企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第208号(2011.7.15)
A分野:わが国の年金制度
老齢厚生年金の支給調整と確定給付企業年金に関する問題です。各制度の仕組をしっかりと理解しておきましょう。
《問1》の「解答・解説」
老齢厚生年金の支給調整に関する問題です。老齢厚生年金の支給調整には、在職(厚生年金の被保険者であること)によるものと、雇用保険の高年齢雇用継続給付の受給によるものがあります。どのような場合に支給調整が行われるのか、その場合の支給停止額の計算方法など正確に覚えましょう。
1) 適切: 老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者である場合、その月の基本月額と総報酬月額相当額によって、支給停止の有無や支給停止額を判断します。したがって、総報酬月額相当額が改定された場合は、新たに改定された総報酬月額相当額に基づいて、その月以後の老齢厚生年金について支給停止が行われます。
2) 不適切: 65歳未満の老齢厚生年金が支給停止される場合の年金の支給額の計算式は、基本月額と総報酬月額相当額によって異なります。選択肢にある「基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2」は、基本月額が28万円以下、総報酬月額相当額が47万円以下(注:平成22年度価額)に該当する場合の計算式です(注:28万円、47万円は、物価水準等によって毎年4月に見直しが行われます。平成23年度価額は、28万円、46万円です)。
参考(日本年金機構資料):http://www.nenkin.go.jp/pamphlet/pdf/02_07.pdf
3) 適切: 在職老齢年金を受給している者が雇用保険の高年齢雇用継続給付を受給すると、在職による年金の支給調整に加えて高年齢雇用継続給付の受給による年金の支給調整が行われます。その場合の1ヵ月あたりの年金支給停止額は、最大で標準報酬月額の6%相当額です。したがって、年額では、標準報酬月額の6%相当額×12となります。
4) 適切: 退職改定とは、厚生年金保険の被保険者である受給権者が被保険者資格を喪失した場合に、受給権取得後の被保険者期間を加えて年金額を計算し直すことです。退職改定が行われるのは、厚生年金保険の被保険者である受給権者が、被保険者の資格を喪失し、再び被保険者となることなく1ヵ月が経過した時に行われます。したがって、1ヵ月以内に再就職し、厚生年金保険の被保険者になった場合は、退職改定は行われません。
《解答》 2)
《問2》の「解答・解説」
確定給付企業年金に関する問題です。加入資格や給付内容など、他の企業年金制度と比較して横断的に覚えるようにしましょう。
1) 適切: 確定給付企業年金は、厚生年金適用事業所が単独で実施するだけでなく、複数の厚生年金適用事業所が共同で実施することもできます。
2) 不適切: 確定給付企業年金の加入者の資格の喪失は、退職した場合や厚生年金保険の被保険者でなくなった場合などに限られ、加入者が任意に脱退することは認められません。
3) 不適切: 退職を要件に老齢給付金の支給が行えるのは「50歳」以上60歳未満で規約に定められる年齢に達している場合です。
4) 不適切: 確定給付企業年金では、「20年」を超える加入者期間を老齢給付金の支給要件とすることはできません。
《解答》 1)