企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第284号(2014.9.15)
C分野:リターンとリスクの計算

今回からC分野の問題です。オーソドックスなリターン・リスクの計算問題ですので、慎重に得点していきましょう。

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《問1》の「解答・解説」

最初に、商品Aに60%、商品Bに40%投資するポートフォリオの、4年間の各年リターンを求めます。
各年における商品別のリターンを投資比率で加重平均します。

 1年目のリターン=2.0%×0.6+6.5%×0.4=3.8%
2年目のリターン=▲2.0%×0.6+▲3.0%×0.4=▲2.4%
3年目のリターン=5.5%×0.6+10.0%×0.4=7.3%
4年目のリターン=1.0%×0.6+▲1.0%×0.4=0.2%

昨年度も出題されましたが、リターンの標準偏差を求める問題です。導出方法を説明しながら式を立てていきます。

まず偏差(各期のリターンと平均リターンの差)を求めます。
このままだと±符号の解釈が複雑になるため、偏差を2乗します(数学上のテクニックです)。
偏差の2乗の総和が、この問題でいえば4年間のリスクの総和となります。
最後に期間(4年)で割り算することで、年率ベースでのリスクの値が算出されます。

上記に基づいて、ポートフォリオのリスクを計算すると、次のとおりになります。

(3.8%-2.2%)×(3.8%-2.2%)
+(▲2.4%-2.2%)×(▲2.4%-2.2%)
+(7.3%-2.2%)×(7.3%-2.2%)
+(0.2%-2.2%)×(0.2%-2.2%)
=53.73

53.73÷4=13.4325

13.4325の平方根=3.6650…→3.7%

(補足)
商品A及びBのリスクと相関係数の数値を使って

(4.0×4.0×0.6×0,6+7.5×7.5×0.4×0.4+0.3×4.0×7.5×0.6×0.4)の平方根=4.1%
と求めた方はいませんか。

Sさんが、これから新たに商品A及びBを6:4の投資比率で組んだポートフォリオで投資をしようとしていて、その将来リターンの標準偏差を考えるのならば、上の式で正しいです。
しかし、今ここで問われているのは、あくまで過去4年間の実績評価です。ですから過去のデータに依拠してリスク・リターンを求めなければなりません。

《解答》 3.7%

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《問2》の「解答・解説」

商品Bの投資比率をxとします。問題文から、商品Aの投資比率をxを用いて表すと2xです。
ポートフォリオの期待リターンの式を立てると、次のとおりになります。

2.5×2x+4.0×x+7.0×(1-x-2x)=4.6
∴x=0.2

Bの投資比率は0.2です。したがってA、Cの投資比率は、それぞれ下記のとおりになります。
Aの投資比率=2×0.2=0.4
Cの投資比率=1-0.2ー0.4=0.4

《解答》 A:40% B:20% C:40%

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《問3》の「解答・解説」

まず商品Aに70%、商品Bに30%投資するポートフォリオの期待リターンとその標準偏差を計算すると、下記のとおりになります。

期待リターン=2.5%×0.7+7.0%×0.3=3.85 → 3.9%
リスク(分散)=0.7×0.7×4.0×4.0+0.3×0.3×12.5×12.5+2×0.7×0.3×(-0.1)×4.0×12.5
=19.8025 ∴標準偏差=4.45 → 4.5%

求めるのは、1年後にそのリターンが約68%の確率で収まる利回りの範囲です。これは、期待リターンが±1標準偏差で収まる範囲を求めることになりますから、次のとおりになります。

3.9%±4.5%×2 すなわち ▲0.6%~8.4%

《解答》▲0.6%~8.4%