簿記の面白さを知ってほしい

楽しかった「経営体験」

-高校時代に簿記を勉強したとお聞きしました。

高校は経営を学ぶ学科に入り、情報処理や電卓とともに、簿記を勉強しました。お店が商品を買ったり売ったりする時に使う、「仕入」「売上」といった取引ごとの名前(勘定科目)や、取引の記録の方法(仕訳)を、「とにかく覚える」という勉強でした。教科書には、見慣れない言葉や桁の大きい数字が並んでいたこともあって、簿記の授業には苦戦した覚えがあります。

一方で、楽しかった思い出もあります。地元大分県の地名を付けた架空の会社を舞台に経営を体験するというもので、私はこの授業が大好きでした。「会社」ごとにパソコンが割り当てられて、クラスメートと一緒に、簿記で勉強した知識を使って数字を入力するのです。私は用心深い性格なので、数字が正しいか、何度も確かめました。数字を扱う仕事に向いているかもしれませんね(笑)。

思いがけず本を発刊

-簿記を題材にしたビジネス書『なぜ彼女が帳簿の右に売上と書いたら世界が変わったのか?』(以下、『なぜカノ』)を出しましたね。

高校生の時には、先輩たちのように会社に就職するつもりだったのですが、卒業後はすぐに芸能界に入ったので、簿記に触れる機会はありませんでした。ただ、アイドルとしてデビューした頃は、自己紹介する機会が多く、必ず「簿記の資格を持っています」と言っていました。それがきっかけで、今回、簿記の本を出すことになったので、「あの時、簿記のことを言っておいてよかった」と思います。「簿記は高校時代で終わり」と思っていましたし、デビューする時には簿記の本を出すなんて想像もしていなかったので、簿記に縁を感じています。

簿記のイメージが変わる一冊

-本を出して、反響はどうですか。

握手会の時に、簿記を勉強中の方から「みさみさ(衛藤さんの愛称)が本を出して驚いた。簿記は難しいと思っていたけれど、もう一度、頑張る」などと声を掛けてもらうことが何度もあります。また、以前からのファンの方の中に、会計士の方や、仕事や勉強で簿記を使っている方が何人もいて、特定の人のものだと思っていた簿記を使う人が、身近に大勢いることを実感しました。

簿記は、ひたすら「覚えて、書いて」という勉強をしている方が多いと思いますが、私もそうだったように、勉強中に「なぜ、そうなるんだろう?」と疑問を持つ時があると思います。その点、『なぜカノ』は、ストーリーを追いながら、こうした疑問が解消できるので、ぜひ、読んでいただきたいと思います。私自身、「簿記は難しい」と思っていたのが、この本を出して、「実は面白い」とイメージが変わりました。

勉強のサプリメントに

-今回、本を出した経験を、今後、どのように活かしたいですか?

私は、舞台やお芝居、映画など演技の世界や、アシスタントMC(司会)に挑戦したいので、例えば、税 理士や会計士の役を演じるなどして、簿記の知識を活かせたらいいですね。今回、簿記を学んだ経験が本を出すことにつながったように、この本が将来の仕事につながればいいなと思っています。

-簿記を勉強している皆さんに、メッセージをお願いします。

机に向かいながら「これ、何のために勉強するんだろう?」と疑問を持ったことのある方は多いのではないでしょうか。そんな方には、「簿記は、勉強しておけば、いつか必ず役に立つ」とお伝えしたいと思います。実際、アイドルの世界に入った私が、簿記をテーマに本を出したのがいい例です。人生、何が起こるかわかりません。簿記の資格は持っていて決して損はしません。勉強しておけば、将来の選択肢も広がります。

「難しいなぁ」「勉強するのいやだなぁ」と感じた時は、ぜひ『なぜカノ』を読んでみてください。「簿記や会計は面白い」と感じてもらえたらとても嬉しいです。この本は、簿記の勉強に効く「お薬」ではありませんが、勉強を手助けするサプリメントの感覚で、ぜひ、愛用していただきたいと思います。

『なぜ彼女が帳簿の右に売上と書いたら世界が変わったのか?』とは

人気アイドルグループ・乃木坂46メンバーの衛藤美彩さんが、公認会計士で会社の数字のプロである澤昭人さんによる簿記・会計の講義を受けているうちに≪「複式簿記」が存在しないパラレルワールド≫に迷い込んでしまうという、SF仕立てのエンターテインメント・ビジネスノベルです。その世界で唯一、複式簿記を知る存在となったヒロイン・美彩が、簿記・会計の知識とスキルを駆使して事件を見事に解決。「仕訳」「借方・貸方」「株式会社会計」「クリーン・サープラス関係」「不正会計」など、簿記の初歩から現代企業会計のトピックスまで、シナリオを楽しみながら学べる1冊です。

<『なぜカノ』の共著者 公認会計士 澤昭人さんのコメント>
衛藤さんは、乃木坂46のメンバーとして活躍しながら、この本を出すために合計50時間以上、私の講義に最後まで取り組んでくれました。この本が衛藤さんの今後の活躍に役立つことを願っています。

Profile

衛藤 美彩 Eto Misa
1993年、大分県生まれ。2011年、大分県内の高等学校卒業、在学中に簿記資格取得。同年、アイドルグループ・乃木坂46の第1期メンバーオーディションに合格。2013年、乃木坂46選抜メンバー入り。2016年、野球の侍ジャパン女子代表候補公式サポーター就任。同年、SF仕立てのエンターテインメント・ビジネスノベル『なぜ彼女が帳簿の右に売上と書いたら世界が変わったのか?』(PHP研究所)を発刊。ラジオ番組「金つぶ」(bayfm)アシスタントMC。