企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第160号(2009.8.15)
C分野:割引現在価値と配当割引モデルの計算

キャッシュフローの割引現在価値並びに配当割引モデルをテーマとした問題を取り上げます。
<問1>は、各期のキャッシュフローが一定していない点が目新しいですが、やることは基本的にいつもどおり、という問題です。
<問2>の配当割引モデルは、前回出題が2003年3月ということもあり、盲点だったかもしれません。今回取り上げた2問は、様々な分野に応用がきく論点ですので、しっかり復習していただきたいと思います。

《問1》の「解答・解説」
各期のキャッシュフロー・割引率ともに一定でない場合の割引現在価値を求めるという、実務色の濃い問題です。まず、各期のキャッシュフローを、各期に対応する割引率で現在価値にひきなおします。次に、これらを足し合わしてキャッシュフロー全体の現在価値を求めます。計算してみると、次のとおりになります。

1,000,000円÷(1+0.05)
+1,100,000円÷(1+0.1)÷(1+0.1)
+1,200,000円÷(1+0.15)÷(1+0.15)÷(1+0.15)
=2,650,491円

したがって、正解は2)2,650,491円となります。

<答> 2)2,650,491円


《問2》の「解答・解説」
「株価は,投資家が将来にわたって受け取る配当というキャッシュフローを、投資家の要求する期待リターン(割引率)で割り引いた現在価値で表すことができる。」という考え方を、配当割引モデルといいます。このモデルの意義は、市場価格が理論株価と比べて割安・割高といった判断を、配当のデータを使って下すことができる点でしょう。配当割引モデルは、投資家の立場からみた「企業価値」評価ともいえます。そのモデル式を表すと次のとおりになります。
理論株価=配当額÷割引率
さらに、企業が永久的に成長するため、配当も毎期一定率で成長するという仮定をおく場合、理論株価の算定式は下記の通り表されます(本問)。

 

理論株価=配当額÷(割引率-配当成長率)
※成長率は割引率に足すのではなく、割引率から控除する点に注意して下さい。企業が成長段階にあれば、理論的には株価が上昇すると考えるのが普通ですね。上の式が、そのことを表しているかどうか確認してみてください。
では、上の定義式に数値を代入すると,下記のとおり計算できます。

理論株価=30円÷(2.5%-1%)=2,000円

したがって、正解は4)2,000円となります。

<答> 4)2,000円

お盆休み等でイベントが多い時期ですね。それだけに余計不安が募るかと思いますが、気分転換は必要です。問題は、遊んだ後の勉強モードへの切換えの早さです。このメルマガをそのきっかけにしてみるのはいかがでしょう。2009年度試験対策としての答案練習は、次回で最終回です。よろしくお願いします。