《問１》の「解答・解説」
退職給付制度の廃止や、支払い等を伴う退職給付制度間の移行または制度の改訂で退職給付債務が減少することを退職給付制度の終了といい、終了の会計処理が必要になります。

終了の会計処理の認識時点は、退職給付制度の廃止の場合は「退職給付制度の廃止の日」、支払い等を伴う退職給付制度間の移行または制度の改訂の場合は「改訂規程等の施行日」となります。

ただし、廃止日または施行日が翌期になる場合でも、規程等の改訂が当期中に行われ、損失（終了損失）の発生の可能性が高く、かつ金額を合理的に見積もることが可能な場合は、当期に会計処理を行う必要があります。
《解答》
Ａ：終了　Ｂ：施行　Ｃ：損失（終了損失）

《問２》の「解答・解説」
終了の会計処理を行うのは、退職給付制度の終了に該当する場合で、「退職給付制度の廃止等（支払等の有無は問わない）」と、「支払等を伴って退職給付債務が減少する場合」が該当します。
なお、支払等とは、以下のように定義づけられています。
・年金資産からの支給または分配
・事業主からの支払または現金拠出額の確定
・確定拠出年金制度への資産の移換

したがって、選択肢のうち、３）の適格退職年金制度から確定給付企業年金制度に移行する場合は、退職給付制度の終了に該当しないため、終了の会計処理は原則として適用されません。

《解答》
３）

《問３》の「解答・解説」
終了の会計処理とは、退職給付制度の終了によって減少する退職給付債務と減少相当分の支払等の額および未認識項目（未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額のうち、退職給付債務の比率等合理的な基準により把握されたもの）を原則として特別損益として一時計上することです。

したがって、設例の場合、
・退職給付制度の終了によって減少する退職給付債務＝2,155百万円
・減少相当分の支払＝自己都合要支給額＝1,819百万円
・未認識項目＝－１0百万円

特別損益＝2,155百万円－1,819百万円－（－10百万円）＝346百万円

《解答例》
特別損益＝減少する退職給付債務－減少相当分の支払い－未認識項目＝2,155百万円－1,819百万円－（－10百万円）＝346百万円(特別利益)

346（百万円）