2021年4月1日

1. このガイドラインは、DCプランナー認定資格者が、確定拠出年金等を用いた老後の資産形成の意義を啓蒙すること等を通して、確定拠出年金制度の円滑な普及に資するために必要とされる専門知識・技能等の体系・水準を示したものです。
2. このガイドラインでは、DCプランナー認定資格者に必要とされる専門知識・技能等を、A分野(年金・退職給付制度等)、B分野(確定拠出年金制度)、C分野(老後資産形成マネジメント)の3つの分野に分類しています。試験では原則として分野ごとに記載された出題項目が出題されますが、これらの分野は相互に関連し合うものであるため、当該分野に関連してその他の分野に記載されている出題項目が出題されることもあります。
3. このガイドラインで示す出題項目は、DCプランナーとして求められる専門知識・技能等に達するために修得すべき主な項目を記載したものです。したがって、実際の試験では、ガイドラインの出題項目等に詳細な記載がなくとも、DCプランナーが当然理解しておくべき、出題項目等に関連する時事的な問題なども出題される可能性があります。

 

到達レベル

等級 求められるレベル 対象者
1級 確定拠出年金やその他の年金制度全般、および金融商品、投資等に関する専門的な知識を有し、企業に対しては現行退職給付制度の特徴と問題点を把握のうえ、確定拠出年金を基軸とした適切な施策を構築でき、また、加入者等の個人に対しては確定拠出年金の加入者教育の実施および老後を見据えた資産形成およびその前提となる生活設計の提案ができるレベル。 ・企業の年金管理者
・退職給付コンサルタント
・金融機関の年金業務担当者 等
2級 確定拠出年金やその他の年金制度全般に関する基本的事項を理解し、金融商品や投資等に関する一般的な知識を有し、確定拠出年金の加入者・受給者、確定拠出年金制度を実施する企業の福利厚生担当者などに対し説明できるレベル。 ・企業の年金担当者
・金融機関の渉外担当者 等

出題分野

A分野:年金・退職給付制度等
B分野:確定拠出年金制度
C分野:老後資産形成マネジメント

A分野:年金・退職給付制度等

出題の内容と狙い 出題項目
確定拠出年金制度を理解するためには、まず、年金・退職給付制度の全体像を把握し、各制度の内容を理解する必要があります。確定拠出年金が公的年金に上乗せされる制度であるという観点からは、公的年金に関する知識、私的年金の一つであるという観点からは、他の私的年金制度等に関する知識が求められます。確定拠出年金の企業型年金には企業年金としての側面があるため、企業年金およびその起源となる退職一時金との関係、これらの退職給付制度に係る会計上の取扱いである退職給付会計などに関する知識も必要となります。また、確定拠出年金を含めた老後の生活設計を考えるにあたり、各種の社会保険制度の理解も欠かすことはできません。
DCプランナーは、公正・中立な観点から、年金・退職給付制度等に関する総合的な知識を正確に理解することが求められます。
1. 公的年金
(1) 公的年金の概要
(2) 国民年金の仕組み
(3) 厚生年金保険の仕組み
(4) 被保険者
(5) 保険料
(6) 給付
(7) 税制上の措置
2. 企業年金と個人年金
(1) 企業年金の概要
(2) 確定給付企業年金
(3) 中小企業退職金共済
(4) 特定退職金共済
(5) 小規模企業共済
(6) 国民年金基金
(7) 財形年金
(8) 各種個人年金
3. 退職給付制度
(1) 企業年金と退職金
(2) 税制上の措置
(3) 退職給付会計
4. 中高齢期における社会保険
(1) 健康保険
(2) 雇用保険
5. 年金・退職給付制度等の最新の動向
年金・退職給付制度等に関する最新の動向

B分野:確定拠出年金制度

出題の内容と狙い 出題項目
確定拠出年金は他の確定給付型の年金制度とは大きく異なる制度です。まず、加入者や加入を検討する個人、実施企業や導入を検討する企業等に、確定拠出年金の仕組みを説明できる知識が必要です。これに加え、企業型年金の導入を検討する企業等に対しては、既存の退職給付制度からの移行を含む制度設計、導入時および導入後の諸手続等、個人型年金への加入を検討する個人等に対しては、加入時および加入後の諸手続等に関する知識が求められます。また、確定拠出年金制度の運営に関わる運営管理機関、資産管理機関、企業型年金を実施する企業や個人型年金における国民年金基金連合会の役割や行為準則等の知識も不可欠です。
DCプランナーは、公正・中立な視点から、確定拠出年金制度に関する幅広い知識を正確に理解することが求められます。
1. 確定拠出年金の仕組み
(1) 確定拠出年金の概要
(2) 企業型年金の仕組み
(3) 個人型年金の仕組み
(4) 加入者・運用指図者
(5) 掛金と拠出限度額
(6) 運用
(7) 給付
(8) 離転職時等の資産の移換
(9) 離転職時等の資産の移換
2. 企業型年金の導入および運営
(1) 企業型年金規約
(2) 運営管理機関、資産管理機関の役割と業務
(3) 制度導入および制度設計に係る財務、人事労務面の検討
(4) 導入および運営に係る諸手続
(5) 投資教育・継続教育
(6) 既存の退職給付制度からの移行
3. 個人型年金に係る手続等
(1) 国民年金基金連合会の役割と業務
(2) 個人型年金加入者に係る諸手続と実務
4. コンプライアンス
(1) 事業主の責務と行為準則
(2) 運営管理機関・資産管理機関の行為準則
(3) 投資情報提供・運用商品説明上の留意点
(4) 受託者責任
5. 確定拠出年金制度の最新の動向
確定拠出年金制度に関する最新の動向

C分野:投資に関する知識

出題の内容と狙い 出題項目
確定拠出年金を活用して老後資産を形成するためには、加入者のライフプランにあった運用の方法、モニタリング、対応策を適切に理解する必要があり、そのための専門的知識が必要となります。
また、確定拠出年金を活用するうえで必要になる投資教育を行うには、個々の加入者等のニーズや投資経験、知識レベル等を考慮したうえで、専門的知識を適切にわかりやすく伝える説明能力も求められます。さらに、確定拠出年金制度を含めた老後の生活設計に係る知識にも精通していることが不可欠となります。
DCプランナーは、公正・中立な視点から、いわゆる投資教育等に関する専門的な知識を正確に理解することが求められます。
1. 金融商品の仕組みと特徴
預貯金、信託商品、投資信託、債券、株式、保険商品等の金融商品についての次の事項
(1) 種類・性格または特徴
(2) 価格に影響を与える要因等
(3) 金融商品に関係する法令
2. .資産運用の基礎知識・理論
(1) 資産の運用を行うに当たっての留意点
(2) 算術平均と幾何平均
(3) リスクとリターン
(4) 長期運用の考え方とその効果
(5) 分散投資の考え方とその効果
(6) ドルコスト平均法
(7) アセットアロケーション
(8) 相関係数
(9) 有効フロンティアの考え方
3. 運用状況の把握と対応策
(1) 投資指標・投資分析情報
(2) ベンチマーク
(3) 格付け・投資信託の評価
(4) パフォーマンス評価
(5) モニタリングと対応策
4. 確定拠出年金制度を含めた老後の生活設計
(1) 資産形成に取り組むことの必要性
(2) 老後資産形成の計画や運用目標の考え方
(3) 運用リスクの度合いに応じた資産配分
(4) 老後に必要となる資産の計算
5. 老後資産形成マネジメントの最新の動向
老後資産形成マネジメントに関する最新の動向