「資格取得は女性の再就職の大きな味方」

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在宅ワークなら日商PC3級は必須

-キャリア・マムは、どのような会社ですか?

育児や介護などで、社会とつながりを持つのが難しい方々が、自分の夢を諦めないで、時間や場所に縛られないで働けるよう、再就職や自宅で仕事をする(在宅ワークの)方々のお手伝いをする会社です。会員は全国に10万人、その多くは既婚の女性で、最近はシニアの方々や男性も増えています。現在、常時働いている方が月間千人強、年間で延べ1万5千人にのぼります。

-日商PC検定を評価していただいていますね。

仕事を獲得するには発注者から信頼されることが条件の一つであり、在宅ワークの場合は特に重要です。キャリア・マムでは、在宅で仕事をする方向けにパソコン講座を実施し、超えるべきハードルとして「日商PC検定3級」を挙げています。

女性が結婚後に再就職する時、多くの場合、地元の中小企業で働くことになります。こうした企業の多くは商工会議所の会員です。自分の勤務先が所属する団体、つまり、商工会議所が行う検定試験であれば、会員企業が必要とする能力を見るための試験なので、働く側にとっても、仕事を依頼する側にとっても信頼ができます。日商PC検定はインターネット上で試験が行われるので、遠くまで出かけなくても、地元のパソコン教室などで、受けたい時に受けられるのもいいですね。

資格は選ばれるための武器

-資格を持っているとどんな時に役立ちますか?

何より自分の行動に自信が持てます。例えば、商工会議所の販売士検定であれば、お店で働く方が、今までは自己流でやってきたのが、検定試験に受かることで自信がつきますし、将来、人に教える立場になった時にも活きてきます。

資格を持っている人は基本が身に付ついているので、自己流でやってきた人に比べて伸びしろがあります。在宅の仕事をお願いする時、キャリア・マムでは面接をしていません。候補の人が複数で、「どちらの人にお願いしようか」という時には、他の条件が大差なければ、その仕事に関係する資格を持った人にお願いします。資格は、選ばれるための武器であり、何かが「ちゃんとできる」ことの拠り所なのです。

経営者には簿記の考え方が必要

-簿記の重要性についても指摘されていますね。

02_interview_photo_01 自分で事業をするなら、少なくとも簿記3級の知識は必要ですし、資格を取れば大きなプラスになります。私自身、経営者として強く実感するのは、公認会計士さんや税理士さんに経理を見てもらうにしても、簿記の考え方を知らないと、言われたことが、なぜそうなのかがわからない、ということです。各地の商工会議所などで簿記の講座が行われていて、3級なら30時間~40時間程度の講義で勉強できる内容なので、ぜひ取得することをお薦めします。

資格を持っていることは、何かが「わかる」ことであり、もちろん「わかること」と「できること」は違います。でも、「わからない」のに「できる」ということはありません。また、わからないままにしておくと、いつか、大きな事故につながりかねません。

まずは第一歩を踏み出そう

-最後に、在宅で仕事をする方へのメッセージをお願いします。

初めて在宅で仕事をしようとする方は、いろいろと不安だと思います。大事なことは、まず、一歩目を踏み出すことです。キャリア・マムは「スタートラインの会社」です。キャリア・マムを通じて、何か一つ、仕事をすることから始めて次の仕事をやってみるもよし、資格を取るのもいいと思います。ハードルは決して高くありません。

女性も、男性も、可能性は無限にあります。「ガラスの天井」を自分でつくって諦めないでください。どれだけ役に立つのかわからなくても、自分の中で一歩踏み出そうとする時に、懐刀として資格を持っていると、「これを頑張った」「これをやろうとした」と思い出し、自信の源になります。働き始めることは、大変そうに見えても、無理だと諦めなければ、いつか面白さや、やりがいに気付くことができます。

再就職する方には、年齢×2の数だけ会社を受ける覚悟がいると言っています。1社、2社落ちたくらいで悩む必要はありません。30歳なら60社、40歳なら80社受けて1社受かる気持ちでいればいいんです。検定試験も一緒です。あまり大仰に構えないで、どこまでできたか、自分の力を試す機会と考えればいい。1回落ちたらまた受ければいいんです。まずは、最初の一歩を踏み出していただきたいですね。

Profile

02_interview_photo_02堤 香苗 Tsutsumi Kanae
1964年、兵庫県出身。早稲田大学第一文学部卒。フリーアナウンサーとして大学在学中よりTV・ラジオのDJ、パーソナリティとして活躍。自らの体験から、育児に追われ、社会から隔絶されている女性たちが、特技や個性を活かし、再び働くことができるよう、テレワークや女性のキャリアに関する仕組みを整え、1996年、キャリア・マムを創業、2000年に株式会社化。事業活動を通じて女性の復職の啓蒙活動も行う。「平成26年度女性のチャレンジ支援賞(内閣府)」をはじめ受賞多数。