1. 原価計算初級はどんな内容が含まれていますか?
原価計算とは、資源の消費をその資源を利用する製品やサービスに関連づけて、その製品やサービスから得られる収益と対比して、製品やサービスごとの利益を明らかにするための仕組みです。
原価計算初級は、そのような原価計算手続きに必要な用語や基本的な考え方の理解を問うとともに、計算問題により、その基本的考え方を運用する力を確認する試験です。具体的には、原価計算の基本用語、原価の分類、損益計算についての基礎的概念についての語句選択問題、CVP分析や売上高についての予算実績差異分析を中心とした利益の計画と統制についての計算問題、製品別(サービス別)の利益の計算の問題からなります。製造業のみならず飲食店・小売業を含むサービス業も例にした計算問題が出題されるのも特徴です。原価計算というと、ともすると原価だけを計算するように誤解されることがありますが、本来、原価計算は、製品ごとサービスことに原価と収益を比較して利益を計算するものです。そのため、製品別(サービス別)の利益の計算についての計算問題を重視しています。
2. 原価計算初級を学ぶことで、2級の工業簿記・原価計算の習得にどこまで近づいていますか?
はじめて原価計算を学ぶ入門者は、原価計算の専門用語につまずく傾向があります。原価計算初級では、原価計算の理論を理解するうえで最低限必要な用語や考え方を学びます。原価計算初級の学習をすることで、2級工業簿記の内容の理解がスムーズに行うことができます。
原価計算初級では、個別原価計算や総合原価計算といった原価計算形態の違いには触れず、標準原価計算も範囲になっていません。しかしながら、原価計算初級の知識は、それら2級で学ぶ範囲の学習の基礎となるべきものです。原価計算の基本用語や基礎概念は、原価計算の初学者にとって非常にハードルの高い部分ですので、原価計算初級の学習を通じてその部分を完璧に理解できるようになれば2級工業簿記の学習の半分はできているといってよいかと思います。
3. 原価計算初級の論点には、従来1級から出題範囲となっている内容も含まれていますが、それはどれで、なぜなのでしょうか?
売上高についての予算実績差異分析は、1級の範囲となっていますが、今回、原価計算初級の範囲としました。その理由は、売上高に関する予算実績差異分析は理解が容易であり、実務的にも実施しやすいものだからです。
売上高の予算実績差異分析は、制度としての原価計算を行なっていない企業でも行うことができます。また、売上高の予算実績差異分析は、2級や1級の出題範囲となっている原価差異の分析につながる思考が含まれているので、2級以上の勉強への橋渡しの意味もあります。