企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第154号(2009.4.15)
B分野:確定拠出年金の投資教育の実施に関する留意点

《問1》の「解答・解説」
確定拠出年金の投資教育を行う際に、事業主に求められる行為準則についての問題です。確定拠出年金法や「確定拠出年金法並びにこれに基づく政令及び省令について(法令解釈)」で、基本的な考え方を理解しておくと良いでしょう。

1)不適切 事業主が加入者等に対し、特定の運用の方法について指図を行うことだけでなく、指図を行わないことを勧めることも禁止されています(確定拠出年金法施行規則第23条第3項)。

2)適切 事業主が、企業型年金加入者等に対し、事業主又は事業主と人的又は取引関係にある関連会社などの第三者に運用の指図を委任することを勧めることは禁止されています(確定拠出年金法施行規則第23条第4項、法令解釈第6.1(3))。

3)不適切 事業主が、加入者等に対し、自社株式又は自社債券(これに類するものを含む)や関連会社の株式または債券(これに類するものを含む)などの特定の運用の方法に係る金融商品について指図を行うことを勧めることは禁止されています(確定拠出年金法施行令代23条第3項、法令解釈第6.1(3))。

4)不適切 継続教育について事業主が配慮することとして、「基本的な事項が習得できていない者に対しては、制度に対する関心を喚起するよう十分配慮しながら、基本的な事項の再教育を実施すること。また、加入者等の知識及び経験等の差が拡大していることから、より高い知識及び経験を有するものにも対応できるメニューに配慮することが望ましい。」と定めています(法令解釈第2.3(2))ので、より高度な投資教育の実施が禁止されているわけではありません。

《解答》
1)×:推奨、非推奨ともに禁止されている
2)○
3)×:自社債券も推奨することが禁止されている
4)×:加入者等の知識および経験の差に対応した投資教育を実施することが望ましいとされている。


《問2》の「解答・解説」
確定拠出年金における投資教育の実施形態や参加形式についての問題です。「確定拠出年金投資教育ハンドブック」に具体的な事例が掲載されていますので、読んでおくと良いでしょう。投資教育に関する基本的な考え方は、投資に関する知識の向上を目的とし、参加率が高くなるような実施形態・参加形式で行うようにすることです。

1)適切 継続教育の場合は、加入者の理解度や関心に応じて投資教育を行うことが大切であり、夫婦での参加を呼びかけることも効果的です。(投資教育ハンドブック第3章5))

2)適切 継続教育の場合、加入者の理解度や関心に格差が生じているため、任意参加によるものも認められていますが、加入者全員に情報提供を行うべき状況においては、全員参加が望ましいと考えられています。例えば規約の変更や運用商品の追加などが、加入者全員に提供すべき情報に、該当します。(投資教育ハンドブック第3章5))

3)適切 参加を容易にし、出席率を向上させるため、継続教育においても業務時間内に開催することが望ましいとされています。(投資教育ハンドブック第3章5))

4) 不適切 投資教育の実施は、事業主が行うケース、運営管理機関に委託するケース、運営管理機関以外の第三者機関へ委託するケースなどがあります。必ず運営管理機関に委託しなければならない訳ではありません。(投資教育ハンドブック第3章3))

《解答例》
1)○
2)○
3)○
4)×:継続教育(運用商品に関する情報提供を除く)の全部または一部をファイナンシャルプランナーに委託することは、特に問題ない。


《問3》の「解答・解説」
投資教育を、確定拠出年金運営管理機関等に委託する場合の、事業主の行為準則に関する問題です。事業主は、委託先の機関等が法令解釈に定めた内容に沿って、加入者等の利益のみを考慮して適切に行えるか否かを充分考慮した上で委託すること、と定められています。具体的には、加入者等の利益のみを考慮して、専門能力の水準、業務・サービス内容、手数料の額等に関して、複数の機関について適正な評価を行ったうえで選定することがあげられます。(法令解釈第6.1(1))

《解答例》
選定にあたっては、もっぱら加入者等の利益の観点から、能力の水準、サービス内容等について適正な評価を行った結果である等の、合理的な理由にもとづくものであることが必要である。