企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第182号(2010.6.15)
C分野:ポートフォリオ理論
答案練習は今回からC分野になります。C分野の一回目は,リスクとリターンの計算,正規分布の知識,さらにはポートフォリオ理論,特にリスク回避型の投資家が選択する投資行動についての問題となっています。
《問1》の「解答・解説」
リターンが正規分布に従う場合,将来リターンについて次のことがいえます。
1標準偏差以内の確率は約68%,
1標準偏差を上回る(下回る)確率は約16%
2標準偏差以内の確率は約95%,
2標準偏差を上回る(下回る)確率は約2%
上記ポイントを押さえていれば,(1)から(3)までは確実に対応できたことでしょう。(4)ですが,期待リターン3%,リターンの標準偏差2%である商品Cの収益率が1%を下回る確率は,リターンの1標準偏差を下回る確率ですので,約16%となります。
標準偏差はリスクの尺度であり,リターンのバラつきを示すもので,標準編差が ( (1)大きい )ほどリスクが大きくなる。仮に,リターンが正規分布に従うとすれば,将来のリターンが期待収益率±1標準偏差の範囲内に約( (2)68 )%,期待収益率±2標準偏差の範囲内に約( (3)95 )%の確率で収まることになる。したがって,商品Cの収益率が1%を下回る確率は,約( (4)16 )%である。
《解答》
(1)大きい (2)68 (3)95 (4)16
《問2》の「解答・解説」
2資産で構成されるポートフォリオのリターンとリスクを計算する,基本的な問題です。ここは慎重に計算して,ぜひとも正解しましょう。計算式は次の通りになります。
期待収益率=8%×0.6+3%×0.4=6.0%
分散=0.6×0.6×9%×9%+0.4×0.4×2%×2%+2×0.6×0.4×9%×2%×(-0.4)
=26.344
∴標準偏差=5.13…% ≒ 5.1%(小数点以下第1位未満を四捨五入)
《解答》
期待収益率6.0% 標準偏差5.1%
《問3》の「解答・解説」
「リスク回避型の投資家は,同じリターンであれば,よりリスクの小さい方(同じリスクであれば,よりリターンの大きい方)を選択する。」という点がポイントです。また,《問2》で求めたポートフォリオと,商品Bはリターンがいずれも6.0%です。したがって,よりリスクの低い商品Bを選択することを示します。
《解答例》
「リスク回避型の投資家は,同じリターンであればリスクの低い運用対象を選択するため,リターンが同じ6%であれば,よりリスクの低い商品Bを選択する。」
いかがでしたでしょうか。「リスク回避型の投資家」は,DCプランナー試験で出題されるポートフォリオ理論の問題の大前提といえます。このような投資家が選択する,「同一のリスクで最大のリターンをもたらすポートフォリオの集合を,「効率的フロンティア(有効フロンティア)」と呼ぶのでしたね。あわせて復習しておくと効果的です。