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》》企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン《《
第346号(2017.4.17)
日本商工会議所
商工会議所年金教育センター
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〉〉〉CONTENTS〈〈〈
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【連載記事】
1〉「信託の基本と使い方を学ぼう」 全4回
第3回 円滑な事業承継を実現させるために
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【勉強会の開催情報】
2〉大阪で開催する勉強会のご案内
「第11回 ホンネで語り合う企業年金事情」
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3〉東京で開催する勉強会のご案内
「平成29年の年金改正事項の解説」(再掲)
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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このメールマガジンは、企業年金総合プランナー(DCプランナー)認定試
験に合格し、1級または2級の資格を登録された方々に対する情報提供サービ
スの一環として、原則、毎月2回(1日および15日)送信しています。
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1〉「信託の基本と使い方を学ぼう」 全4回
第3回 円滑な事業承継を実現させるために 菅野 真美
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<いつの時代も事業承継は重要な問題>
事業承継という言葉があります。個人で事業を行う人や会社という器を使っ
て事業を行う人が、他の人に経営というバトンを渡すことです。会社の経営の
バトンを渡すということは、社長という地位を渡すだけでは事足らない場合が
多くあります。なぜなら、多くの会社は株式会社として設立されますが、株式
会社の基本事項を決めるのは株主総会です。株式には、通常株主総会の議決権
がついていることから株式を多く持った株主が議決権も多く保有し、株主総会
で取締役の選任をはじめとする重要事項を決めることができます。つまり会社
の事業承継のためには社長の地位だけでなく株式の承継が重要となります。
<事業承継の最大のコストは贈与税や相続税>
事業(自社株)を承継する相手が自分の子供や孫の場合、無償で引き継がれ
ることが一般的ですが、引き継いだ子供や孫は相続税や贈与税を納付しなけれ
ばなりません。相続税や贈与税は財産の価値に応じて税額が決まるものです。
多くの株式会社は上場していませんが、このような会社の株式の評価について
は、その会社を支配するグループのメンバーか否かによって異なります。会社
を支配するグループのメンバーの場合は、会社の財産の価値等に基づいて株価
が計算され、儲かっている会社や含み益の多い会社の株価は高額になります。
なぜこのような評価になるかというと議決権を保有することから会社の財産を
支配して自由に運用できると制度設計者が考えるからです。
<信託を利用すると議決権を株式から切り離すことができる>
信託とは、ある人(委託者)が有する財産を他の人(受託者)に委ねて、
運用等してもらい、その利益をある人(受益者)のために分配してもらうため
の仕組みです。株式ももちろん信託をすることができます。株式を信託すると、
株式の名義人は委託者から受託者に変わります。株主名簿には受託者の名義に
信託口という言葉を付け加えて記載されます。株主総会の議決権は、株主名簿
に記載されている受託者が行いますが、信託を使うとこの株主総会議決権を誰
の意向に沿うって行うかを信託契約等によって定めることができます。
委託者が議決権行使指図権を有すると決めると、委託者の意向で議決権が行
使されます。受益者がA,Bの2人いる場合、Aのみに議決権行使指図権を与える
と、Aが株主総会の議決権の行使をすることができます。もちろん、受託者の意
向で議決権を行使することもできます。このように信託を利用すると株主総会
の議決権を株式の財産的価値(配当を受け取ったり、残余財産をもらえる権利
等)を分離することができます。
株価の低いうちに後継者に株を渡したいが、議決権は保留したい甲は優良な
中小企業のオーナーです。最近の景気悪化に伴い株価が下がっていることから
今なら贈与税を低くおさえて後継者の乙に株式を贈与することができるという
提案を顧問税理士から受けました。乙に少ない贈与税の負担で株式を渡すこと
は望ましいが、株式を渡すと株主総会の議決権までも乙に渡ってしまう。乙は
まだ経営者としては未熟であり甲が陣頭になって経営をする必要性があるので
議決権を渡すのは躊躇するどうすればいいのだろうと甲は悩んでいます。
<信託を使った解決策>
このような甲の悩みについては、信託を使うことにより解決をすることがで
きます。たとえば、甲が自社株を自己信託(自分が受託者となる信託)して受
益者を乙としますが、受託者甲が自分の判断で株主総会の議決権を行使します。
甲が死亡または成年被後見人となった時又は乙が社長となった時のいずれか早
い時点で信託は終了し、残余財産(自社株)は、乙が取得します。
このような信託をすると株式の名義は甲のままであり、信託期間中は甲の意
向に沿って株主総会の議決権を行使することができます。しかし、贈与税につ
いては、信託設定時に受益者が乙となっていることから乙が信託設定時点で、
その時の自社株の価額に基づいて贈与税を納付することになります。そして、
信託が終了した時点で、株式自体は乙のものとなりますが、この時点で相続税
も贈与税もかかりません。税務的には信託設定時点で財産的価値は移動したと
みなすからです。切り出された議決権部分については、現段階では税務的には
価値は0と評価されます。
このように信託を使うことにより株式の価値から議決権を切り出すことがで
きることから、現在、事業承継対策のために信託を使うことが研究され広がり
つつあります。
※執筆者紹介
菅野 真美
税理士・社会福祉士・CFP(R)
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2〉大阪で開催する勉強会のご案内
「第11回 ホンネで語り合う企業年金事情」
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下記のとおり大阪で勉強会を開催いたします。
新年度になりました。予定利率もマイナスが可能になり、個人型DC、いわゆ
るiDeCoとリスク分担型DBが始動し、企業年金も大きく変わろうとしてい
ます。イルカのイデコちゃんやカトパンで普及を図る動きもあり、厚生労働省に
企業年金の普及を推進するための組織も生まれました。
平成28年度末の導入実績から、各年金のニーズを図り、その留意点を解説した
いと思います。また、平成30年5月までに予定されている改正、例えばDCから
DBへの逆ポータビリティ、小規模事業主掛金納付制度、運用商品選定数の上限
設定、デフォルトファンド等も目白押しで、これらの解説や問題となるところも
ご紹介いたします。
◆日 時:6月3日(土)15:00~17:00 (受付開始14:45)
◆会 費:3,500円(お支払方法は、お申込み完了後にお知らせいたします)
◆講 師:登録講師
1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
◆会 場:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)
大阪府大阪市中央区大手前1丁目3番49号
【アクセス】
http://www.dawncenter.jp/shisetsu/map.html
◆定 員:20名
◆幹 事:みなとグローバル研究会 大阪大手門勉強会
◆申込先:参加を希望される場合は、下記のURLからお申込みください。
http://benkyou-j.com/study/detail.php?sid=205
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3〉東京で開催する勉強会のご案内
「平成29年の年金改正事項の解説」(再掲)
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◆内 容
平成29年の年金の改正事項には、1月から日本年金機構マイナンバーの取扱
の開始、個人型DCの加入範囲の拡大、4月からの年金額のマイナス改定、
8月からの受給資格期間の短縮と変更事項と、盛りだくさんです。
本勉強会では、年金の改正事項および、昨年12月に成立した年金カット法と
いわれた年金改革法等の改正内容と今後の影響についてわかりやすく解説しま
す。
◆日 時:4月25日(火)18:30~20:30(受付18:10~)
◆会 費:3,500円(会場にて申し受けます)
◆講 師:松村 正明 社会保険労務士 CFP
◆会 場:エムワイ貸会議室高田馬場
東京都新宿区高田馬場1-29-9 TDビル
http://meijiyasuda-life-hall.com/kashikaigishitsu-takadanobaba/access.html
◆定 員:45名(先着順)
◆申込み:Eメールにて、タイトルに「4月25日勉強会参加希望」と記載し、
お名前、所属につきまして以下アドレスにお送りください。
admin@globalmind.co.jp
◆幹 事:みなとグローバル研究会 (旧:企業実務研究会)
事務局 大高 直美
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【日本商工会議所からのお知らせ】
4〉DCプランナー資格登録者の住所変更等手続きについて
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DCプランナー資格登録者で、住所や勤務先、メールアドレス等を変更した
場合は、お手数ではございますが以下のいずれかのサイトから登録情報の変更
をご連絡ください。ご連絡をいただかないと、情報誌や資格更新に関する案内
文書の送付、メールマガジンの配信等ができなくなりますのでご注意ください。
〇『DCプランナー専用サイト』基本メニュー内 登録情報変更(住所変更な
ど)のコーナー(https://dcplanner.cloud-cafe.biz)
※ 1級および2級DCプランナーとして資格をご登録いただいている方の
専用サイトです。
同サイトのご利用に当たっては、最初に別途メールアドレス等をご登録
いただく必要があります。
※ ご連絡の際は、ご登録の情報を修正後「資格登録情報も合わせて変更す
る」ボタンをクリックしてください。
〇『商工会議所検定試験サイト』DCプランナー 登録情報変更連絡コーナー
(http://www.kentei.ne.jp/dcp/contact)
※ 『DCプランナー専用サイト』に未登録の方は、こちらからご連絡くだ
さい。
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次号(第347号)は、5月1日(月)に送信予定です。
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【企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン】
編集・発行:日本商工会議所 商工会議所年金教育センター
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ください。
E-Mail:nenkin@jcci.or.jp
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《禁・無断転載》
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