企業年金総合プランナー(DCプランナー)メールマガジン第212号(2011.9.15)
C分野:ポートフォリオのリターンとリスク

今回からC・D分野の答案練習です。C分野の一回目は,リスクとリターンの計算に正規分布の知識を絡めた問題となっています。いずれも学習初期の段階でしっかり定着させたい論点です。

《問1》の「解答・解説」

応用編で幾何平均が出題されるケースは非常に珍しいですが,特別なことを聞かれているわけではありません。普通に解くだけです。計算式は,次の通りになります。

[{(1+0.012)×(1-0.008)×(1+0.015)×(1+0.002)}]の4乗根-1=0.005209… →0.5209…% →0.5%(小数第1位未満四捨五入)なお,4乗根を求めるときは,電卓の√キーを連続2回打ちます。

《解答》0.5%


《問2》の「解答・解説」

ポートフォリオのリターンに関する問ですが,いつもと違い組入れ比率を推定する問題です。計算式は次の通りになります。

商品A,B,Cの組入れ比率をx,y,y とします(BとCは同割合で組入れ)。
組入れ比率の合計は1ですから,x+y+y=1
期待リタ-ン=x×1.0%+y×4.5%+y×7.5%=5.0%
これを解くと,x=0.2 y=0.4
すなわち,組入れ比率はA20%,B40%,C40%となります。

  • ※金財の模範解答例では,BとCは同額を組入れることから,両者の加重平均リターンを使って算出しています。試験当日,このようなスマートな解法はなかなか思い浮かばないと思います。本稿のように地道に解答して正解を狙っていけば十分でしょう。

《解答》A20% B40% C40%


《問3》の「解答・解説」

正規分布が絡んで複雑そうに見えますが,まずはポートフォリオの期待リターンとリスクを求めてみましょう。計算式は次の通りです。

期待リターン=0.6×4.5%+0.4×7.5%=5.7%
分散=0.6×0.6×7.5×7.5+0.4×0.4×9.5×9.5+2×0.5×0.6×0.4×7.5×9.5=51.79
∴標準偏差=7.1965… → 7.2%(小数点第1位未満四捨五入)

ところで問題は「リターンが,約95%の確率で収まる利回りの範囲」です。ポートフォリオのリターンが正規分布に従っていると仮定した場合,

リスクが1標準偏差以内の確率は約68%

リスクが2標準偏差以内の確率は約95%

となります。本問は約95%の確率で収まる場合ですので,リスクが2標準偏差以内と考えます。これを踏まえて,先程求めた値を使ってあてはめていくと,
5.7%±2×7.2%=5.7%±14.4%となります。
従って,下限は,5.7%ー14.4%=▲8.7%
上限は,5.7%+14.4%=20.1%

《解答》▲8.7%~20.1%


いかがでしたでしょうか。「一筋縄でいかないなー」という印象があったかもしれません。とはいえ,やることは普段の計算の積み重ねです。見ただけで戸惑ってしまったら,一呼吸おいて解答に取り組んでみましょう。