企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第204号(2011.5.15)
A分野:退職給付会計

 退職給付費用に関する問題です。退職給付費用を構成する各項目の意味や計算方法などマスターしておきましょう。

《問1》の「解答・解説」
退職給付費用とは、確定給付型の企業年金および退職一時金等の制度に関する当期に係る費用として、企業の損益計算書に費用計上されるものですが、その構成要素の一つが勤務費用です。
勤務費用とは、単年度に生じた退職給付債務の増加分を示したもので、具体的には、当期に発生すると認められる退職給付見込額を、一定の割引率および残存勤務期間に基づき、現在価値に割り引いて算出します。
したがって、空欄に入る語句は、(A)退職給付見込額 (B)割引率 (C)現在価値となります。
《解答》
2)


《問2》の「解答・解説」
利息費用とは、退職給付費用の構成要素の一つで、期首の退職給付債務について、事業年度内に生じる利息価値を表すものです。
具体的には、期首の退職給付債務に割引率を乗じて計算します。
したがって、空欄に入る語句は、(D)退職給付債務 (E)割引率 (F)利息価値となります。

《解答》
4)


《問3》の「解答・解説」
問題文中の退職給付費用の計算式と《問1》《問2》で導かれた各項目の算出方法を用いて、具体的に退職給付費用の額を算出します。
退職給付費用=勤務費用+利息費用-期待運用収益+未認識数理計算上の差異の費用処理額となっていますので、ぞれぞれの項目ごとに、設例の数値を使って計算すると、以下のようになります。

・勤務費用=200百万円(設例より)
・今期の利息費用=期首の退職給付債務×割引率=前期末退職給付債務×割引率
=800百万円×3.5%=28百万円
・今期の期待運用収益=年金資産×期待運用収益率=300百万円×3.0%=9百万円
・今期の未認識数理計算上の差異の費用処理額
=前期末における未認識数理計算上の差異÷5

=(前期末における未積立債務-前期末における退職給付引当金)÷5

=((前期末における退職給付債務-前期末における年金資産)-前期末における退職給付引当金))÷5

=((800百万円-300百万円)-350百万円)÷5

=150百万円÷5=30百万円

上記を、退職給付費用の計算方法に当てはめると、

退職給付費用=200百万円+28百万円-9百万円+30百万円

=249百万円

なお、問題文に、会計基準変更時差異および過去勤務債務の費用処理額はないものと仮定する、とあることから、これらの項目については考慮しません。

《解答例》
勤務費用=200百万円
利息費用=800百万円×3.5%=28百万円
期待運用収益=300百万円×3.0%=9百万円
未認識数理計算上の差異の費用処理額=(800百万円-300百万円-350百万円)÷5=150百万円÷5=30百万円
退職給付費用=勤務費用+利息費用-期待運用収益+未認識数理計算上の差異の費用処理額=200百万円+28百万円-9百万円+30百万円=249百万円

249(百万円)