企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第 103号(2007.3.1)
C分野:相関係数/株式指標

今回は、2006年9月基礎編からC分野の問題を2題取り上げます。

《問1 解答・解説》
相関係数の特性と分散投資の効果についての問題です。これらは、過去の問題を別の表現で言い換えながら、何度も出題されてきています。理解して欲しい点も含めて解説していますので、確実にマスターしておきましょう。

ア)正しい
2資産の相関係数は、-1から1までの値をとり、下記の特性を示します。
(1)0から1までの場合、一方の資産のリターンが上昇(下降)すれば、他方も上昇(下降)する傾向を示します(正の相関)。
(2)-1から0の場合、一方のリターンが上昇(下降)すれば、他方は下降(上昇)する関係を示します(負の相関)。
(3)0の場合は、両者の価格変動に相関性は見出せない(無相関)といえます。従って、2資産の相関係数が小さい場合(-1に近づくほど)、一方の資産のリターンが悪いときに他方は良いという傾向が顕著になります。

イ)誤り
相関係数がプラスである2資産に分散投資した場合、双方のリターンが同時にマイナスになることはありえます。そもそも、相関係数の値は、各資産の投資成果が良かった・悪かったという因果関係を説明するものではないことに注意して下さい。

ウ)正しい
分散投資の種類としてはセクター分散の他に、株式・債券・短期金融商品などリスク・リターン特性の異なる金融商品による「資産分散」、異なる国・地域・通貨による「国・地域・通貨分散」等が挙げられます。

エ)正しい
複数の資産で構成されたポートフォリオの期待リターンは、各資産のリターンを加重平均したものです。ポートフォリオのリスクは、相関係数によって次の場合に分かれます。

(1)相関係数が1の場合、組み入れた資産の加重平均と等しくなります。
(2)相関係数が-1以上1未満の場合、組み入れた資産の加重平均より小さくなります。
つまり、複数の資産を組み入れたポートフォリオのリスクは、資産ごとのリスクを機械的に加重平均したものより小さくできる、ということを意味しています。これが、ポートフォリオによるリスク分散効果、分散投資効果と呼ばれる考え方です。

(答) 4)


《問2 解答・解説》
株式指標に関する問題です。損益計算書(P/L)・貸借対照表(B/S)・キャッシュフロー計算書(C/F)等、いわゆる財務諸表は、投資家にとって投 資意思決定のための重要な情報です。株式指標は基本的に財務諸表の数値から導かれるものです。各指標の定義だけでなく、使い方も重要な論点です。会計の知 識が多少必要となりますので、P/L、B/S及びC/Fの構造のついても学習しておくと、一層理解が進むと思われます。

1)適切
株価収益率(PER)は、一般的には、株価の割安・割高感を示す判断指標の一つと説明されています。これを株主の立場から説明 すると、利益がすべて配当に回された場合に、何年で元本を回収できるかという指標としてみることができます。会社の立場からみれば、PERの逆数で、「株 主からの出資をどれくらいの利回りで運用しているか」という指標とみることができます。

2)適切
株価キャッシュフロー倍率 (PCFR)は、株価収益率(PER)を補完する指標であると言われています。企業が大型設備投資を行った場合、減価償却費が利益を圧迫するため、会計上 の利益をベースとしているPERは割高と判断されかねません。損益計算書に計上されている当期純利益から、現金支出を伴わない費用である減価償却費を足し 戻すことで、企業のキャッシュフロー(手元資金、言い換えれば設備投資余力)をベースに分析できる指標が、PCFRです(注:実際の投資では、PCFRと PERを組み合わせて総合的に判断することになります)。

3)不適切
「株価売上高倍率」(PSR)の分母・分子が逆です。PSRは、株価を一株当たり売上高で除した数値です。

4)適切
企業会計上、貸借対照表の資産(総資産)から負債を控除した部分を、「純資産」と定義します。純資産は、その会社における理論上の解散価値であると言われ ます。株主にとってみれば、会社の解散に伴って受け取ることができる残余財産ともいえます。なお、株価純資産倍率(PBR)は、この考え方をベースとした 指標です。

(答) 3)