企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第188号(2010.9.15)
C分野:債券のデュレーション
D分野:遺族給付に係る相続税

《問1》は,債券の各要素とデュレーションの関係,《問2》は企業年金と相続税に関する問題です。

《問1》の「解答・解説」
債券のデュレーションは,債券投資金額の平均回収期間を表わしています。同時に,金利が変動した場合の価格変動の大きさを表す尺度にも使える指標です。この点を踏まえて,選択肢を検討していきます。
(ア)不適切:ゼロ・クーポン債(割引債)は,クーポン収入はゼロであり,償還期限到来時に投資
元本のみが償還される仕組みになっています。従って,「ゼロ・クーポン債(割引債)のデュ

レーションは,残存期間(償還年数)と一致する」が正解です。ゼロ・クーポン債という言葉

に引っ張られないよう注意しましょう。

(イ)不適切:クーポンレートが高い(クーポン収入が大きい)ほど,回収されるキャッシュフロー

が増えますから(より早く回収できるということ),債券のデュレーションは小さくなります。

(ウ)不適切:満期までの期間,表面利率,利回り,価格といった各要素が同じ債券であれば,格付

けの高低に関わらず,デュレーションは同じです。

(エ)不適切:債券のデュレーションは,金利が変動した場合の価格変動性を表す尺度になります。

従って,デュレーションの大きさに比例して債券価格の変化度合いも大きくなります。

したがって,適切なものはありませんので、正解は 1) となります。
《解答》
1)


《問2》の「解答・解説」
被相続人の死亡に起因して相続人が受け取れる遺族給付は,相続税法上,「退職手当金等」と表現する相続財産とみなされ,基本的に相続税の課税対象となります。
例外として,公的年金制度からの遺族給付については,相続税の課税対象外となっています。

1)適切:国民年金法,厚生年金保険法など公的年金制度に基づく被保険者であった人が亡くなった

とき,遺族が受け取る金品には,相続税は課されません。厚生年金基金は,厚生年金保険法に基

づく制度であるため,その遺族一時金については,相続税の課税対象外となります(所得税法9

条1項3号ロ,所得税法基本通達9-2)。

2)不適切:確定給付企業年金の遺族給付金については,「退職手当金等」として相続財産とみなさ

れ,相続税の課税対象となります(相続税法施行令1条の3-1号)。

3)適切:在職中に死亡し,死亡退職となったため,適格退職年金契約により遺族に年金が支払われ

ることになった場合についてです。この年金受給権は死亡した人の退職手当金等として相続税の

課税対象となります(相続税法基本通達3-29)。

4)適切:中小企業退職金共済加入者の遺族に支払われる退職金については,「退職手当金等」とし

て相続財産とみなされ,相続税の課税対象となります(相続税法施行令1条の3-5号)。

この他,確定拠出年金制度,特定退職金共済制度,小規模企業共済制度に基づいて受け取る遺族給付についても,相続財産とみなされ,相続税の課税対象となります(相続税法施行令1条の3)。
なお,問題文にある「相続税は課されない/相続税が課される」の解釈については,問題の趣旨を鑑みて,課税対象か否かを問われているものとして解説しています。課税対象の場合でも,「非課税限度額=500万円×法定相続人の数」があることには注意しておきましょう。

《解答》
2)


試験まで1ヵ月を切りました。ここは出て欲しくないな…と思う論点ほど,出題されるものです。直前にすべてを見直すのはまず無理ですから,今のうちに直感的に出たらいやだな,というところをピックアップしてゲリラ的につぶしていきましょう。健闘を祈ります。