企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第174号(20010.2.15)
B分野:確定拠出年金
確定拠出年年金の企業型年金の導入の際に留意すべき、従業員の同意や掛金に関する問題です。法令上の用語を問う問題もありますので、内容を理解するだけでなく、条文を確認しておくと良いでしょう。
《問1》の「解答・解説」
確定拠出年金の企業型年金において、運営管理業務は、自ら(事業主)が行うだけでなく運営管理機関に委託することもできます(確定拠出年金法第7条)。また、確定拠出年金の企業型を導入する際に作成する規約には、「事業主が運営管理業務の全部又は一部を行う場合はその業務」「運営管理機関に委託した場合は、運営管理機関の名称・住所・委託する業務」について定めなければならないことになっています(確定拠出年金法第3条)。つまり、確定拠出年金の企業型年金を導入にあたり、運営管理業務を自らが実施するか運営管理機関に委託するかを、定める必要があるということです。
また、運営管理機機関は、主務大臣の「登録」を受けた法人でなければ、営むことはできません(確定拠出年金法第88条)。承認や許可等似た意味合いの言葉は他にもありますが、この問題では条文にある「登録」という用語を知っているかがポイントとなります。
《解答》
(1)自ら(事業主)
(2)運営管理機関
(3)登録
《問2》の「解答・解説」
確定拠出年金の企業型年金を実施する際の、従業員の同意を得る方法は、労働組合の有無によって異なります。企業型年金を実施しようとする厚生年金適用事業所に使用される被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、当該被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合がないときは当該被用者年金被保険者等の過半数を代表する者の同意を得なければなりません。またそのうえで、作成した規約の内容が法令の基準に適合しているか、厚生労働大臣の承認を得ることになっています(確定拠出年金法第3条)。
《解答例》
(1)(当該)労働組合(の同意)
(2)厚生年金被保険者(被用者年金被保険者等)の過半数を代表する者(の同意)
《問3》の「解答・解説」
問題を解くうえでのポイントは2つあります。一つは掛金算定の基礎となる給与の額、もう一つは拠出限度額です。
まず、掛金算定の基礎となる給与額を求めます。設例の場合は、基本給与、役職手当、技能手当です。賞与は含まれません。
したがって、掛金算定の基礎となる給与額=30+3+1=34万円
給与の15%を掛金とするとあるので、掛金額=34×15%=5万1千円
次に、掛金が拠出限度額を超えていないかどうか、確認します。
企業型年金で他の企業年金を実施していない場合の拠出限度額は4万6000円(注1:試験実施の2009年9月時点)です(確定拠出年金施行令第11条)。したがって、実際の拠出額は、4万6000円となります。
《解答例》
給与:30万円+3万円+1万円=34万円
掛金額:34万円×15%=5万1千円
A社は、企業年金を実施していないので、拠出限度額は4万6000円となる。したがって実際の拠出額は4万6000円となる。
4万6000円(注2)
注2:平成22年1月1日より、拠出限度額の引き上げが行われ、他の企業年金を実施していない事業所の拠出限度額は、4万6000円から5万1000円に引き上げられました。したがって、平成22年1月1日以降の法令等に基づいて解答する場合、拠出限度額内となりますので、解答は5万1000円となります。