企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第159号(2009.7.15)
D分野:会社員のリタイアメントプランニング

リタイアメントプランニングの計算に関する問題です。さらに退職に係る税金や財形年金が登場しており、様々な角度からの理解を問われています。

《問1》の「解答・解説」
係数を利用したリタイアメントプランニングで、運用利回りを求めるタイプの問題です。このタイプの問題は、次の流れで解くのが鉄則です。
I.利回り(または係数)を未知数にして、いつも通り式を立てます。

II.係数表から1%の場合の係数、2%の場合の係数…と逐一ピックアップして地道に計算し、必要金額との大小比較をします。

III.必要金額以上となった場合の運用利回りが、最低運用利回りとなります。

では実際に計算してみましょう。
I.運用利回りをN%として、35歳から60歳まで毎月2万円で25年間積立を行った場合、年金終価係数を用います。60歳時点の積立金残高は、次の通りになります。
2万円×12月×(N%、25年の年金終価係数)
=24万円×(N%、25年の年金終価係数)
60歳から65歳までN%で運用後、65歳時点の積立金残高を求めるには、終価係数を用います。式は次の通りになります。
24万円×(N%、25年の年金終価係数)×(N%、5年の終価係数)…(1)
題意を満たすためには,(1)≧1,000万円であればよいことになります。

II.N=1%、2%,…の場合の係数値を表から探して逐一あてはめていき、1,000万円との大小比較をします。
N=1%の場合、
(1)=24万円×28.5256×1.0510=7,195,297.344円<1,000万円
N=2%の場合、
(1)=24万円×32.6709×1.1041=8,657,265.7656円<1,000万円
N=3%の場合、
(1)=24万円×37.5330×1.1593=10,442,881.656円≧1,000万円

III.結論
したがって、最低運用利回りN=3%となります

<答>3%


《問2》の「解答・解説」
公的年金等の収入金額の合計額は、公的年金の受取額はもちろん、企業型年金からの受取額も合算して230万円+50万円=280万円となります。これを基に、速算表に数値をあてはめていくと次の通りになります。
280万円×100%-120万円=160万円

<答>160万円


《問3》の「解答・解説」
財形年金貯蓄制度には、勤労者の計画的な財産形成、特に老後の生活安定のため、その利子等について所得税を非課税とする制度があります。一定要件を満たせば、 元本550万円までの利子等について所得税が非課税となります。なお、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の両方を有する場合、非課税枠は両方を合わせて最高550万円とされています。
本問では、原資300万円であり、非課税限度額内ですので、受取額は非課税となります。

<解答例>原資300万円は非課税限度額内であるため、受取額は非課税となる。

今回、財形年金貯蓄の問題が出ました。そもそも財形貯蓄制度は、どんな仕組みなのか?独立行政法人 雇用・能力開発機構のホームページ等を一度参照してみることをお勧めします。その際、確定拠出年金制度との共通点や相違点に注意しながら読んでみるとよいでしょう。