日本商工会議所は2月27日「簿記普及啓発セミナー 社会人の必修科目 簿記講演会」を川崎市内で開催した。同セミナーは、簿記の有用性・重要性を多くの方々に理解してもらうことを目的に川崎商工会議所と共催で実施したもので、企業経営者や教育関係者など約220人が参加した。IMG_4006

講演に先立ち、川崎商工会議所の山田長満会頭が「簿記は社会人の必修科目。経理・会計担当者だけではなく、企業や業界を問わず働く人すべての人に必要な知識で、精通することで企業を発展させることができる。」と挨拶し、続いて、永年にわたり簿記検定の普及に貢献した同市立幸高等学校に感謝状を贈呈した。

 

その後講演に移り、まず、東洋大学教授・慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏が「簿記がわかれば経済がわかる」と題して基調講演を行った。竹中氏は、金融担当大臣時代の経験を踏まえ、「貸し手の銀行とともに、借り手の企業のことも考え産業再生機構をつくり不良債権処理を進めた。」と説明。「複式簿記のダブルエントリーの考え方が大切。これからの教育では、知識を覚えることではなく、物事を結果と原因、プラスとマイナスの両面から見るような考え方を身につけることが重要。」と述べた。また、「簿記は英語に勝る世界共通の言語である。これからのグローバルな社会で生きていくため、若い人は英語とともに必ず簿記を勉強してほしい。」と強調した。最後に、「簿記を学ぶには、検定試験というよくできた学習制度を活用すべきである。」と語った。

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続いて、公認会計士、税理士、証券アナリストとして活動しながらお笑い芸人としても活躍し、NHK高校講座簿記インストラクターも務める渡部崇文氏が「笑って楽しく簿記を学ぼう」をテーマに講演した。渡部氏は、貸借対照表や損益計算書の読み方について身近な企業の財務状況を例に比較しながら、ユーモアも交え分かりやすく解説した。また、証券アナリストの立場から「財務諸表は氷山の一角に過ぎない。その下に隠れている情報を考察するためにも簿記が必要。」と説明した。

日本商工会議所では、今回のセミナーの他にも、各地商工会議所と連携して簿記学習を啓発する各種セミナーを実施している。

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