1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験 答案練習(全8回)
~2015年度試験対策・第4回~
■企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第306号(2015.8.15)掲載
B分野:確定拠出年金制度
確定拠出年金の事業主返還資産及び運営管理機関の行為準則に関する問題です。ともに、制度の実施・運営に際し留意すべき事項であり、十分な理解が求められます。
《問1》の「解答・解説」
事業主返還資産に関する問題です。企業型年金加入者の資格喪失に際し、個人別管理資産額のうち事業主掛金に相当する部分を返還するのはどのような要件を満たした場合か、しっかりと覚えておきましょう。
1) 適切 企業型年金加入者の資格を喪失した日において、当該企業型年金の障害給付金の受給権者である場合は、事業主掛金に相当する部分を返還する必要はありません(確定拠出年金法施行令第2条第1号)。
2) 適切 死亡によって企業型年金加入者の資格を喪失した場合は、事業主掛金に相当する部分を返還する必要はありません(確定拠出年金法施行令第2条第2号)。
3) 不適切 規約に定めれば、企業型年金を実施する事業所に使用された期間が3年未満の場合に、事業主掛金に相当する部分を返還させることができますが、この使用期間は雇用関係にある期間(勤続期間)をいい、確定拠出年金への加入期間や掛金を拠出した期間のことではありません。したがって、育児休業期間も含まれます。
4) 適切 60歳に達したことによって企業型年金加入者の資格を喪失した場合は、事業主掛金に相当する部分を返還する必要はありません(確定拠出年金法施行令第2条第2号)。
《解答》 3)
《問2》の「解答・解説」
確定拠出年金運営管理機関の行為準則に関する問題です。確定拠出年金法だけでなく、法令解釈の内容も確認し、具体的な内容の正誤を判断できるようにしておきましょう。
1) 適切 運営管理機関は株式を運用の方法として提示したときは、いわゆる「倒産リスク」があることを加入者等に対し、十分に情報提供することとされています(法令解釈第62.(1))。
2) 適切 運営管理機関が運営管理業務の一部を他の運営管理機関に再委託した場合は、当該再委託した運営管理機関から、業務の実施状況等について、少なくとも年1回以上定期的に報告を受けることとされています(法令解釈第62.(1))。
3) 適切 運営管理機関は、業務の遂行に必要な範囲内で、個人別管理資産額等の個人情報を保管・使用しなければなりませんが、本人の同意がある場合は、この限りではありません(確定拠出年金法第99条第2項)。
4) 不適切 運営管理機関は、業務の遂行に必要な範囲内で、加入者等の個人情報を保管・使用しなければなりませんが、正当な事由がある場合はこの限りではありません。正当な事由とは、法令の規定に基づき裁判所、税務署等から個人情報提出命令等があった場合、事業主からの依頼に基づき、当該事業主の企業型年金の実施に係る業務の遂行に必要な範囲内で、加入者等の個人情報を提供する場合のことで、この場合は、加入者本人の同意を得なくても、提出・使用ができます(確定拠出年金法第99条、法令解釈第62.(2))。
《解答》 4)