企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第128号(2008.3.15)
A分野:厚生年金基金の給付、在職老齢年金

《問1》の「解答・解説」
厚生年金基金の給付に関する問題です。給付の仕組みや確定給付企業年金との違いについてまとめておくとよいでしょう。

1)適切
昭和40年代の初頭に、企業において退職金制度の充実が進み、さらに一時金支給から年金での支給が普及してきたことを背景として、厚生年金基金制度が創設されました。厚生年金基金は、老齢厚生年金の一部を代行するという点で「公的年金」の性格と、企業独自の給付を上乗せするという点で「企業年金」としての性格を併せ持っています。

2)不適切
厚生年金基金の給付形態には、「代行型」と「加算型」があります。退職金制度の充実から厚生年金基金を導入した企業が多いことから、大半の基金は加算型となっています。加算型の場合、加算部分には企業独自の設計が認められています。加算適用加入員期間についても、要件を満たせば、基本部分の加入期間と同じでなくてもよいのですが、加算年金の支給要件として加算適用加入期間が20年を超える期間を設定することは認められていません。

3)適切
加算部分は、一定の要件を満たせば、企業独自の給付設計も認められています。通常は、加算部分の給付のもととなる加算給与は定期的に支給される給与を用いることになっていますが、退職金制度と調整される場合には、退職金制度の給付算定のための基礎給与を用いることも認められています。

4)適切
キャッシュバランス・プラン類似制度とは、年金支給期間中の年金額を指標(国債等の利回り)に応じて改定する制度のことです。ただし、最低保証額は設定しなければなりません。

(答) 2)


《問2》の「解答・解説」
在職老齢年金に関する問題です。平成19年4月からは、70歳以上の年金受給者にも在職老齢年金の仕組みが導入されていますので、違いを理解しておきましょう。

1)適切
65歳未満の厚生年金保険の被保険者の場合、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が支給停止調整開始額を超えると、支給停止の仕組みが適用されます(厚生年金保険法附則第11条)。支給停止調整開始額は、28万円です。ただし、今後の年金額の再評価率などの変動によって改定されることもあります。また、基本月額には加給年金額は含めません。

2)不適切
老齢基礎年金を一部繰上げすると、報酬比例部分の全額と一部繰上げした老齢基礎年金の繰上げ調整額が支給されます。このうち、在職老齢年金の支給停止の仕組みが適用される部分は、報酬比例部分と繰上げ調整額です(厚生年金保険法附則(平成6年)第27条第15項)。

3)適切
平成19年4月以降、70歳以上の老齢厚生年金の受給者が勤務すると、65歳以上と同様に在職老齢年金の仕組みが適用されます。70歳になると、厚生年金保険の被保険者としての資格を喪失しますので、70歳以後も引き続き勤務していても、65歳から70歳までの被保険者期間を含めて年金額が再計算されます。

4)適切
65歳以上70歳未満の厚生年金保険の被保険者が老齢厚生年金を受けるときの在職老齢年金の仕組みは、60歳以上65歳未満の在職老齢年金の仕組みとは異なっています。その仕組みは、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が支給停止調整額を超えると、超えた額の2分の1が支給停止されるというものです。支給停止調整額は、48万円となっています。ただし、今後、名目賃金の変動によって改定される場合もあります(厚生年金保険法第46条)。

(答) 2)