1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験 答案練習(全8回)
~2015年度試験対策・第2回~
■企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第302号(2015.6.15)掲載
A分野:退職給付会計
退職給付会計に関する問題です。難易度は高くありませんが、専門用語が多いため、退職給付会計の問題に慣れていない人にとっては難しく感じることもあるでしょう。退職給付会計の基本的な考え方を理解することに加え、用語の定義や具体的な計算方法を覚えておくことが重要です。
《問1》の「解答・解説」
退職給付会計における会計処理の基本的な枠組みとしては、以下の点があげられます。
(1)退職給付は、労働の対価として支払われる賃金の後払いであるという考え方に立ち、基本的に勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生するものと捉えられます。つまり、支出の原因が発生した期間に費用として認識するということで、これを発生主義といいます。
(2)年金資産は、退職給付制度のために退職金規程等に基づいて積み立てられた資産で、退職給付以外に使用できないことや、事業主から法的に分離されていることなどの要件を満たすものをいいます。会計処理においては、期末における時価(公正な評価額)が用いられます。
(3)退職給付の水準の改訂及び退職給付の見積りの基礎となる計算要素の変更等によって生じる、過去勤務債務や数理計算上の差異は、原則として、一定の期間にわたって、規則的に費用処理をします。これを、遅延認識といいます。具体的には、各期の発生額について、平均残存勤務期間以内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理します。
《解答》 2)
《問2》の「解答・解説」
「退職給付に関する会計基準」では、それぞれの用語の定義づけが行われています。退職給付債務については、「退職給付のうち、認識時点までに発生していると認められる部分を割り引いたものをいう」とされています(第6項)。
また、退職給付債務の計算については、「退職により見込まれる退職給付の総額(以下「退職給付見込額」という。)のうち、期末までに発生していると認められる額を割り引いて計算する」と定められています(第16項)。
実際に「退職給付に関する会計基準」を見たことがないと、前段が定義で、後段が計算方法についての説明であることは、気付きにくいかもしれません。理解を深めるためには、退職給付会計に関する会計基準で、どのように定められているのか確認しておくと良いでしょう。
《解答》 (1)認識 (2)退職給付見込 (3)期末
《問3》の「解答・解説」
問2を計算式で表したものです。
問2が分かれば、(1)が「退職給付見込額」、(3)が「割引率」であることは、比較的容易に導けるでしょう。
(2)は、問2の「期末までに発生したと認められる額」に該当する部分であり、退職給付に関する会計基準では、期間定額基準の場合は、「退職給付見込額について、全勤務期間で除した額を各期の発生額とする」と定められています(第19項)。
なお、退職給付見込額のうち期末までに発生したと認められる額は、上記の「期間定額基準」と「給付算定式基準」があり、いずれかを選択し、いったん採用した方法を、原則として、継続して適用することとされています。給付算定式基準とは、退職給付制度の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた給付に基づき見積った額を、退職給付見込額の各期の発生額とする方法です。
《解答》 (1)退職給付見込額 (2)全勤務期間 (3)割引率