1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験 答案練習(全8回) 
~2015年度試験対策・第8回~

■企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第314号(2015.12.15)掲載
 C分野:時間加重収益率の計算
 D分野:遺言

《問1》の「解答・解説」

追加投資が発生する場合の投資成果(リターン)を求める問題です。このような場合、
時間加重収益率を用いてリターンの測定を行うことがあります。時間加重収益率とは、
運用機関の意思によってコントロールできない運用期間中のキャッシュ・フローの影響
を排除して、運用機関の運用能力を評価するのに適したリターンの計算方法です。
この問題のように年次ベースで時価の測定ができている場合は、投資期間における幾何
平均リターンを求めることで算出できます。

 
 まず、1年目のリターンを求めます。
 1年目のリターン=(120万円-100万円)÷100万円×100=20%

 2年目のリターンを求める前に、2年目年初時価を算定しておきます。
 2年目年初の時価=120万円+200万円=320万円
 
 したがって、2年目のリターンは次のとおりになります。
 2年目のリターン=(304万円-320万円)÷320万円×100=-5%


 ≪図 解≫ 
1年目 2年目
年初   年末 年初   年末
  20%  
100万円 −−−> 120万円  
  +200万円  
  −−−−−  
  320万円 −−−> 304万円
  -5%  

時間加重収益率は、1年目20%、2年目-5%のリターンを獲得した投資の幾何平均
リターンを求めれば出てきます。したがって、時間加重収益率は次のとおりです。
  
 時間加重収益率=[{(1+0.2)×(1+(-0.05))}の平方根] - 1
        =0.0677… → 6.77%

《解答》 3)


《問2》の「解答・解説」
  
1) 適切 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を
     自書し、これに印を押さなければなりません(民法968条1項)。代筆や
     ワープロ等により作成したものは無効となります。

2) 適切 公正証書遺言は、原則として公証人が遺言者の口述を筆記することにより
     作成されるものであり、証人2人以上の立会いが必要となります(民法969条
     1号~3号)。

3) 適切 15歳に達した者は遺言をすることができます(民法961条)。未成年者が一
     般の法律行為を行う場合、法定代理人の同意を得なければなりません(民法
     5条1項)。5条1項だけを見ると、法定代理人同意についても言及しなけ
     れば2)は不適切なのでは?とも考えられます。そもそも、遺言は、ある人
     の最後の意思表示であり、それを最大限尊重するのが制度の趣旨です。
     そこで、遺言の場合は民法第5条の原則を適用せず、行為能力までは要求し
     ていないのです。人は、満15歳に達したら意思能力はあると認められます。
     また遺言という制度の性格上、代理人による行為が馴染みません。
     以上から、満15歳に達して意思能力を備えた者は、単独で遺言をできるよう 
     にしたのです。

4) 不適切 一時期テレビのワイドショー等で話題になりましたが、複数の遺言書が
      発見された場合の遺言の効力についてです。遺言者は、いつでも、遺言
      って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。
      前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、
      後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなします(民法1023条1項)。
      したがって、自筆証書遺言や公正証書遺言といった方式に優先順位がある
      のではなく、あくまで後の遺言の内容が優先されるということです。
 
《解答》 4)