企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第152号(2009.3.15)
A分野:退職給付会計
《問1》の「解答・解説」
適格退職年金(適年)から確定拠出年金の企業型年金に移行する際の、退職給付会計の終了に関する問題です。「退職給付制度の終了」とは、企業会計基準委員会企業会計基準適用指針第1号(適用指針)で導入された概念で、全部終了と一部終了があります。全部終了は、退職金規定の廃止や厚生年金基金の解散、適格退職年金契約の全部解除など、退職給付制度が廃止されることで、この場合は、支払等の有無は問いません。一方、一部終了は、退職給付制度間の移行または制度の改訂により、支払等を伴って退職給付債務が減少することです。
《解答》
(1) 退職金(退職給付)
(2) 解散
(3) 減少
《問2》の「解答・解説」
退職給付制度の一部終了に該当するためには、支払等を伴うことが要件として挙げられます。支払等については、運用指針第4項に定義されており、確定拠出年金制度への資産移換の他には、以下があげられます。
《解答例》
・年金資産からの支給または分配
・事業主からの支払又は現金拠出額の確定
《問3》の「解答・解説」
退職給付会計の終了の会計処理に関する問題です。
終了の会計処理とは、終了によって減少する退職給付債務(PBO)、それに対応する支払等の額および未認識項目(未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異および会計基準変更時差異の未処理額のうち、退職給付債務の比率など合理的な基準により把握されたもの)を、原則として、特別損益に純額で一時計上することです。
したがって、設例の数値のうち、問題を解くために必要な項目をまず整理することが大切です。
終了によって減少する退職給付債務(PBO)=2,155百万円
減少する退職給付債務に対応する支払等の額=確定拠出年金への移換額=自己都合要支給額=1,819百万円
未認識項目=▲10百万円
したがって、特別損益=減少する退職給付債務-支払等の額-未認識項目=2,155-1,819-(-10)=346百万円(>0なので特別利益)
《解答例》
退職給付債務の減少に伴う損益
=2,155(減少する退職給付債務(PBO))-1,819(減少相当分の支払(=自己都合用支給額))=336(百万円)
未認識債務の認識に関する損益
=10(百万円)
したがって336+10=346(百万円)が特別利益となる。
特別利益 346百万円