簿記の視点でバスケットボール界を変える

現役プロ・バスケットボール選手が公認会計士試験に合格

-バスケットボールの傍ら通信教育で勉強されたのですね。

もともと経済に関心があり、大学で国際経済の勉強をしているうちに会計に興味を持ち、メジャーな資格である簿記の勉強を始めました。勉強を始めた頃は意外に手こずりましたが、次第に慣れて、大学3年生の時には「公認会計士を目指そうと」決意しました。

私が大学を卒業する頃、日本のバスケットボール界は、ちょうどプロ化が始まり、リーグが二つに分裂した時期でした。そのため、卒業後もバスケットボールを続けるだけでなく、「これからのバスケットボール界をもっと良い環境にしたい」という強い想いを抱いていました。

ただ、物事変えるには大きな力が必要であり、そのために強力な資格を取ろうと考えたのです。弁護士など他の選択肢もありましたが、大学で経済を学んでいたことと、バスケットを続けながら通信教育で勉強できることから、公認会計士を目指しました。学生時代、私はバスケットボールと勉強、どちらも真剣に取り組みましたが、主はあくまでバスケットボールでした。バスケットボールへの強い想いがモチベーションになって、大学卒業後、プロ選手としてプレーしながら公認会計士試験に合格することができました。プロバスケットボールは、スポーツであると同時にビジネスの世界でもあるので、公認会計士を目指したことは正解でした。

簿記は「しくみ」の理解が大切

-塾を開いてご自身で簿記を教えておられるとお聞きしました。

プレーを続ける一方で、公認会計士試験に合格した経験を活かして、中学生から60代まで幅広い年代の方々を対象に、会計塾を開きました。「会計」「バスケットボール」「学ぶことの大切さ」の三つを柱にして、簿記の知識はもちろん、私自身の体験をもとに、モチベーションの保ち方や効率的な勉強の仕方についてもお話しして好評でした。第2期の塾生が卒業したところでお休みしていますが、また再開したいですね。index

簿記を学ぶメリットとしては、会社で経理を担当している塾生の方から、「簿記の全体像を理解したことで、会社での自分の仕事の位置付けがわかった」という声をいただきました。大事なのは「しくみ」を理解することです。もし「簿記は退屈」だと思っている方がいたら、問題を解く時に「なぜ、そうなるのか」を考えて勉強することをお勧めします。

私自身、バスケットボール各チームの財務諸表を読んで経営状況を把握できる、という点で、簿記を学んでよかったと思います。これからも、簿記や会計の視点を持ちながら、選手会会長として、より良いバスケットボール界のための提言をしたいと思います。

もう一つ、資格試験全般のメリットとして言いたいのは、目標を持ち、努力し、達成して、「次」にチャレンジする、というサイクルを積み重ねることは、人生において非常に意味がある、ということです。これは、私自身の信念でもあります。

選手の第二の人生をサポート

-選手会として、選手の引退後の生活設計の支援も始めていますね。

以前とは違って、企業チームに所属していても、正社員として契約している選手はごく一部に過ぎません。多くの場合はチームと一年ごとの契約で、選手のセカンドキャリア(第二の人生)をどうするか、という課題に向き合う必要があります。

バスケットボール界のプロ化が始まって10年程がたった今、新人として入団した選手が引退し始める時期に差し掛かっています。そのため、私が会長を務める日本バスケットボール選手会では、2015年から、専門の会社と連携して、引退後の転職を支援するサービスを始めました。引退後に備えた準備は現役時代に始める必要があるので、今後は、「現役時代に何を勉強したら良いか」の情報を提供し、その中で、ビジネスマナーや契約の結び方と並んで、簿記や会計について紹介したいと思います。

2016年秋には、日本のプロバスケットボール界が統一され、新リーグが発足します。地域密着型のプロスポーツとして、商工会議所をはじめ地元の方々との関係を大切にしていきたいと思います。皆さん、ぜひ試合会場に足を運んで、スピードと迫力あふれるプロのプレーを堪能してください。

Profile

岡田 優介 Okada Yusuke
1984年、東京都生まれ。日本を代表するプロバスケットボール選手の一人。一般社団法人日本バスケットボール選手会会長。岡田優介会計塾塾長。土浦日本大学高等学校、青山学院大学を経て、2007年、プロバスケットボール選手としてデビュー。2009年、2010年、日本代表。2010年、公認会計士試験合格。2011年~2012年、岡田優介会計塾開講。2013年、日本バスケットボール選手会初代会長。2015年、千葉ジェッツ入団。