企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第101号(2007.2.01)
C分野:ポートフォリオのリスクとパフォーマンス評価
今回は、ポートフォリオのリスクの計算とパフォーマンス評価に関する問題を取り上げます。いずれも極めてオーソドックスな問題であるので、確実に得点しておきたいところです。ポイントは次の通りです。
(1)定性評価
(2)シャープレシオの算出
(3)ポートフォリオのリスク(リターンの標準偏差)の算出
《問1》
定量評価は、過去の運用実績を数量的に評価する手法です。定量評価ではファンド全体に関する指標としてシャープレシオ、ベンチマークに対する相対的な指標としてインフォメーションレシオが、しばしば使用されます。これらの評価尺度には「リスク調整後リターン」が用いられます。
定性評価は、運用者の状況変化をモニタリングしたり、運用者のスキルを評価したりするには定量的な分析だけでは不十分なため、これを補う目的から行われます。運用会社の運用哲学、投資方針等や、運用担当者の経歴・資格、意思決定プロセス等の情報を質問状や面談を経て収集し、評価を行うのが一般的です。
なお、(1)で「リスク調整後リターン」を使用する旨の指示がありました。問題文に明確な指示があるにも関わらず、これを無視してしまった場合、減点されても致し方ないと心得ておきましょう。解答例を示すと下記の通りとなります。
〈解答例〉
(1)定量評価
定量評価は、数値を基に運用評価を行う方法で、絶対的なリスク・リターンを計測する方法とベンチマークに対する超過収益やアクティブリスクを計測する方法があり、いずれにおいてもリスク調整後リターンが用いられる。
(2)定性評価
定性評価とは、数量的な分析だけでは得られない項目を評価する手法である。運用会社の運用哲学、運用組織、意思決定プロセス等を質問状や直接面談によるヒアリングを行うことにより評価するのが一般的である。
《問2 解答・解説》
各ポートフォリオのシャープレシオを計算し、大きいほうを選択します。計算過程は、下記の通りになります。
ポートフォリオAのシャープレシオ=(8%-1%)÷10%=0.7
ポートフォリオBのシャープレシオ=(7%-1%)÷9%=0.66…
シャープレシオの観点から、ポートフォリオAの方が優れていると評価できます。
(答) ポートフォリオA
《問3 解答・解説》
2つの資産で構成されたポートフォリオのリターン・リスクを計算する問題です。ポートフォリオAの組入比率をWとおいて、公式にあてはめると次の通りになります。
ポートフォリオの期待収益率=8%×W+7%×(1-W)=7.5%
∴W=0.5
新たなポートフォリオの標準偏差をσとすると、σは下記の式から求めることが出来ます。
σ2=0.52×102+0.52×92+2×(-0.65)×0.5×0.5×10×9=16
∴σ=4
(答) 4%
解説は以上ですが、いかがだったでしょうか。《問1》のような記述式問題では、本番で初めて与えられるテーマを、限られた時間内に、簡潔に文章としてまとめる力を試されています。過去問で傾向を把握することは重要ですが、それだけでは不十分です。気になる専門用語・論点は、少なくともホームページの検索、余裕があれば専門書等を改めて参照して理解を深めておきましょう。