企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第110号(2007.6.15)
C分野(投資に関する知識):正規分布
D分野(ライフプランニングとリタイアメントプランニング):自営業者のリタイアメント・プランニング
今回は、C分野とD分野の基礎編に関する問題を取り上げます。
C分野では、正規分布の確率計算で、対象となるリターンが1標準偏差以上になる確率を求めるパターンです。
D分野は、自営業者のライフプランニングに関する問題で、運用利率が未知である場合の解法を習得してもらう目的で紹介しています。
《問1》の「解答・解説」
正規分布に従うファンドのリターンおよびリスク(リターンの標準偏差)の特性に関する問題です。あるファンドが平均μ、標準偏差σの正規分布に従うと仮定した場合、ファンドが将来発生し得るリターンについて、次のことがいえます。まずは、試験対策上、暗記しておいてください。
[1] μ±1σの範囲内に入る確率は、約68%である。
[2] μ±2σの範囲内に入る確率は、約95%である。
[1]、[2]は、次のように言い換えることもできます。
[1]´μ+1σ以上(またはμ-1σ以下)となる確率は、約16%である。
[2]´μ+2σ以上(またはμ-2σ以下)となる確率は、約2%である。
「年間リターンが8%以上になる確率」とは、「年間リターンが、平均(4%)+1σ(4%)以上になる確率」を求めることになりますので、[1]´から約16%と分かります。したがって、最も適切な選択肢は「1)15.87%」と導くことができます。
(答) 1)15.87%
《問2》の「解答・解説」
問題設定はオーソドックスですが、運用利率をダイレクトに導き出せないため、係数を求めたうえで、係数表から自分で探し出すという点がポイントになります。まず、 20年間の拠出と5年間の運用によって形成される65歳時点の年金原資を求める式は、次のようになります。
500,000円×年金終価係数(20年)×終価係数(5年)
一方、65歳から85歳までの20年間で年金を受け取る場合に必要な65歳時点の積立合計額を求める計算式は、次のようになります。
1,000,000円×年金現価係数(20年)
そして、65歳時点の年金原資と積立合計額が等しいか年金原資のほうが大きいような運用利率で2つの金額が最も近くなるものを見つけます。関係式は、次のとおりです。
500,0000円×年金終価係数(20年)×終価係数(5年)≧1,000,000円×年金現価係数(20年)
つまり、
年金終価係数(20年))終価係数(5年)≧2×年金現価係数(20年) … 式(1)
上記の式(1)を満たす係数を求めるわけですが、一つの式から3つの未知数を数学的に求めることは不可能ですので、係数表を頼りに下記のとおり地道に計算することになります。
運用利率1%
22.2392×1.0510(23.3733992)<2×18.2260(36.4520) 式(1)を満たしません。
運用利率2%
24.7833×1.1041(27.36324153)<2×16.6785(33.3570) 式(1)を満たしません。
運用利率3%
27.6765×1.1593(32.08536645)>2×15.3238(30.6476) 式(1)を満たします。
運用利率4%
30.9692×1.2167(37.68022564)>2×14.1339(28.2678) 式(1)を満たします。
したがって、最低必要運用利率は3%と分かります。
(答) 3)3%
正規分布ならびに係数利用の計算からの出題でしたが、いかがだったでしょうか? 正規分布は苦手という方もいると思いますが、今回の問題は基本的レベルですので、落とせないところでした。
係数利用の問題で、本問題のように係数を一個ずつあてはめて求めるパターンの場合は、式さえ正しければ、係数表に載っている利率から必ず正解にたどり着けるはずです。面倒だと思わずに、最後まで根気よく取り組むことを心がけましょう。