簿記を武器にミレニアル世代の経済評論家に

お金に関するリテラシーの差を埋めたい

-「平成生まれのお金の専門家」として若い人向けにお金に関する啓発活動を行っていますが、きっかけはなんですか。

私の家が会計事務所を経営していたため、幼い頃からお金に関わる機会が多かったのですが、周囲の様子を見ているとお金に関するリテラシーの差が大きいなと感じたことがきっかけです。

例えば、私は学生時代に人前にでる活動をしていたため、色々な人と出会う機会も多く、また、育った環境のおかげで普通の人よりお金の仕組みに詳しかったので、お金に関する相談をされる機会がありましたが、その時に同世代のお金の専門家がいないことや、出回っている情報との乖離を感じました。お金のことは知らないと損をすることばかりなので、若い世代にもっとお金のことを知ってもらわないといけないと思い、お金の専門家として活動しようと思いました。

-ご自身はいつ頃簿記の勉強を行ったのですか。

高校生の時に親に言われて簿記の勉強を始めました。高校は普通科で、授業などで簿記を習ったことはありませんでしたが、イラストがかわいいテキストを見つけたので簿記の勉強は楽しかったです。学生時代に簿記2級とファイナンシャルプランナー(FP)の資格、MBAを取得しました。会計に関する情報は時代の流れとともに更新されますので、今も簿記や会計の勉強を続けています。

現在は若い男性向けの雑誌「FINE BOYS」や、女性向けファッション誌「CanCam」の公式サイトなどで、「就活に役立つ経済のお話」や「恋愛と貯金の深い関係性」など、身近な話題を中心にコラムを連載し、簿記やFPなどの知識や資格を生かしてマネーに関するアドバイスをするなど、お金の専門家として活動しています。

同世代にお金の知識の大切さを伝えたい

-お金に関する質問ではどのようなものが多いですか。

「学生でもお金の知識は必要なの?」といった基本的なことをよく聞かれます。若い方は基本的にお金に関する知識を持っていません。例えば、「積立NISA」は非課税なことがウリですが、なにが「非課税」になるのかわからないのです。また、若い方は投資についても興味はありますが、どういう仕組みかわからず、教えてもらう場所もないので「怖い」という意識が先立っている気がします。

税金や年金、儲けや損失といったお金や会計に関する知識は、自分が当事者にならないと必要性がわかりません。起業後、ご自身の体験を踏まえ「起業前に簿記を勉強しておいたほうがいい」という若手経営者の声も聞きますね。また、就職活動で、企業の財務状況などを調べる際に簿記の知識があれば、数字の意味がわかり、企業をより理解することができます。
今後もミレニアル世代(※)などの若い方向けに、お金に関する知識の啓発活動や、将来に向けての資産形成のお手伝いに力を入れていく予定です。その他にも、お金に関する書籍を出版するなど、より多くの方へ声を届けていきたいですね。

※ミレニアル世代とは…2000年以降に成人、あるいは社会人になる世代を指す言葉

若いうちから会計知識を身につけよう

-簿記を学習する方へのメッセージをお願いします。

私はずっと文系で数字が苦手でした。そんな私でも、簿記会計の勉強はできますし、身につけた知識が役に立ちます。

経済や商業関係の学校以外では、簿記を勉強する機会が少ないので、「簿記ってなに?必要なの?」と思う人も多いと思いますが、今はYouTubeなどインターネット上でも個人がお金を稼ぐことができる時代ですので、会計知識やお金に関する知識はだれもが必要になってきます。
また、将来設計に役立ちますので、お金に関する知識は若いうちから勉強して身につけておくことをおすすめします。

Profile

横川 楓Yokokawa Kaede
1990年、東京都生まれ。2015年、明治大学大学院卒。MBA。学生時代には学業の傍らアイドル活動を並行して行うなど異色の経歴を持つ。現在は税理士事務所にも在籍しながら、「平成生まれの経済評論家」として、「お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーに活動し、SNSでの情報発信、各種雑誌などで連載を持ち、お金の知識の啓発活動を行う。