企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第184号(2010.7.15)
C分野:パフォーマンス評価
今回は,パフォーマンス評価に関する計算問題です。内容は次の3点です。
(1)トラッキング・エラーとは何か
(2)シャープ・レシオの計算
(3)インフォメーション・レシオの計算
《問1》の「解答・解説」
トラッキング・エラーの定義を穴埋め形式で確認する問題です。語句群が与えられていないので,ノーヒントで対応しなければなりませんが,基本的な事項でしたので,特段問題はないでしょう。
トラッキング・エラーとは,「( (1)ベンチマーク )のリターンと,ファンドのリターンがどのくらい乖離したかを示す指標」である。トラッキング・エラーを確認することで,過去の運用でどの程度( (1)ベンチマーク )と乖離した運用となったのかを知ることが可能である。また,トラッキング・エラーは,( (2)アクティブ )リスクとも呼ばれる。
《解答》
(1)ベンチマーク (2)アクティブ
《問2》の「解答・解説」
ここ最近の試験でもよく出されている,典型的なタイプの問題です。ケアレスミスをしないよう,慎重に計算しましょう。シャープ・レシオの定義式は以下のとおりです。
シャープ・レシオ=(トータル・リターン-リスクフリーレート)÷標準偏差
商品A,B,Cのそれぞれのシャープ・レシオを求めると次のとおりになります。
商品A:(4.5-0.2)÷3.5=1.228…≒1.23
商品B:(5.8-0.2)÷5.4=1.037…≒1.04
商品C:(7.7-0.2)÷9.2=0.815…≒0.82
シャープ・レシオの高い順に,商品A>商品B>商品Cとなりますので,商品Aに60%,商品Bに30%,商品Cに10%という組み合わせのポートフォリオを構築することになります。
最後に,ポートフォリオの期待収益率を計算すると,以下のとおりになります。
4.5%×0.6+5.8%×0.3+7.7%×0.1=5.21%
《解答》
5.21%
《問3》の「解答・解説」
インフォメーション・レシオの計算を行い,大きい順に順位付けする問題です。インフォメーション・レシオの定義式は以下のとおりです。
インフォメーション・レシオ
=(トータル・リターン-ベンチマーク・リターン)÷トラッキング・エラー
商品A,B,Cのそれぞれのインフォメーション・レシオを求めると次のとおりになります。
商品A:(4.5-4.0)÷0.9=0.555…≒0.56
商品B:(5.8-5.6)÷1.2=0.166…≒0.17
商品C:(7.7-7.4)÷2.6=0.115…≒0.12
したがって,最も数値の高いものは商品Aであるとわかります。
《解答》
最も数値の高いものは,商品A
いかがでしたでしょうか。過去問を解いたことのある方にとっては,「やったことがあるような問題」という印象を持たれたことと思われます。過去問は単に目を通すだけでなく,本番どおりの制限時間で,一度解いてみることをお勧めします。合格点までどれだけ乖離しているかを知り,現状の理解度を把握してみましょう。