企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第102号(2007.2.15)
D分野:自営業者のリタイアメント・プランニング
今回は、自営業者のリタイアメント・プランニングに係る問題を取り上げます。係数を利用する計算問題に加えて、個人型年金加入者からの相談を想定した総合的な問題となっています。
《問1 解答・解説》
個人型年金加入者が負担する手数料に関する問題です。手数料体系は加入者にとって関心の高い点の1つです。これまで基礎編でも出題されたことがあり、しっかり押さえておく必要があります。とりわけ国民年金基金連合会の手数料は、その種類・金額・徴収方法まで踏み込んで学習してください。まとめると、下記の通りになります。個人型年金の手数料は、上記の他に運営管理機関や事務委託先金融機関に支払う手数料があります。
〈国民年金基金連合会の手数料〉(すべて非課税取引)
種類 | 金額 | 徴収方法 |
加入時 | 2,000円 | 初回掛金から控除 |
毎月の拠出時 | 毎月100円 | 毎月掛金から控除 |
移換時 | 2,000円 | 移換資産から控除 |
掛金の還付時 | 1,000円 | 還付金から控除 |
国民年金基金連合会に対して、加入時に((1)2,000)円をお支払いいただきます。この部分については、初回の掛金から差し引きます。これは、主として加入に際して連合会が行う事務費用に充てられます。また、毎月の掛金から((2) 100)円をお支払いただきます。これは、主として加入者に対して連合会が毎月行う、掛金の収納、事務委託先への掛金の送金、資格の確認等の事務費用に充てられます。なお、運営管理機関に支払う手数料もありますが、これは運営管理機関によって異なるので、よくご検討ください。
《問2 解答・解説》
係数を利用したライフ・プランニング計算では、プランを拠出時・据置期・取崩期に分けて考えます(本解答では、計算の最後に1万円未満を四捨五入しています)。
〈拠出時〉
毎月拠出額4万円(年間48万円)、期間15年、利率2%で、60歳到達時の元利合計を求めると次の通りになります。
480,000円×17.6393(年金終価係数2%,15年)=8,466,864円
〈据置期〉
60歳から65歳になるまで据置期の運用について、65歳時点の元利合計は終価係数を用いて求めると、下記の通りになります。
8,466,864円×1.1041(終価係数2%,5年)=9,348,264.5424円
〈取崩期〉
65歳時点の元利合計を75歳時点までの10年間にわたって一定額を取り崩すので、年金現価係数を用いて毎年の受取額を求めると、下記の通りになります。
9,348,264.5424円÷9.1622(年金現価係数2%,10年)
=1,020,307.84553円→1,020,000円(1万円未満四捨五入)
(答)102万円
《問3 解答・解説》
市中一般で購入できる金融商品と比較して、個人型年金の運用商品のメリット・デメリットを理解しているかが問われています。
〈解答例〉
(メリット)下記から1つ
・拠出金額が所得控除になる点
・運用中は収益に課税されない点
・受取時にも税制優遇措置がある点
(デメリット)下記から1つ
・選択可能な商品の数が限られている点
・拠出可能な金額に制限がある点
・原則として、60歳まで途中引き出しができない点