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日本商工会議所は、ミャンマー商工会議所連合会やミャンマー進出日本企業で構成するミャンマー日本商工会議所、日本ミャンマー協会、JICA(国際協力機構)等とともに10月31日にヤンゴンにて簿記啓発セミナーを開催し、ミャンマーの企業・教育・政府関係者等約120名を含む約200名の参加がありました。

ミャンマーは目覚ましい経済発展が続いており、ビジネスを希望する日本企業も多いが、簿記の普及が不十分であることから適切な企業情報が乏しく、融資や税務等のうえでも課題が多いといわれています。こうしたことから同セミナーでは、日本で60年以上にわたり産業人材の育成に寄与する日商簿記の有用性を紹介し、簿記普及の必要性の理解を促すものです。

今後、JICAの支援によりミャンマー商工会議所連合会内に設けられているミャンマー日本センターにおいて日商簿記3級レベルの英文テキストを作成のうえ、11月に指導者研修を実施し、来年1~3月には一般受講者を集め日商簿記研修を試行する予定です。日本商工会議所では、過去問題の提供などで同事業に協力する予定です。

セミナーの概要は以下のとおりです。

・基調講演:三井住友銀行アジア太平洋統括部 上席推進役 泉 賢一 氏
金融機関等から融資を受けるためには会計情報は重要で、会計情報の整備が不十分な現状のミャンマーでは不動産担保等に依存することになっており、経済発展に簿記は欠かせない。

・三菱商事ヤンゴン駐在事務所 所長代理 栗原 雄介 氏
ミャンマーでビジネスをするうえで、正確な会計情報が少ないことが大きな課題となっている。日本との取引では発生主義の記帳や為替取引、原価計算などが重要で、ミャンマーでも日商簿記の普及によって正確な会計情報が得られることを期待する。

・公認会計士 向山 光浩 氏
日商簿記の特徴は、仕訳の徹底と、仕訳から主簿・補助簿への転記、決算処理を通じた財務諸表の完成までの実行にある。2級以上では原価計算(工業簿記)がある。
また、級が上がるに従って対象とする企業規模も大きくなるため、ステップを踏みやすく、発展途上にあるミャンマー企業に適している。

・日本商工会議所 事業部長 岩崎 浩平
これからミャンマーが経済発展していく過程で、簿記が分かる人材は不可欠で多数必要となる。日商簿記は企業実務に則しているため、最も効率的、効果的に簿記を習得することができ、企業現場で即戦力となる力がつく。photo2