企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第161号(2009.9.15)
C分野:時間加重収益率の計算
D分野:自営業者のリタイアメントプランニング
今回は、C分野から時間加重収益率、D分野から係数利用の計算をテーマとした2問を取り上げます。
<問1>は、追加投資がある場合の時間加重収益率という、やや難しい問題でした。
<問2>は運用利率が途中で変化するので、変化前の運用利率で積み立てた資産は拠出されることなく、複利運用される点を見逃してはなりません。
《問1》の「解答・解説」
追加投資等により、投資金額が途中で変わった場合の時間加重収益率を求める問題です。この場合、変化前と変化後の2期に分けてそれぞれのリターンを求め、最後にそれらを掛け合わせることで求めます。計算してみると、次のとおりになります。
変化前のリターン=102万円÷100万円=1.02
変化後のリターン=126万円÷(102万円+追加投資額18万円)=1.05
∴時間加重平均収益率=(1.02×1.05)-1=0.071→7.1%
したがって、正解は3)7.1%となります。
時間加重収益率は、運用者の運用能力を把握するために、途中のキャッシュフローの影響を排除した収益率であるといわれます。そこで、年初の投資額と年末の時価のデータのみに基づいて計算できると考え、次のとおり計算した方もいるのではないでしょうか。
(126万円÷100万円)-1=0.26 (26%)
なぜ間違いなのでしょう。「途中のキャッシュフローの影響を排除」するというのは、単に「途中のキャッシュフローを排除」、つまり計算式に反映させない、ということではありません。キャッシュフローの変化前後に分けてリターンを一旦出しているからこそ、「影響」を排除しているのです。26%を導く計算ですと、むしろ途中のキャッシュフローの影響を排除できていないということになります。
補足ですが、時間加重平均収益率について、金額加重平均収益率と関連付けながら、簡単にまとめてみようと思います。
時間加重平均収益率:
・ファンドマネージャ(運用者,投資信託)のパフォーマンス評価に有用である。
・キャッシュフローの影響を排除して計算する。
・本質的には、幾何平均収益率である。
金額加重平均収益率:
・投資家による(資金の追加や引き出しといった)投資行動の巧拙を評価する。
・キャッシュフローの影響を含めたパフォーマンス測定である。
・内部収益率(IRR)とも呼ばれる。
・算術平均収益率とは異なる概念である。
<答> 3)7.1%
《問2》の「解答・解説」
係数を利用したリタイアメントプランニングの問題です。冒頭で述べたとおり、変化前の運用利率で積み立てた資産は拠出されることなく、複利運用されます。そこで、2%で拠出した分と3%で拠出した分を別個に計算し、合算して求めます。
(2%で拠出分)
25歳から35歳までの10年間、2%で毎年300,000円を拠出し、35歳から60歳までの25年間は新たな運用利率である3%で複利運用すると考えますので、次のとおりとなります。
300,000円×11.1687(2%、10年の年金終価係数)×2.0938(2%、25年の終価係数)=7,015,507.218円…(1)
(3%で拠出分)
35歳から60歳までの25年間、3%で毎年300,000円を拠出すると考えますので、次のとおりとなります。
300,000円×37.5530(3%、25年の年金終価係数)=11,265,900円…(2)
∴(1)+(2)=18,281,407.218円
したがって、4)1,828万円が正解となります。
<答> 4)1,828万円
試験本番が近づいてきました。日々の仕事の合間を縫って、学習時間を確保するのは大変だったと思います。しかし、これまでの合格者の方々も同じ悩みを抱えながら、なんとか克服してきました。次は貴方の番です、健闘を祈っています。