企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第115号(2007.9.1)
A分野:適格退職年金の移行と退職給付会計)

適格退職年金の移行と退職給付会計に関する問題です。退職給付会計の基本的な考え方や語句の意味などを理解しましょう。

《問1》の「解答・解説」
適格退職年金から中退共制度へ移行する際の資産の引渡金額と通算月数に関する問題です。

適格退職年金から中退共への引渡金額とは、被共済者持分額の範囲内で、引継措置により中退共へ引き渡される金額のことです。引渡金額には、引継措置における月数に換算する「掛金納付月数の通算に係る額」と月数に換算できない「残余の額」があり、実質的には、被共済者持分額の全額を引き継ぐことが可能となっています。

ただし、通算月数は、適格退職年金契約での受益者等であった期間を超えない範囲となり、540月が限度です。

(答)
(1) 被共済者持分 (2) 受益者等 (3) 540


《問2》の「解答・解説」
適格退職年金と確定拠出年金の企業型年金との税制面での違いについての問題です。掛金の負担者ごとに確認しておきましょう。

(答)
適格退職年金…事業主が拠出する場合は、適正な年金数理に基づいて算定された額の掛金等を損金の額(もしくは必要経費)に算入することができる。掛金等の一部を使用人が負担した場合には、その掛金等は生命保険料控除の対象となる。
企業型年金…掛金に限度額があるが、掛金の全額を損金(もしくは必要経費)算入額とすることができる。(掛金の一部を使用人が拠出することはできない)。


《問3》の「解答・解説」
適格退職年金から確定拠出年金の企業型年金へ全部移行する場合の会計処理に関する問題です。
確定拠出年金の企業型年金への資産の移換は、退職給付会計の終了に該当しますので、終了の会計処理を行います。終了の会計処理とは、移行に伴って、減少した退職給付債務の額とそれに対応する移換した資産の額および未認識債務残高を特別損益に一時計上することです。

問題文より、適格退職年金の資産の全部を移換したとありますので、
減少した退職給付債務=20億円
移換した資産の額=16億円
未認識債務残高=会計基準変更時差異の未認識債務残高+数理計算上の差異の未認識債務残高=1+2=3億円
従って、特別損益=減少した退職給付債務-移換した資産の額-未認識債務残高=20-16-3=1億円(プラスなので特別利益)

(答) 特別利益 1億円