと大きな存在となるよう貢献したい、と考えたからです。

そんな時、FIFA マスターで、サッカーを中心にスポーツの歴史、経営、法律を学び、日本の修士課程相当の資格が得られることを知り、「これこそが自分が探していた道だ」と思いました。英語のレポートと国際電話でのインタビューによる選考を経て、2012年に入学。24か国・地域から集まった同期生30人で、10カ月間、イギリス、イタリア、スイスを回って勉強し、卒業前にはグループごとに修士論文を書きました(※)。

(※)宮本さんは修士論文のテーマ「ボスニア・ヘルツェゴビナに民族融和を目的とした子どものためのスポーツ・アカデミーをつくれないか」を具体化し、2016年秋の本格稼働に向け協力を呼びかけています。こちらをご覧ください。
<宮本恒靖さんからのメッセージ>

会計を理解することも重要

-「組織に所属するなら、自分で会計の資料を読み、財務担当者と会話できる能力は重要だ」とおっしゃっていますね。

「日本でサッカーをより大きな存在にする」ためには、全体像を眺め、広い視点でサッカーを見ることが必要だと思います。その点で、FIFA マスターで学んだ10ヵ月間は、17年間の現役生活に負けないくらい得るものが大きい充実した時間でした。その一つが、財務の視点で物事を見ることです。

授業では、バランスシート、減価償却など簿記の知識を英語で学んだうえで、財務の視点からサッカーを分析しました。例えば、ヨーロッパでは、他のクラブから選手を獲得すると、支払った移籍金の額がバランスシートに資産として計上され、契約年数によって減価償却されるのが主流。一方、同じクラブのユース(若手)チームから昇格すると、その選手の「金額」が決まっていないので資産として計上されない。こういったことを学びました。

簿記や会計の知識があれば、クラブの予算がどれだけあり、どの部門でどのくらい使えるのかなど、お金の動きによって組織全体を見渡すことができます。専門家に任せるだけではなく、自分でも勉強し、組織の構成員がお互いの状況を理解すれば、風通しのいい組織になると思います。FIFAマスターで学び、そのことを実感しましたし、人間としての幅が広がったと感じています。

「次」に備えて早めに準備を

-サッカー選手の人生の過ごし方にも関心をお持ちですね。

middle-1miya中学、高校時代にサッカーに打ち込んでも、プロになる人は限られます。プロになってもいつかは引退します。夢を追うことは大事ですが、実現しなかった場合や辞めた時に備えることも非常に重要です。サッカーに打ち込んだ人ほど、プレーを辞める時の喪失感は大きいでしょう。だからこそ「次」への準備をすべきなのです。

現役のプロ選手でも、サッカー以外のことに充てる時間は必ずあります。私も現役を引退する時に寂しさを感じました。でも、常に将来を意識し、引退前から「日本でサッカーをもっと大きな存在にしたい」と考えていたので、FIFAマスターで学び、指導者の資格を取るなど、新しいことに挑戦してきました。

まずは、何事にも関心を持つことが大切です。子どもの頃からいろいろなことに目を向けて学ぶこと、周りの大人がそれを支えることが重要です。

目の前のことに100%集中

-プロ入りと同時に大学に進学するなど文武両道の道を歩んでこられました。

私は、何かをやると決めたら、しっかり準備をして、そのことに100%の力を注ぎます。良い結果を出すには、一つ一つのことに集中して取り組むことが大切です。

検定試験でも同じだと思います。何か目標を定め、そのために例えば簿記の試験を受けるなら、それに向けて時間を管理し、集中して取り組むのは当たり前のことではないでしょうか。

Profile

prof_miya宮本 恒靖 Miyamoto Tsuneyasu
1977年、大阪府生まれ。ガンバ大阪ユース監督。元サッカー日本代表キャプテン。1995年、ガンバ大阪入団。同年、同志社大学入学。2000年、シドニー五輪出場。2002年、2006年FIFAワールドカップ出場。2011年、現役引退。2013年、FIFAマスターで修士号取得。2016年、ガンバ大阪ユース監督。同年、Jリーグ監督に必要なS級ライセンス取得。ボスニア・ヘルツェゴビナの子ども向けスポーツアカデミー設立を支援するLittle Bridge Japan発起人。