企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第114号(2007.8.15)
A分野:退職給付会計
退職給付会計に関する問題です。退職給付会計の基本的な考え方や語句の意味などを理解しましょう。
《問1》の「解答・解説」
退職給付会計の基本的な仕組みについての問題です。
(1) 退職給付とは、一定の期間にわたり労働を提供したことに基づいて、退職以後に従業員に支給される給付のことです。この退職給付に係る算定においては、「発生給付評価方式」がとられています。発生給付評価方式とは、退職給付が従業員の一定期間の労働の提供に応じて発生するという考え方に基づくものです。具体的には、退職給付見込額を計算し、それを勤務期間の各期に配分し、配分した金額を現在価値に割り引いて算定します。
(2) 各期に発生した退職給付見込額の算定方法として、日本で採用された方法を「期間定額基準」といいます。期間定額基準とは、各期に同額ずつ退職給付を獲得するという考え方から、退職給付見込額を勤務期間に基づいて按分する方法のことです。
(3) 未認識退職給付債務とは、退職給付債務のうち年金資産や退職給付引当金に計上されていない部分のことです。会計上、未認識退職給付債務は、一定期間にわたって、遅延認識し、引当金計上を行っていくことになっています。この期間が、原則として従業員の平均残存勤務年数以内の一定期間となっています。
(答)
(1) 発生給付評価 (2) 期間定額 (3) 従業員の平均残存勤務年数以内
《問2》の「解答・解説」
退職給付費用の求め方に関する問題です。
退職給付費用とは、《問1》の問題文にもあるように、勤務費用+利息費用-期待運用収益±未認識差異の費用処理額で算定されます。しかし、これらの項目の数値が不明な場合は、退職給付引当金の増減から求めることができます。
退職給付費用=退職給付引当金期末残高-退職給付引当金期首残高+掛金拠出額
=120-100+50=70
(答) 70
《問3》の「解答・解説」
退職給付費用から勤務費用を求める問題です。
退職給付費用=勤務費用+利息費用-期待運用収益±未認識差異の費用処理額
退職給付費用=70(《 問2》で求めた数値を使用)
利息費用=期首退職給付債務×割引率=750×2.0%=15
期待運用収益=10(問題文より)
未認識差異の費用処理額=期首残高-期末残高=150-130=20
従って、これらの数値をあてはめると、
70=勤務費用+15-10+20
勤務費用=70-15+10-20
=45
(答) 45